コロナ

2023年1月 8日 (日)

春節がこわい

 今日は,この時期にしてはかなり暖かい一日でした。三連休ですので人出もあったことでしょう。しかし,やはり気になるのはコロナです。
 感染症のことをしつこく書きますが,昨日は,中国に対する西欧人の批判を批判したのですが,だからといって中国政府のやっていることに賛同しているわけではありません。ゼロコロナ政策をやめて移動を自由化するのは結構ですが,春節の時期というタイミングでこうした政策転換をし,結果として,中国から日本に旅行者が大挙してやってくるのは,困りますね。報道では21億人の移動があり,海外旅行希望の人も多いようです。日本はオーストラリア,タイに次いで人気があるそうです。インバウンドに期待している観光業関連の人にとっては朗報でしょうが,多くの人は心配しているのではないでしょうか。中国人も症状があればさすがに海外旅行はしないでしょうが,感染していても無症状であることはよくあるので,そうなると自覚しないまま,ウイルスをまき散らすことになるのです。私たちは,3年前の教訓を忘れてはなりません。
 政府は水際対策を強化するようです。新たな変異株の話もあるので,迅速にかつ効果的な対応を期待します。

2023年1月 7日 (土)

感染症と向き合う

 コロナウイルスについては,中国の武漢が起源であるということで,西欧人は中国に対して批判的な目を向けてきたように思いますが,たとえばインカ帝国が滅亡した原因をみると,それは西欧人が持ち込んだ天然痘などの感染症だと言われているのです。決して西欧文明が当時の中南米に栄えていた文明(マヤ,アステカなど)より高度であったから征服できたわけでありません。先に感染症にかかっていて免疫をもっていただけの違いなのです。もちろん,だからといって原住民が自滅したというべきではなく,やはり西欧人が,それが自覚的であったかどうかはともかく,感染症をもちこみ,それを利用して,他地域を征服したことは間違いありません。
 西欧人の蛮行はさておき,ここで言いたいのは,感染症は,文明や社会に壊滅的な影響をもたらしうるということです。現在のコロナウイルスとは,なんとか共存していけそうではありますが,また新種の強力なウイルスが出てくるおそれはあります。
 感染症のもたらす破滅的な状況は,14世紀のペストを経験している西欧人にとっては,まさに地獄をイメージさせるものであったようです。少し前の映画「Inferno」は,Danteの神曲の地獄編(Inferno)と,感染症による死者増大という地獄絵図を重ね合わせたような内容になっています(それとは別に,Firenzeの景色がいっぱいでてきて懐かしいです)。映画のなかでは,ある富裕な遺伝学者が,このままでは人口増加で多くの人が貧困になるとして(あのマルサス[Malthus]の人口論を想起させます),子孫のために,現在の犠牲はやむを得ないという考え方に基づき,感染症による人口減少をもくろみ,そのためのウイルスも完成させていました。WHO(世界保健機構)との戦いとなります(この映画はミステリー仕立てなので,ネタばれになるので,これ以上は書きません)。
 富裕層が自分たちの食料を確保する目的で,人口を減少させるためのウイルスを開発し,先に自分たちだけのためにワクチンや治療薬を開発したうえで,いっせいに世界にばらまくというような恐ろしい計画が実行されたら,どうしましょう。免疫がない状況でウイルスをばらまかれたら,かつてのペストのように,人々はバタバタと死んでいくでしょう(ちなみに,厚生労働省のHPで,「生物兵器テロの可能性が高い感染症について」というサイトを見つけました)。 
 ペストで多くの人口を失った西欧は,旧来の社会秩序が崩壊し,農奴制が崩壊し,宗教ではプロテスタントが生まれ,文化ではルネサンスが誕生するきっかけとなりました。戦争や革命では実現できないような大きな変革が起こったのです。だからといって,感染症が望ましいわけではないのは,言うまでもありません。
 いずれにせよ,感染症から逃れることはできないのであり,これとどう向き合うかを考えるためにも,人類の歴史を振り返り,人類がどのように戦ってきたかを知る必要はあるでしょうね。