国内政治

2024年2月18日 (日)

民意とは

 テイラー・スウィフト(Taylor Swift)を知らないというのが,どれくらい恥ずかしいことかわからないのですが,アメリカの大統領選挙を左右するくらい影響力があると聞き,YouTube で数曲聞いてみました。聞いたことがある曲もありましたが,「ああ,アメリカ人が好きそうな曲だな」というくらいの印象で,良さはよくわかりませんでした。それはともかく,こういう人気歌手がとくに若者に影響力をもち,それが民主党や共和党のコアな支持層よりも多くの票を動かすというのは,すごいことです。

 でも,これはアメリカだけのことではないでしょう。前の参議院選挙で,ガーシー氏が当選したことを忘れてはなりません。暴露系YouTuberと言われている彼が当選してしまったことの意味をよく振り返っておく必要があるでしょう。
 参議院は,非拘束名簿式で,名簿順位ではなく,個人票で決まりますが,特定枠の人だけは優先的に当選する(順位が上位となる)という仕組みが採用されています。島根・鳥取,高知・徳島が合区になったので,どちらかの県からは立候補できない人が出てくるため,その救済策として設けられたそうです。自民党ではこの枠を使っており(もともと自民党が要求して実現したものです),実質的には無選挙で当選できる人が2人います。これは自民党の出世で考慮される当選回数に含まれるのでしょうかね(そういう当選回数主義をなくすという声もでていますが)。先回の選挙でも自民党の2名が特定枠で,その他にれいわで1名特定枠当選者がいました。特定枠では個人名で投票されても政党への投票とカウントされます。昨年は自民党の特定枠の当選者が,徳島県の知事選に立候補するために辞職して,徳島とは関係のない地域の人が繰り上げ当選したということがありました(ちなみに知事選に立候補した人は落選しました)。これでは徳島からの参議院議員がいなくなり,特定枠を設けた意味がなくなってしまいます。小さい政党であれば,知名度が高い人が個人票でかせいで,特定枠の人に議員になってもらうという戦略もあるのかもしれませんが,いずれにせよ特定枠は,有権者にはわかりにくい制度のように思えます。

 ところでガーシー氏は約29万票を獲得していました。自民党の大口支援団体のあるような人は別としても,一般個人ではきわめて高い集票力をもっていたことになります。ガーシー氏でこりた有権者も多いかもしれませんが,インフルエンサー(influencer:和製英語っぽいですが,英英辞典に掲載されています)たちが呼びかければ,それに反応する有権者は多いと思われ,第2,第3のガーシーが出てくる可能性もあります。浮動票というのは,既成政党側の言い分で,これこそがほんとうの民意なのかもしれません。コアな支持層がいる政党は,安定しているともいえますが,知らぬ間に社会の変化から取り残され,民意と乖離している可能性があります。とはいえ,政治的なメッセージを発するインフルエンサーがどれだけの見識をもって発言しているかわからないのがネット社会の怖さであり,有権者の政治リテラシーが問われるところでしょう。
 衆議院のほうは,比例代表は拘束名簿式ですので順位に縛られますが,選挙区との重複立候補が認められているので,選挙区で敗れても,比例の名簿での順位と政党の獲得した票(比例代表は政党名のみ記入する)によっては比例復活ということがあります。これは評判が悪いものです。選挙区で敗れたということは,民意としては不適格としたということなので,政党の票で,復活するというのは,同一順位の場合には惜敗率が考慮されるとしても,釈然としないものがあります。小選挙区の問題点である死票を少なくできるというメリットはありそうです(接戦で落選した人も,復活当選することは,民意の反映という点ではプラスになりうる)が,それは比例名簿の順位の決め方という政党の都合によっても左右されます(低い順位なら復活当選できないことが多いでしょう)。やはり小選挙区で立候補するのなら,比例代表では立候補しないのが政治家としての心意気でしょう。

 

 

2024年2月11日 (日)

記憶にない?

 盛山文科大臣には,このBlogでも期待することを書いていたので,その失望感は大きいです。政治家の事情はいろいろあるのでしょうが,きれいに辞職したほうがよいと思うのですがね。首相のほうも人事が好きだそうですが,辞めさせ方がきちんとできない点で,著しくリーダーシップに欠けるという印象を与えています。

 最近また「記憶にない」という政治家の言い訳をよく耳にします。不祥事があった場合の常套句です。ロッキード事件で小佐野賢治が国会での証言において偽証罪に問われないために連発したことから,この言葉が広がったと言われています。偽証罪の成立は主観説が判例の立場であり,本人が記憶している事実と異なる事実を証言したときに犯罪が成立します。「記憶にない」と言うと,本人に記憶があったかどうかの立証はきわめて難しいので,偽証罪から免れることができやすいのです。もっとも小佐野氏は,それでも偽証罪で起訴されて有罪判決も出ています(最高裁で係争中に死亡して,公訴棄却)。

 記憶にないというのは,私もこの年になると,ほんとうに記憶にないことがたくさんあるので,ありえないわけではないような気もするのですが,政治家というのは「人脈が命」みたいなところもあり,自分に協力してくれた人のことを忘れるというのは通常考えられないでしょう。そんな記憶もない人は,政治家にはなれないはずです。Biden氏が,記憶力の低下で訴追を免れたという話が出ていて,本人がやっきになって否定しているのは,それが政治生命に直結する話だからです。

 私たちも政治家たちが記憶にないということを言うならば,それだけで政治家失格とみなして,議員を辞めてもらうように投票行動をしなければならないでしょう。昭和時代のみえすいた言い訳を許してはなりません。

 

 

2024年1月31日 (水)

次の総理候補現る?

 この人がいたか,という感じです。すでに次の首相候補の調査でいい順位に名が挙がっていたようなので,世間では注目されていたのでしょうが,例の麻生太郎氏の問題発言で,次の総理・総裁候補として,上川陽子大臣に注目する人が増えてきたのではないかと思います。
  実は前回の内閣改造で,外相を林芳正氏から上川陽子氏に交代させる人事には,私は反対でした。外務大臣を簡単に代えるべきではないと思っていたからです。ただ上川大臣の就任後の行動力はみごとで,精力的に外交をこなしています。英語も堪能です。自分の考えを自分の言葉で話せる人のようでもあります。年齢が70歳というところは少し気になり,もう少し若い人に期待したいのですが,健康に問題がなければかまわないでしょう。法務大臣時代の死刑への署名も話題です。旧オーム信者からの復讐のおそれがあるので,生涯,自身も家族もSPなしでは生活できないとネットで書かれていましたが,もしそれがほんとうなら大変なことです。信念に基づき自身の職務を遂行したということでしょう。
 当選回数でみてはいけないとはいえ,7回当選は実績十分です。大臣在任期間も長いです。経済政策としてどのようなものを考えているのかはよくわかりませんが,いいブレーンをつければよいでしょう。
 ちなみに麻生氏の問題発言は,別に擁護するつもりはありませんが,上川氏をベタぼめするのは気恥ずかしいので,どこか悪口を言おうとしたけれど,悪口できそうな部分がないので,外見のことしか言えなかったのかなとも思えます。もちろん,公の場の発言としては著しく不適切なのですが,麻生氏から他派閥(現在は無派閥)の議員であるにもかかわらず,高く評価されている政治家に,はやく岸田後を任せてみたいという気もしてきました。日本にも優れた女性政治家がいると世界にアピールすることは,国益にもかないますし,日本の女性にも勇気を与えることになるでしょう。

2024年1月25日 (木)

真の政治改革とは

 自民党の派閥解散ドミノが起きていますが,派閥からの大臣ポスト等の推薦がなくなれば,どうなるのでしょうか。これまでは,大臣になってから,その担当する分野の勉強をするというようなことを平気で言う人がいました。現在の岸田政権においても,どれだけ,その担当分野の専門家が大臣,副大臣,政務官に選ばれているでしょうか。派閥の推薦というものがなくなれば,このあたりの問題は解決していくのかもしれません。一方で,首相の人事権がそれだけ強化されるのでしょう。そうなると,それだけの権力を与えてよいのかという心配もないわけではありません。とくに岸田首相であれば,心配です。ただ首相の選び方も変わるでしょう。ほんとうに国民のためになる人を総裁に選び,首相に選ぶという見識をもつ国会議員を選んでいかなければなりません。そういう国会議員が選ぶ首相であれば,きちんとした人事をしてくれるでしょう。
 大臣にはその分野の専門家をあてるべきであり,そうコロコロと変えるべきではないと思っています。内閣に多様な専門分野をもつ優秀な人材を集め,それを日本が世界に誇る優秀な官僚によって支えるというという構造が理想なのです。
 もっとも,後者の官僚が支えるという点は,安倍政権時代から官邸の権限が強まり,官僚の出番がなくなりつつあります。東大嫌い(?)の首相が続いていることの弊害もあるかもしれません。今日,東大生は官僚になりたがらず,外資系企業を含む民間企業に流れており,それは嘆かわしいことです(加速する東大生の「霞が関離れ」、その本当の問題とは?)。民間企業で働くことも大切ですが,政治家や官僚に優秀な人材が集まってこなければ,日本の将来は暗いでしょう。
 週末は地元の挨拶まわりが欠かせないというのは困ったものです。選挙に勝つためには仕方がないとはいえ,私なら,地元で応援している議員がいれば,地元に帰る時間は,中央での活動に充ててくださいと言うでしょう。現在は,地元民とは,リモートでつながることもできるのです。ときには地元でリアル辻説法をするのもいいですが,それは年に数回でよいでしょう。冠婚葬祭,町内会の行事への参加など論外です。デジタル時代にあったスマートな政治をしてもらいたいです。
 優秀な人に政治をしてもらうのは,言うまでもなく,私たちにとっての利益です。この人に政治を任せたいという人を,国政に送りこみ,存分に力を発揮してもらいたいです(そういう政治家が増えてくれば,官僚の世界にも優秀な人材が戻ってくるかもしれません)。そのためには,政治家がくだらないことに時間を使わなくてすむように,有権者の意識が変わらなければなりません。真の政治改革は私たちの意識改革なのかもしれません。

2024年1月18日 (木)

検察のメッセージ?

 安倍派の事務総長経験者が不起訴となりそうなことに対する不満が国民の中で広がっています。しかし,政治資金規正法は本来,政治家に責任を問うことが難しいようになっています。この法律で起訴までもちこもうとすることにはそもそも無理がありました。この法律が,その意味で欠陥があることはわかっていたことで,問題はそれを追及してこなかったことにあります(この面では,マスメディアの責任も大きいでしょう)。 国会議員は自らを縛る法律を作ろうとしないのは当然なので,彼ら・彼女らを動かすためには,外部からの圧力が必要です。今回の不祥事が明るみに出て,ようやく国会議員の中でも改革派として振る舞う者が出現しています。そのなかの一部は急に改革派になったという印象も否めませんが,それでも,この流れを活かして,望ましい法改正に取り組んでくれることを期待しています。いまいちど,政治資金規正法1条にある,「議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ,政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため,……政治活動の公明と公正を確保し,もつて民主政治の健全な発達に寄与すること」という目的に照らして,政治と金の問題をどうすれば一番よいのかをしっかり議論して,結果を出してほしいです。
 検察官は,意図したかどうかはともかく,今回の不起訴により,法改正の必要性を国民に気づかせて,今回の裏金問題に対する政治家個人の責任は,刑事責任よりも政治責任の問題だというメッセージを発したことになるのかもしれません。政治資金規正法による処罰よりも,選挙での落選こそが政治家に対する適切な責任追及手段であるということでしょう(もとより,検察官は,証拠を捏造するような人は別として,証拠に縛られるので,証拠が不十分であれば刑事責任を追及できないのは当然です)。私たちはこのことを受け止め,次の選挙において適切な判断を下す必要があります。

2024年1月15日 (月)

気になるイエメン情勢

 紅海の入り口にあるYemen(イエメン)という国の現在の情勢が気になります。行ったことがない国です(それどころか中東のどの国にも行ったことがありません)が,コーヒーのMokha(モカ)で有名なモカ港があることは知っており,親しみは感じていました。しかし,いまその国で,危険な事態が進行中のようです。同国のフーシ(Houthi)派というイラン(Iran)寄りの勢力が,日本の船舶を拿捕して連行しました。遠く離れた国の出来事であるとはいえ,この地域の航路をおさえられると,日本経済にも深刻な影響を及ぼす可能性があるでしょう。さらには英米がフーシ派を攻撃するために,軍事作戦を始めたとの報道があります。イスラエル(Israel)とパレスチナ(Palestina)との紛争も激化しており,徐々に戦線が広がっていく嫌な予感がします。第3次世界大戦につながらないことを祈るばかりです。
 フーシの背後にはイランがいる以上,アメリカの攻撃にイランは黙っていないでしょう。さらにイランとイスラエルの戦いが本格化すると,手がつけられない状況に陥るかもしれません。そうならないように,現在の段階で,紛争を抑え込む必要がありますが,アメリカはあまりその気がないようです。どうして,みんなこんなに好戦的なのでしょうか。
 こうした危機的な情報にもかかわらず,日本の株価は連日大幅に上昇しています。大地震があったために,日銀の金融政策が継続されると予想されています。それによりアメリカとの金利差は維持され,当分は円安が続くとみられています。その結果,輸出関連企業を中心に株式市場に資金が流入しているようです。海運企業も例外ではなく,商船三井も日本郵船は4%以上,川崎汽船は10%近い大幅増です。紅海の不安定化など,どこ吹く風です。でも,これは不思議であり,どこか異常な状況に感じられます。世界的な危機が始まる前の最後の宴ということにならないか心配です。
 平和があってこそ経済が成り立つのです。中東においては,これまでの外交努力などもあり,日本がはたせる役割は大きいと言われています。はやく国内政治を整えて,この問題に取り組まなければならないのです。それなのに,自民党の政治刷新本部は,冗談ではないかと思えるようなメンバーで構成され,とても国内政治の混乱は終息しそうにありません。いつも人事で遊ぶだけで,問題の本質に向き合わないこの政権の欠点が露呈しています。嘆かわしいことです。

2024年1月10日 (水)

政治家の逮捕

 政治家の逮捕をやたらと期待するのは適切ではないと前に書きましたが,ついに自民党の池田佳隆代議士が逮捕されました。検察側は,軽々しく逮捕したわけではないことを強調していました。証拠隠滅の可能性があったということです。リークされている情報からすると,証拠隠滅をしていたのであり,本人が雲隠れしていたことからすると,逮捕の要件は充足していたのでしょう。政治家の逮捕はないと言っていた政治評論家が批判されていますが,まさかここまでやるような政治家がいるとは想像できなかったのかもしれません。
 言われている内容が事実であるとすると,とんでもない政治家がいたものです。この代議士は,2018年に,元文部科学事務次官の前川喜平氏による名古屋市の中学校での授業について,名古屋市の教育委員会に授業の内容や経緯の説明をしつこく求めていた議員の一人でした。当時,このような政治介入に不快感をもった覚えがありますが,安倍政権全盛時の出来事であり,彼はもちろん細田派(実質は安倍派)です。また,この人は,岸田政権で,文部科学副大臣にもなっています。岸田首相の「適材適所」のハズレぶりは見事です。今回,自民党を除名になっていますが,除名になるような議員を副大臣に選んでいた責任はどうなるのでしょうかね。首相は,負うべき責任が多すぎて,何か一つ責任が追加されても,あまり重みを感じなくなっているのかもしれませんが,もしそうなら,ひどい話です。それにしても文部科学大臣というのは,これからの日本において最も重要なポストの一つです。教育に見識のあるもっと立派な人を大臣,副大臣,政務官にそろえてもらいたいです。そういう人は自民党にはいないのでしょうか。

2023年12月31日 (日)

平和の追求と有事への備えを

 今年は,昨年来のウクライナ(Ukraina)の戦争に加えて,ガザ(Gaza)地区の戦争も始まり,悲惨な1年でした。NHKの朝ドラのブギウギでも,東京空襲のシーンがありました。アメリカは,日本の民間人に向けて,空から無慈悲に爆弾を落としました(最後は広島と長崎の原爆でした)。許せないことです。神戸も空襲を受けています。私たちは,その生き残りの子孫なのです。いまウクライナやガザで起きていることは,実際,日本でも起きたことですし,またいつ起こるかわからないことです。他人事と思っていてはいけないでしょう。イスラエル(Israel)という国を理解するのは,かなり難しくなりました。テロの先制攻撃を受けたことは確かとしても,また人質がいるためにその救出が必要であることも確かとはいえ,この事態を口実として,ガザを支配下に置こうとしているのではないかという疑念もあります。ユダヤ人の歴史には気の毒なところは多々あるのですが,中東における現代のイスラエルの動きは,もともとはイギリスに責任があるとはいえ,Palestina人にとっては迷惑以外のなにものでもないのです。現時点では,よく言われる「ジャングルの掟」の世界で,力勝負で決着をつけようとするところがありますが,本来,アメリカの原爆で終わった第二次世界大戦のあとは,国際連合における五大国が国際紛争を抑止する警察官の役割をするということになっていたはずです。それがロシアの戦争で,その枠組みは崩壊し,中東については,アメリカが積極的に和平に向けた介入をしてくれないということで,世界は再び第二次世界大戦時の状況に戻ってしまうのではないか不安でいっぱいです。そうなったとき,日本は,ほんとうにあのときと同じ轍を踏まないと言い切れるでしょうか。これだけ政治が大切となっている時期に,裏金問題などで弱体化した現在の国内の政治状況は危機的でもあります。
 ところで,ウクライナが,大国ロシアとの戦争で持ちこたえているのは,大統領のメディア戦術が巧みで,しかもリアルな被害状況が瞬時に世界に配信され,世界中の共感を得ていることも大きいでしょう。Palestinaへの同情が広がっているのも,同じ理由です。また,1225日の日経新聞の記事で,ウクライナでは高度に電子政府化が進んでいたために,数百万人が住む場所を追われ,パスポートや住民票を失った人が少なくないにもかかわらず,社会がパニックになっていないということが書かれていました。国家の危機を,デジタル技術が救っている面があるのです。もちろんデジタルに頼りすぎることは,サイバー攻撃などにより一気に麻痺してしまう危険もあるのですが,それでも日本の現状は,デジタル化の危険を口にするような段階にまで至っていないような気がします。忍び寄る戦争の危機のなか,戦争を回避して平和を追求する努力は欠かせないのですが,それと同時に,有事の際の市民生活を守るためのデジタル政府化というものも,来年にはぜひとも最優先で取り組んでもらいたいです。私たちは,そういうことができる政府を選ばなければなりません。

2023年12月20日 (水)

政治家のキャリア

  小泉龍司法務大臣が二階派を離脱するという話には唖然としましたね。二階派を離脱しても,それは形だけで,二階派との関係が切れるとはとても思えないのであり,そうした人が法務大臣についているだけで問題なのではないでしょうか。これで乗り切れると本気で思っているとすれば,本人も岸田首相も,その感覚にあきれてしまいます。この大臣は罷免すべきでしょう。Wikipediaでみると,小泉大臣は,東大法学部卒・大蔵官僚というエリートですが,自民党を途中で離党した経験があり,二階派には恩があるかもしれませんね。そうなると,いっそう検察の強制捜査が入った二階派の推薦により法務大臣になった小泉氏を,その任務に継続して就かせることはできないでしょう。この方も,志をもって政治家になったのでしょうし,当選回数も7回と実績もあり,年齢も71歳と高齢になるなか,初めての入閣ということで,そう簡単に大臣ポストを手放すことはできないのかもしれませんが。後任には,非政治家のほうがよいのではないでしょうか(かつての三ヶ月章先生のような)。
 西村康稔前経済産業省大臣は,安倍派バッシングのなかで,今回の辞任はつらいでしょうが,やむを得ません。本人のキックバックの問題だけでなく,派閥の事務総長として,多額の政治資金の裏金化を主導していたということであれば,政治家としての資質を問われるのは当然です。ただ,この方は,地元に近い選挙区(兵庫9区)で,年齢も近いため,個人的には気になる存在です。もちろん個人的なつきあいはありませんが,前にも書いたことがあるように,西村さんが経済再生大臣であったときの2020年10月,「選択する未来2.0」という内閣府のリモート会議で,1回プレゼンをしたことがあり,そのとき西村大臣もおられてコメントをくださり,それに応答したことがありました。また今年も経産省の役人から話を聞きたいと言ってきたときに,その役人が,西村大臣から私の名があがったと言っていたので,むこうもこちらのことを覚えてくれていたのかもしれません。
 西村さんも小泉大臣に負けない,東大法学部・通産官僚というエリートで,しかも総理への野心を隠さず,あともう一歩というところまで来ていました。今回のことで,総理・総裁への道は,大きく遠のいたことは確かでしょう(女性秘書官の話まで出てきたので,大ピンチでしょう)。ボクシング部だったそうなので,これくらいのパンチでは倒れないかもしれませんが,ノックアウト寸前かもしれません。これで政治家生命が終わってしまうのか,それとも不死鳥のごとく這い上がってくるのか。同世代の一人の政治家が,そのキャリアの終着点がどうなるのかを,注目してみていきたいと思います。

2023年12月15日 (金)

メディアの責任

 ヤメ検で政治家になって,いまは弁護士をしている若狭勝氏がテレビで,政治家を長くやっていると,世間の常識に鈍感になってしまうという趣旨のことを言っていました。政治家の世界は独特の村社会であり,それだけ一般の人にとっての参入障壁が高いし,そこに馴染むためには,一般社会の常識を捨てなければならないのでしょう。パーティなるものをして,政治資金を集めなければならないというのも,やはりこの村社会独特のしきたりのようです(ノルマで社員を追い立てるブラック企業のようだとも言えそうですが)。自分たちのつくった政治資金規正法では,きちんと記載をしていれば問題がないはずだったのに,それを記載せず,裏金にしてしまうというのが,安倍派を中心にやっていたことです。表に出ない金で,政治家が政治活動をしているというのは不気味です(もちろん個人的に使っていたとなると別の倫理的問題がありますし,税法上の問題もあります)。最初は,違法かもしれないけれど,みんながやっているのだからということで,徐々にそれがその組織での常識となり,異を唱えることが難しくなっていったのかもしれません。安倍派の政治家のなかには,派閥の指示でやったことだとして保身に走り始めた人がいます。気持ちはわからないではないですが,政治家としては情けないですね。上から言われたら,おかしいことでも従うという主体性のない政治家なんて頼りなさすぎます。
 これがただの村社会なら,どうでもよいことなのですが,権力をもっている集団が勝手なことをしているのですから,世間の目でチェックすることが必要です。本来はそれをやるべきマスメディアが,すっかり政治の常識のほうにとりこまれてしまって,批判的な能力を失っていたのではないかと思えます。裏金問題をスクープしたのが赤旗であるという事実を忘れてはなりません。共産党は,党内体制があまり民主的にみえない点では世間の常識から離れていると思います(それゆえ多くの支持は集められないでしょう)が,金銭的にきれいなので,政治とカネというテーマでは,期待できるところがあります。赤旗のスクープの後も,それを後追いをする他のメディアがなかったようなので,それはどういうことなのでしょうか。一般の政治報道記者は,どうしても政治家と近くなりすぎて,どうしても彼らの常識に影響されてしまうのかもしれません。それに,もし影響されなければ,政治家から「君は頭が悪い」などと言われてしまうのでしょう。どちらのほうが頭が悪いか,勝負しよう,と言えるくらいの気概をもったジャーナリストに出てきてほしいです。
 いずれにせよ,いまいちどメディアは,自身のレゾン・デートルを問い直すべきでしょう。これはジャニーズ問題も同じです。みんなが黙っているから,報道しないことにしようというようなメディア人は,職業倫理的に大きな問題があり,不要であるどころから,有害です。ジャニー氏や裏金政治家たちと同罪なのです。
 結局,私たちがフェイクであるリスクも感じながら,YouTubeなどで発信される情報に頼ることが多いのは,既存メディアに対する不信からです。労働問題であれば,その情報提供の不正確さや偏りについては,私自身も多少の専門知識がありますから,疑問に思うことはブログで発信しますし,価値観に関わることは,そのことを断ったうえで私の見解を述べますが,専門領域でないことになると,一般社会人のレベルでのコメントしかできません。しかし,それでもできるだけ何かおかしいと思われることは発言したほうがよいと思っていますし,日頃からそうしたアンテナを張って,自分の感覚を研ぎ澄ます訓練をしておこうと思っています(それは,まずは読書から始まるのですが)。
 いまやメディア(元は,「媒介」という意味)というものを通さなくても,国民がみんな言論フォーラムで自由に政治的な意見を戦わせることができます。これにはいろいろリスクもあるのですが,いずれにせよ従来型の報道メディアの役割は終わりつつあるのかもしれません。