国際問題

2022年11月 1日 (火)

カミカゼ・ドローン

 少し前に,アメリカの「アジア系米国人ジャーナリスト協会」が,ウクライナ戦争でのロシアによる無人ドローン攻撃について「Kamikaze Drone」という言葉が使われていることについて,アジア系に対する差別を助長するとして抗議を申し込んでいるという記事が出ていました。Tsunami と同様,KamikazeHarakiriなどは,日本語がそのまま使われており,日本人としては複雑な気持ちです。Kamikazeという言葉は,自爆テロのときにも使われます。神風特攻は,外国人には衝撃を与える攻撃であり,日本人としては忘れたくても忘れてはならない黒歴史です。どうしてあんな愚かな作戦で若い人たちを無駄死にさせたのか,怒りを禁じ得ません。
 外国人からすると,日本人の精神性にカミカゼ的なものがあるのではないかと思いたくなるようです。私の知っている外国人は,親しくても,そういうことをあからさまには聞いてきませんが,おそらくは聞いてみたいと思っているでしょう。私としては正面から聞いてほしい気持ちもしますが,それならこちらから話題を切り出せばよいのですが,そこでうまく説明できるかというと,あまり自信はありません。どうして神風特攻隊がうまれたのか。実は,そういうことを,私たちはきちんと総括できておらず,それゆえ,外国人にもうまく説明できないため,彼ら,彼女らの疑問や疑念はいつまでもなくならないのでしょう。
 神風特攻は軍関係が対象で,民間施設や民間人を相手にはしていないので,無差別な自爆テロとは違うし,ましてやウクライナの無人ドローンは「無人」である点でまったく違うものです。しかし,そういうことを言っても,自爆=カミカゼは,外国人には定着してしまっているのです。ただ少なくとも現在の「無人ドローン」と「神風」はまったく無関係であるということは,やはり日本人としては,しっかり政府に海外向けに説明をしておいてもらいたいですね。
 日本人のなかには,神風特攻について,あの死を無駄にしないために,彼らを英雄視しなければいけないとする考え方もあるようですが,それは間違った考え方です。あの死を深く悼みながら,ああいうクレージーな命令を発した上層部への怒りを忘れてはならないのです。いろいろ批判もある百田尚樹ですが,彼の『永遠の0』(講談社新書)は,この問題についての良い教材です(かつて,この本は,このブログの前身でとりあげたことがあります)。理不尽な神風特攻に対して悲しみと怒りをかみしめ,そういうことが二度と起こらないようにするために,どうすればよいかをしっかり考えておく必要があります。そうしなければ,外国人の疑念を払拭できないどころか,私たちやその子孫が同じことを繰り返してしまわないか,心配になります。

2022年8月 4日 (木)

Pelosi訪台に思う

 アメリカのPelosi下院議長の訪台は,悪いタイミングでしたね。報道によると,このタイミングとなったのは,自分の都合のようです。もちろん台湾を応援する行動それ自体は良いのですが,タイミングをまちがえれば,かえって周辺国を危険に巻き込むということを,よく自覚してもらいたいです。こういう配慮をしないで独善的な行動をとるのは,いかにもアメリカ人的だと思いますが,これは偏見でしょうか。
 ウクライナ戦争も長期化し,対ロシアで結束していたアメリカは,今回のPelosiの訪台を阻止できなかったことで,Biden大統領のリーダーシップの欠如を露呈しました。対ロシア強硬派であったイギリスは首相が退陣しましたし,イタリアも首相退陣が決まりました。フランスの大統領は国内基盤が脆弱です。結局,政権交代がほとんど起こらない独裁国家のほうが強いということになりかねません。そういうときにこそ日本も含めた西側は結束しなければならないのに,議員たちが勝手な行動をとるようではうまくいかないでしょう。あげくに,中国に余計な挑発をした感じになりました。これはまさに中国が言うように「火遊び」のように思えます。
 中国の覇権主義的な行動を抑え,台湾が香港みたいにならないようにするのが大切なのは当然です。しかし,日本と中国との関係は,圧力一辺倒で対処すればよいというような単純なものではありません。幸い,いまは日韓関係は良いですが,これも大統領が代われば,どうなるかわかりません。中国,韓国,ロシア,北朝鮮と周辺国が敵や非友好国ばかりになったとき,遠くにいて,しかも様々な面で弱体化してきているアメリカだけが頼りというのは,とても不安です。

 それにしても残念なのは,香港に行ける日が私が生きている間には来そうにないことです(←これはちょっと言い過ぎでした)。台湾が,そういうことにならないように心より祈っています。台湾有事となると,沖縄だって危険になってきます。

 岸田首相は,平和のための新構想というのをぶちあげましたが,海上安全とか防衛増強とかが中心で,台湾問題(それはひいては沖縄や本土の安全の問題にもつながる)にどれだけ効果があるのか疑問です。ただお金を使うだけの平和構想では困ります。平和のための明確なビジョンとその実現のための戦略があり,一つひとつの政府の行動が,その戦略に基づいて進められていて,そのために必要だから税金を使うのだという説明を国民にわかりやすくすべきです(もちろん外交などでは,言えないこともあるでしょうが)。平和は遠のき,国家は窮乏する,というようなことになっては,私たちの子孫に申し訳ないことになります。重要な政治課題が次々とふりかかっている現在,岸田政権のやることを,しっかり関心をもってみていくことが必要です。