ショパン・コンクール2025
NHKスペシャルで放送されたショパン国際コンクール(International Fryderyk Chopin Piano Competition)2025のドキュメンタリーを見ました。日本人の桑原詩織さんが第4位という見事な結果を残しました。彼女は30歳で,年齢制限の関係から今回が最後の挑戦だったそうです。YouTubeで彼女の演奏を聴きましたが,心に残る素晴らしい演奏でした。
前回の大会では反田恭平さんが2位となり,その後大きくブレイクしましたが,やはりショパン・コンクールというのは演奏家にとって特別な舞台なのだと思います。技術だけでなく,極限の緊張のなかで精神的な強さを保つことができる人こそが,最終的にこの舞台で輝けるのでしょう。結果の善し悪しを問わず,あのステージで全力で挑戦したすべての演奏者に,心から敬意を表したいと思います。
今回は,日本から15歳の中島結里愛さんも出場していました。今回の最年少出場者です。まだ高校生なので,お母さんが付き添っていました。少しナーバスな様子でしたが,第一次予選で敗退したものの,自分なりに納得のいく演奏ができたようです。あの年齢であの舞台に立つというだけで,大きな経験だったでしょう。これが次につながると信じています。 それにしても,ピアニストという道は本当に過酷ですね。有名なコンクールでは,世界の才能が集まる世界であり,家族の支えや経済的な負担も大きいでしょう。何より,あの極限の空気に飲まれないだけの強い意志が求められます。私たちはただ「いい演奏だな」と気楽に感想を言っているだけですが,その背後にある努力と苦悩は想像を絶するものでしょう。
今回優勝したのはアメリカのエリック・ルー(Eric Lu)です。NHKスペシャルでは,日本人ピアニストの島田隼さんを追っていて,その先生が,10年前にこのコンクールで4位になっていたルーでした。番組では,島田さんを熱心に指導する姿が印象的でしたが,その彼自身が同じ舞台で競い合い,最終的に頂点に立つという,まるでドラマのような展開でした。NHKも,まさかルーが優勝すると思っていなかったのではないでしょうか。
ルーの優勝には,現地ではいろいろ批判があったようです。しかし,勝ったのは彼で,それがすべてであり,これから大きく活躍していくでしょう。桑原さんもスターになっていくでしょう。中島さんや島田さんは1回戦で敗退したので,捲土重来を期すでしょう。番組でもう一人とりあげられていたのがドイツ在住の中川優芽花さんで,彼女は惜しくも2回戦で敗退でしたが,そのガッツは番組をとおして伝わってきました。進藤実優さんは見事なファイナリストでした。前回は3回戦だったので,着実に進化しています。彼ら・彼女らの活躍を,これからも注目していきたいと思います。

