テレワーク

2024年3月20日 (水)

NHK(サイト)に登場

 昨日,NHKの神奈川のほうの方から取材依頼がありました。当初は2,3時間後に放映されるテレビに出てほしいということでしたが,それは懇親会の予定があったのでお断りしました。ただ,電話で質問に少しお答えしました。事件は,テレワークに従事していた人が過労で精神疾患を発症して労災認定を受けたというもので,テレワークの労災は珍しいということを弁護士が言っていたので,専門家の話を聞きたいというのが取材の趣旨でした。この事案の詳細はわからなかったので,テレワークについての一般的な説明をしました。テレビでは採り上げられませんでしたが,NHKのサイトには登場しています。
 テレワークだからといって,企業の法的な責任が軽減されるわけではありませんが,テレワークの性質上,企業は管理をしにくいことになるのは確かです。そうすると,企業はテレワークをさせたくないと考えるかもしれません。また,テレワークの労災というようなことがあまり大きく報道されるとテレワークについてもっと強い規制をしたほうがよいという意見も出てきそうです。しかし,テレワークには多くのメリットがあることを考えると,それは良いことではありません。この点は,拙著の『誰のためのテレワーク?』(明石書店)でも書いていることです。今回の取材でも,その点は念押しをさせてもらいました。
 テレワーカーの健康確保は,労働時間規制では無理で,デジタル技術を使ったより効果的な方法を考えていくべきというのが,私の見解ですが,そこはNHKの短い電話取材では話すとややこしくなりそうなので,とくに説明はしませんでした。もうすぐ出るであろうジュリストでの論稿では,とくにテレワークにフォーカスをあてたわけではありませんが,労働時間規制一般論のところで,この持論を書いています(私の論稿を読んでくださっている方には,とくに新しいことが書かれているわけではありません)。

2024年2月 2日 (金)

ハイブリッド型

 2週間前くらいに胃腸炎になって,それは数日で治ったものの(その間に体重が減りました),その後,軽い風邪のようなものにかかり,喉や鼻の不調や咳がずっと続いています。これはコロナ前によくなっていた症状と似ていて,一回,軽く風邪をひくと,治ったあとも,ずっとひきづるのです。とくに今は鼻づまりが治らず,よく知っている人と電話で話をしても,声を聞いただけでは,私が誰かわからないということがありました。
 昨日のV.School サロンでは,身体は元気なのですが,声だけ聞いた人は私だとわからなかったかもしれません。声だけでなく,もしかしたら頭の調子も外れていたかもしれませんが。マイペースで話をさせてもらいましたが,WEB参加の方も含めて,聴衆の方はどう思ったでしょうかね。
 私は大学内の会場にまで言って話をしたのですが,昨日のような形なら,自宅からWEBで参加して話をしてもよかったかなと思っています。会場に人がいると,どうしても,会場の方を意識して話すことになり,いわば会場がメイン,WEB参加者はサブというようなことになってしまいます。WEB参加者も同じようにメインにするためには,登壇者自身が会場にいないほうがよいのではないかと思いました。参加者の方がVideo Onにしてくだされば,皆さんの顔を観ながらお話できるので,そのほうが全員参加という感じになります。ハイブリッド型だとそうはいかないのです。ただ,やり方を工夫すれば,なんとなか克服できるのかもしれません。大学の通常授業で,ハイブリッド型でやった経験がないのですが,今後はそういうものも取り入れてみようかなと思います。
 これはテレワークにも通じる話で,ハイブリッド型ならではのメリットが何かあるかどうか,これから探っていきたいと思います。

2023年12月26日 (火)

経営者は社員に何を示すべきか

 昨日の日本経済新聞の2つの記事が気になりました。一つが,「テレワーク3年半減」というものです。日本生産性本部の最新調査で,テレワークが,20205月の31.5%から,15.5%になったとのことでした。上司が出社しているから在宅勤務を続けづらいとか,自宅の通信環境が悪いといった理由があげられていましたが,どちらも困ったものです。テレワークを本気でやる気のない企業が多いことはわかっていましたが,これは日本経済の未来に暗い影を落とす現象です。昔風の働き方に慣れている人はテレワークをしたくないですし,対面型のメリットを過剰に評価していますし,テレワークのメリットを感じられていないことが多いでしょう。しかし,テレワークは,まずはいろんな意味で弱者である人(育児や介護の負担をかかえている人,障がいをかかえている人など)に大きなメリットとなるのです。対面型推進は,いわば強者の論理なのです。ただ,それだけではありません。もしテレワーク率がこのまま衰退していけばどうなるでしょう。テレワークは,いわば時間的,場所的という面での自由にかぎらず,働き方そのものの自由さを象徴しているのであり,それは独創性の源なのです。テレワークを活用するというのは,そうした独創的な人材に選んでもらうために必要な経営戦略であるということなのです。
 もう一つの記事は,編集委員の太田泰彦さんが書いていた「エンジニアに点火する オープンAI騒動の含意」です。エンジニアは何のために働いているかということを論じています。社会に意味のある仕事がしたいというエンジニアたちは,自分たちにそういう仕事をさせてくれる経営者についていくのです。Altman氏は,現場が胸の踊るような世界観を語っていたので,従業員のなかで信奉者が多く,彼が会社を移籍すれば,ついていくのです。キャリア権の時代は,個人がキャリアを選択します。自身のキャリアは,自身の価値観と密接に関係していて,それに合致する企業が選ばれていくのです。もちろん個人が企業を選ぶためには,それなりのスキルがなければなりません。したがって,個人は,自身で企業の選択ができるようにするために,スキルを磨くのです。そして,企業は,そうしてスキルを磨いた人に選んでもらえるように,よい経営者をトップに据えなければならないのです。政治家との関係や財界団体の活動に熱心すぎて,従業員に向けて世界観を語れない経営者がトップにいる企業は,やがて没落していくでしょう。昨日は,企業と投資家との関係について書きましたが,今日の話は,企業と働き手との関係に関するものです。経営者は,上記のテレワークの話も含め,優秀な人材が何を求めているのかを間違えないようにしなければならないでしょう。

2023年12月18日 (月)

一周忌

 父が亡くなって1年経ちました。早いものです。還暦になるような年齢になっても,両親がいないことの悲しみは深いです。いまでも,もっと親に対してこんなことをしていたらよかったという後悔で,夜中に目が覚めることもあります。とくに3時から5時くらいの時間帯は脳が悲観的になっているので,こんな思考になるのでしょう。おそらく脳がネガティブな情報を整理している時間帯なのでしょう。目覚めなければそれほどでもないのでしょうが,年齢のせいか,小用で目が覚めることが増えてしまい,どうしても眠りが浅くなるのは困ったものです。
 ところで,数日前までの暖かさから一変して,寒い気候になりました。在宅中心にしているので,寒さの影響はそれほどでもありませんが,暖房費の節約は考えていますから,できるだけ着込んで過ごそうと思っています。
 ここ数年は,在宅時間が長い生活が続いていますが,忙しさは以前より増しました。WLBWork-Life-Balance)という点では,圧倒的にL中心ではあるのですが,それでも,やらなければならない仕事量は結構多くて,結局のところ,Wの比重も高まっています。削れているのは,移動時間です。これがないために,時間を捻出できています。たまに歩くと頭の刺激になって,新しい発想も湧くので,移動の効用は軽視できないのですが,それでも移動しないことのメリットのほうが大きい気がしています。自宅にいれば,様々なLの面への配慮がし易いですし,慣れればWにも集中しやすくなります(Lの時間のために,限られた時間をWに集中することもできている感じがします)。ということで,いつものように「テレワークのすすめ」です。

2023年9月18日 (月)

リアル回帰に警戒を

 915日の日本経済新聞の夕刊の「十字路」の欄で,東京都立大学大学院の松田千恵子教授が,「会計監査の現場離れ」というコラムを書かれていました。「リモートワークに異を唱えるつもりもない。むしろ,適宜活用して生産性を上げることは大事だ。会計など情報を扱う分野はリモートワークとの親和性も高い。ただ率直に言えば,実地棚卸しなどを含む会計監査については,当然ながら現場をしっかり見てほしいというのが本音だ。」というのは,よく理解できることではあります。ただ,そのあとに,ある監査法人の調査として,「今後は不正リスクが高まる」と感じている企業の割合が,2020年に59%だったものが,2022年には64%へと上昇したということが紹介されていて,これを現場主義の論拠とされているようですが,この5%の上昇は軽視できないものの,むしろこの程度であれば,違った方法で不正リスクに対処するという議論をすべきではないかというのが,DXとリモートの推進派の発想だと思います。
 労働者の数は今後どんどん減っていくというのは,少し前までは数字上のことのようでしたが,いまは実感が高まってきています。今回の休暇先でも,ホテルの裏方はほとんどアジア系の若者でした。外国人の活用がなければ,観光業界などはもたないようになってきているのでしょう。飲食店も同様であり,人手不足は深刻なようです。こちらは,このままでは飲食店の倒産か,価格の引上げになっていくでしょう。おそらく,今後は,接客能力の高い人間を配置して高級店に転換していくか,ロボットを導入していくか,そういうことをしないかぎり,この業界の未来は暗いでしょう。タクシーについても,前に書いたとおり,人手不足が深刻で,ライドシェア(ride share)の導入は不可避となりつつあります。
 リアルで人間の手を借りて仕事の水準を維持することは当面は必要でも,それに頼ってしまうと,人手不足に対応できません。これは観光業から会計監査の仕事まで,広くあてあまることではないでしょうか。そのためにも,コロナ禍でのリモート化は,緊急避難であったと位置づけるのではなく,来るべき社会の到来が早まったにすぎないという認識をもって,事態に臨まなければならないのです。
 ホテルで働いてくれる外国人が,いつまで日本に来てもらえるかわかりません。政府の雇用政策といえば,人間を対象としたものでした。AI問題も,AI代替による(人間の)雇用喪失が懸念されています。しかし,より深刻な問題は,人間の不足により,社会が回らなくなることです。いくら賃金を引き上げても,人が集まらない社会というのは,おそろしいです。早く機械でできるものは機械で,という意味のデジタルファーストに取り組まなければなりません。
 コロナ禍のころは,こういう議論をする機会がよくあったのですが,最近はあまりしなくなりました。デジアナバランス(digital-analog balance[造語])を追求するのではなく,アナログ時代のノスタルジー(nostalgia)から,うずうずしていた人の声が大きくなりつつあるような気もしています。ウィズ・コロナの定着により,人間のリアルでの仕事の再評価という誤った方向に動き出さないように注意が必要でしょう(なお,上記の松田氏の意見は,むしろリモートワークを評価したうえでの,デジアナバランスの追求をめざした意見とみるべきでしょう)。

2023年5月16日 (火)

テレワーク実施努力義務

 今朝の日本経済新聞で,厚生労働省が,3歳までの子どもがいる社員がオンラインで在宅勤務できる仕組みの導入を,省令で企業の努力義務とする,という記事が出ていました。テレワークを申請すればそれを認める努力義務を導入するということでしょう。ワーク・ライフ・バランスの実現のためにテレワークが最も良いということは繰り返し述べてきましたし,少子化対策にも効果的だと言ってきたので,政府のこの方針には賛成です。テレワークをできない理由をいろいろ挙げる企業はありますが,DXにさえ取り組めばテレワークが導入できるところはたくさんあると思います。中小企業がコスト面でためらっているとすれば,助成金は,そういうときにこそ使うべきです。記事の最後に,「在宅勤務や育児休業の取得は個人の判断だが,制度の導入が遅れる企業は柔軟な働き方を希望する人から選ばれなくなるおそれがある」とありますが,そのとおりであり,企業は助成金があろうがなかろうが,経営上の最優先課題として取り組むべきものです(DXによる企業の革新については,拙著『労働法で企業に革新を』(商事法務)も参照)。
 今後,人手不足倒産がどんどん起こるのではないかと心配しています。いくら良いアイデアのビジネスを考えても,働いてくれる人がいなければ,事業展開は難しいでしょう。賃金をどんなに上げても人が集まらない時代です。こうしたことからも,企業は,DXによりロボットの導入による省力化やテレワークによる人材確保に取り組まざるをえないのです。
 業種によってはテレワークは無理という声もあります。ただ接客業はテレワークは無理と考えられていましたが,いまではリモート接客サービスもあります。どんな業種でもDXやテレワークの可能性を徹底的に追求することこそ,企業の生き残りの重要な戦略となるでしょう。今回の厚生労働省の取り組みは,こうした動きを努力義務という形で誘導していくものであり,非常に良い政策的介入だと思います。

2023年5月10日 (水)

出社圧力は一時的か

 本日の日本経済新聞の朝刊において,「〈ポストコロナの働き方〉原則出社 圧力にため息 会社選び,『在宅可』が左右」というタイトルの記事が出ていました。「スキルを磨くには対面で仕事をする方が合理的」という,ある会社の20代社長のコメントが出ていた一方で,「ネット環境さえあれば仕事しやすい技術職はコロナ禍で在宅勤務が一般化した。在宅を好む傾向にあり『テレワーク可』で人材を募る企業は多い。対面主義では人材を獲得できない現実がある」と書かれていました。
 テレワークは,技術職に向いていることは当然でしょうが,その他の職種においては,対面型に戻ろうとする動きもあるようです。ただ,そういうことをしていると,若い人材を集めにくくなるでしょう。
 教育の現場でみても,コロナ前からいた学生は,コロナによりリモート講義の導入であったり,対面でもマスク着用を義務付けられたりすることに,当初はかなり抵抗があったようですが,コロナ後に入学してきた学生は,最初からリモートは想定していますし,対面になってもマスクを着用するのに慣れているので,あまり抵抗がないようです(むしろマスクを外すのをいやがる)。対面やマスクなしでやってきた期間が長い人ほど抵抗があるのは当然であり,逆に,短い人ほどリモートやマスクにそれほど抵抗はなくなるでしょう。最初からリモートとなっていれば,覚悟ができているので,むしろ通学や通勤で時間がとられることがないメリットを大きく感じるのは当然と思われます。問題は,こうした労働者側のとらえ方とは別に,(技術職を除き)ほんとうに対面型のほうが,生産性が上がるのかです。これは結局,経営判断にゆだねられるべきことであり,もちろん法律でどちらかに誘導するようなものではありません。ただ傾向としては,今後はテレワークが増えると予想でき,しかもDX時代を支える人材の間に思った以上にテレワークへの支持があるとすると,法制度においても,できるだけ早く対応をしていかなければならないでしょう。テレワークは別に法律で規制されているわけではないので,対応は不要という意見もありえますが,労働法は物理的な「場」で働くことを想定しているので,オンライン中心で働くデジタル時代になると,対応すべき問題や対応方法も変わり,労働法の根本的な構造を変える必要が出てくるのです。私がいう「デジタル労働法」はそういうものです。関心のある人は,拙著『人事労働法』(弘文堂)の第10章をご覧ください。

2023年3月18日 (土)

子育てとテレワーク

 岸田首相は,子育て政策を中心に据えて支持率の回復に向けて活路を見いだそうとしているようです。子どもを大事にする政策は,昨日も書いたのですが,バラマキやイメージ戦略だけにとどまるのであれば困るのですが,そうでない本当に役立つものであれば大歓迎です。神戸市と隣の明石市とを比較して,育児世代においては,明石市の取組みが魅力的で(https://www.city.akashi.lg.jp/shise/koho/citysales/index.html ),ちょっと田舎というイメージの明石市(明石市民の方,スミマセン)にでも住みたいという人が多いように思います。収入的にまだ十分に高くない若い世代において,子どもが一人生まれたときに,急に負担が重くなるのは辛く,そこで自治体からの助成があれば助かるのは当然です。泉房穂・明石市長に対しては毀誉褒貶が激しいようですが,私は応援したいですね。財源と給付を明確にして,そのうえである程度のリーダーシップをとって実績を上げるというのは,当然やるべきことですが,簡単なことではありません。もちろん,明石市も,どこかに負担がかかっていて,その問題点がいつかは顕在化するかもしれませんので,最終的な評価がどうなるかわかりませんが,何かやってくれそうな市長という点で,私は明石市民ではありませんが,関心をもってみています。加古川市長とやりやっているようですが,それも含めて,良い意味での競争をしてもらえればと思います。泉さんは,政治家を辞めるそうですが,このままあっさり引っ込むとは思えませんね。彼のような人を必要としているところは,多いでしょう。
 ところで,今朝の日本経済新聞で「女性の力が生きる地方議会に」というタイトルの社説がありましたが,問題意識は私も共有しています。子育ての問題も含めて,女性の視点を政治や行政の場でもっと反映させたほうが,大きな改善を期待できます。そして,子育ても,女性の地方議会進出も,テレワークが重要なポイントになると考えています。
 テレワークをうまくできれば,賃金を減らさず,キャリアを中断せず,仕事を継続できます。収入不安の問題がなくなるのです。現状では,テレワークができない企業や業種や職種も多いのでしょうが,ここにもっと力を入れるべきなのです。これが子育て問題への対処として最も効果的なものだと思っています。地方議会についてもテレワークの効果は大です。テレワークにより,地方政治に関心をもつ人が増えると思われるからです。自分の家にいる時間が長くなれば,住む地域の問題への関心が高まり,そうしたところから,地方政治の活性化が生まれるのだと思います。そして,女性はもともと男性よりも家にいる時間が長かったとすれば(それが良かったかどうかはさておき),そうした女性が地方政治に参加しやすくするようにすることもまたとても大切です。女性やテレワークにより居住地に戻ってきた男性・女性が増えることが,自分たちの住んでいる地域を良くするためにも必要なことなのです。かりに女性が家事に忙しいとしても,やはりテレワークができれば,議員活動をしやすくなるでしょう。
 ということで,子育て問題の解決についても,地方議会の問題についても,テレワークの推進をぜひ政策課題に入れるべきです。しかし,政権中枢にいる人は,誰もテレワークをしていないでしょうから,そういう問題意識は出てこないかもしれませんね。

 

2023年1月31日 (火)

季刊ひょうご経済に寄稿

 一般財団法人ひょうご経済研究所から刊行されている季刊雑誌の「ひょうご経済」(157号)に寄稿しました。タイトルは,「デジタル変革後の働き方の変化」です。
 読者が中小企業の経営者向けということでしたので,それを意識して書きました。この研究所は,みなと銀行グループのシンクタンクだそうで,このような地元の研究所の雑誌に執筆させてもらえるのは光栄なことです。みなと銀行は,神戸に住んでいると,みずほ銀行よりも店舗やATMの数では存在感があります。
 ところで,昨年はずいぶんと一般向けの論考を書きました。コロナ禍やDXなどで,これからの働き方への不安が高まっているなかで,私への依頼があったのでしょう。今回の論考でも扱いましたが,テレワークがどうなるのかも経営者の関心事のようです。
 今朝のニュースで,東京が2022年は転出超過から転入超過に変わったと報道されていました。テレワークができるようになったことによる郊外移転が一段落し,やむを得ずテレワークをしていたり,させていたりした従業員や企業の東京回帰が強まっているとの見方もできそうです。しかし,トレンドとしては,こうした東京回帰は一時的なものではないかと思っています。急激に転出が起きたので,揺り戻しがあるのは当然でしょう。
 これからの若者は,なぜ対面型なのかを問うようになるでしょう。対面型のメリットがあると考えている経営者が,そのことを若者にしっかり説得できるところでは,対面型でも若者は集まるでしょう。しかし,そうした説得ができる企業がどれほどあるでしょうか。日常生活のアナログ要素は残してよいのは当然ですが,仕事の分野でのアナログ要素は,かなりの部分が無駄だと考えている人が増えているように思えます。対面での人間関係の良さは,仕事以外のところでこそ発揮されるのです。そうだとすると,長い目でみれば,テレワークは減ることはなく,東京の転入超過もいつかは転出超過に戻ることになるでしょう。

2022年9月16日 (金)

テレワークは定着するか

 予告していましたように,昨日は,佐藤博樹さんとのランチタイムセミナーがありました。時間が限られていて,どうなるかと思いましたし,打ち合わせはごく簡単なもので,ほぼぶっつけ本番でしたが,なんとか終えることができました。視聴者も多く,私にとっては貴重な経験でした。やはりWebセミナーはすごいです。どこかに人が集まっているところで講演するのとは違い,こちらが移動しなくても,たくさんの人に話を聞いてもらえるのは,何度やってみても,不思議な感覚です。聴衆の顔が見えるわけではなく,佐藤さんの顔だけを見て話すので,二人だけだと思ってつい余計なことを話してしまうことがないように,気を付けていました。
 実は講演後に佐藤さんやスタッフの方と雑談をしたのですが,そこでは少し過激な話もしていました。経営者や上司がテレワーク導入に賛成してくれなくて困っているという意見について,話が盛り上がりました。これは実は,私がテレワーク関係の講演をしたときに,よく質問されるテーマです。上司層からはテレワークについての批判的な質問をよく受けるのと同時に,若手からは上司たちの無理解についての質問や嘆きが投げかけられるのです。拙著『誰のためのテレワーク?』(明石書店)でも,プロローグで,先輩たちの無理解に嘆く主人公Aくんの話を取り上げています。それへの解答は,まずはテレワークの価値を理解してもらうために拙著を読んでもらう,と言いたいところです。拙著のメッセージは,テレワークは,導入するかどうかの問題ではなく,どのように導入するかが問題だというものであり,それを受け止めてもらえればと思うのです。ところで,テレワークが実現する場所主権は,在宅勤務オンリーではなく,個人が場所を選んで生活や労働ができるというところがポイントであり,結果として就労場所はオフィスであってもいいし,はたまたリゾート地であってもよいのです。大事なのは,労働者が選択できるということです。佐藤さんも昨日,このことを繰り返し指摘してくださいました。こういう働き方を許容するのは,マネージする側には大変な負担となるのですが,それを乗り越えることこそが,プロのマネージャーの仕事なのです。一方,労働者側からすると,そういうマネージメントができない会社には,とっとと見切りをつけてしまうのも大切です。これは多くの聴衆の前では言えないことですが,個人的に相談されたら,そう答えます。テレワーク体制やデジタル体制を導入するのには手間も費用もかかるでしょうが,その方向に行っていない会社の将来は暗いでしょう。いまはピンピンしているような会社でも10年後はどうなっているかわかりません。これからは次々とデジタルネイティブ世代が出てくるので,テレワークなんて当たり前という感じになるでしょう。場所主権を享受できないような会社には,優秀な人材は集まらないでしょう。役所も同様です。いまだにファックスやフロッピーを使っている会社に誰が入所・入社するでしょうか。そう考えると,いますでに働いている人も,自分たちの会社がどこまで新しい流れに適応する能力をもっているかを,しっかり見極める必要があります。
 私がテレワークのことを書き始めてからかなり時間が経ちますし,それを上記の本にまとめた2021年はすでに遅すぎると思っていましたが,いまなおアクチュアルなテーマであり,拙著のメッセージを伝えなければならないという状況で,日本はこれでほんとうに大丈夫かと不安になります。

 

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