デジタル技術

2024年4月 8日 (月)

国会でのタブレット禁止に思う

 Yahooニュースで,「うんざり」「全く意味不明」...国民・玉木代表が嘆息 本会議場のタブレット使用に歴代正副議長が「拒否権」発動という記事が出ていました。国会の本会議場でのタブレット使用は,品位や権威の観点から禁止されているということのようです。玉木代表が嘆息するのは当然です。そういえば,河野太郎デジタル大臣がスマホでメモ内容を確認しながら質問をしようとして,制止されたこともありましたね。
 自分で作成した原稿を紙で印刷して持ち込まなければならないなど,どれだけ時代錯誤であるか。他人に作ってもらった原稿を読んでいるだけの人にはわからないのかもしれません。デジタル化を政府が本気で進めるなら,まず国会議員から紙を禁止にし,全員,原稿はタブレットかスマホ上のものを読むことを義務づけたらいいのだと思います。これなら裏方作業をしている役人の仕事の軽減化にもつながるでしょう。
 国会におけるデジタル化を阻む慣行こそ,その権威を損なっているといえます。おそらくタブレットなどを禁止しようとしている人は,議員にしろ,事務局にしろ,タブレットやスマホをミニパソコンとして使ったことがないのではないでしょうか。私たちの生活において,スマホは携帯電話としての利用はごくわずかで,主として情報収集・発信の手段であるわけで,何か調べたいときにスマホを使ったり,自分のメモをスマホで確認したりすることが禁じられるなど,現代社会ではありえないのです。
 ライドシェアも解禁されたとはいえ,安全性を重視して,規制のがんじがらめです。新しい時代に対応できていません。高プロ(労働基準法41条の2)を,健康確保といった観点から,規制のがんじがらめにして,使い勝手の悪いものとしているのと同じようなことです。
 このように,いろんな面で世間から遊離しているようにみえる国会ですが,実は,それは日本社会におけるデジタル格差を映し出しているのかもしれません。格差をつけられているほうが,日本の支配層にいるのは嘆かわしいことです。

 

 

 

 

2024年3月13日 (水)

ロボ配達

 東京の日本橋で,ウーバーイーツが,ロボを使った配達をする試みを始めたというニュースをみました。アメリカで始まっているという話を聞いたことがありますが,いよいよ日本でもか,という感じです。ギグワークの典型とされるフードデリバリーサービスの配達員ですが,私は将来的にはこの仕事は人間の仕事ではなくなっていくので,こうした業界を念頭において未来の労働政策を論じるのは適切でないという立場にあります。フードデリバリーサービスのように,人々の生活において必要とされるものであっても,実は今回のロボ配達のように機械を用いて対応できるものが多いのであって,人間が必ずしもやらなくてもよいのです。定型的な業務はAIや機械が対応するというのが,今後の労働政策の大前提です(さらに生成AIによって,機械の進出は,非定型的な業務にまで及ぶでしょうが)。
 もちろん,いつも述べているように,そうした技術革新の方向性はわかっても,完全な(あるいはそれに近い)省人化の実現時期が,30年後か5年後かでは議論の仕方が変わってきます。ロボ配達についても,実際にどれくらいのスピードで普及していくかは何とも言えません。ただ,技術的に可能である以上,社会実装はちょっとしたきっかけで一挙に広がるとみています。その他の業界でも,たとえば規制が少し変わるだけで,がらっと状況が変わり,社会実装が進む可能性はあります。

 とくに配達の自動化は,高齢者が増えて買い物困難者が増えることが予想される一方,人手不足が広がるなかで,デジタル技術がその解決策になるということを示すものです。ウーバーイーツのロボ配達の試みは,これからの社会課題の解決方法の一例として注目したいと思っています。それと同時に,こうした動きを,人間と機械との協働関係を考えるきっかけとすべきであると思います。

 

 

2024年3月 2日 (土)

ドライバーに日本語は必要か

 昨日のテレ東のWBCを観ていると,タクシードライバー不足のため,外国人を採用する必要があるものの,日本語能力の向上が問題となっているということが言われていました。実際に働いている外国人ドライバーのインタビューでも,日本語でのコミュニケーションが大切と語っていました。もちろん,日本語ができたほうがよいのですが,できなくても十分にやれる仕事だと思います。これはいつも書いているように,海外に言ってみると,何も会話をしなくても,行き先まで運んでもらえる経験を何度もしているからです。たしかに,かつては多少,不便なこともありました。タイのスワンナプーム(Suvarnabhumi国際空港からタクシーに乗るとき,空港のタクシー乗り場の担当者に英語で行き先を伝えて,それを紙にタイ語で書いてもらい,それを運転手に渡すということをしていました(いまも同じであるかわかりませんが)。運転手はタイ語しかできないので全く会話はありませんが,きちんとホテルまで連れて行ってもらっていました。町中でタクシーを拾うと同じようには行きませんが,乗るときに地図で行き先を示すとか,行きたい場所の名前を言うと,だいたい通じました。いまならGooglemap があるので行き先の指示に困ることはありませんし,アプリに入力すれば,それで十分でしょう。実際,数年前のマレーシアでは,ライドシェアサービスのGrabを利用したときは,アプリだけで問題はありませんでした。大切なのは,事前に料金が確定していることです。時間帯と距離で決まっているので,予期せぬ渋滞があっても料金が上がったりすることはありません。行き先は事前にアプリに入れていますし,料金は事前決済なので,あえて会話をする必要はないのです。同じことを日本のタクシーでもやれないことはないでしょう。何か法的制約があるのか知りませんが,技術的には可能です(もちろんライドシェアがほんとうに解禁されれば,いっそう問題がないでしょう )。

 つまりタクシードライバーに日本語能力は必須ではなく,あればよいという程度のことだと思います。コミュニケーションがとれて,サービスが良かったと思えば,チップをはずむことにすればよいということで,つまり付加的なサービスにすぎないのです。ということは,問題は,アプリの利用を私たちのほうができるかどうかにあるのです。スマホをもたなかったり,アプリを使えなかったりする人がいればダメですが,いまやスマホを使えないのは,電話をかけられないのと同じようなことです。つまりこれは,日本人側で解決しなければならないことなのです。外国人ドライバーの活用の障壁は,日本語の難しさではなく,日本人側のデジタルデバイドであるかもしれないのです。

 

 

2024年1月 7日 (日)

大地震に備える

 能登地震の悲惨な状況をみて,改めて家屋倒壊の怖さがわかりました。被災地域では耐震構造でない家屋も多かったようです。これを教訓として,住宅の耐震度を全国的にチェックし,必要な補修などについて,ある程度は強制的にやってもよいのではないかと思います。家屋の倒壊は,本人たちだけの問題ではなく,周りにも被害を与える可能性がありますし,救出のためのマンパワーがとられ,他の救出を困難にするなどの影響が出てしまうからです。費用をどこまで公費でまかなうかは議論があるでしょうが,とにかく事前にやれることをやっておくことが必要です(現在でも一定の要件を満たせば,税額控除や固定資産税の減額があるようです)。
 道路の寸断により陸の孤島と化しているような地域には,ドローンの活用ができるはずです。日頃からドローンで物資を運搬することを,各地域でシミュレーションしておくのが望ましいでしょう。充電不要のスマホ,スターリンク(Starlink)などの人工衛星を使った通信網なども,情報不足による孤立を防ぐために必要でしょう。水は,WOTAの水循環型シャワーなどが役立つでしょう(お湯は出るのでしょうかね)。仮設住宅の迅速な建設技術も役立つでしょう。こういういろんなアイデアや技術を結集して,たとえ災害があっても,迅速に日常生活を復興できるシステムを平時から準備しておく必要があると思います。
 地震と共生しなければならない国土に住む私たちは,はたしてどこまで地震に備えたシステムを構築できているでしょうか。最悪の場合,死者が約32万,全壊家屋が約240万と想定されている南海トラフ地震は,明日にでも起こる可能性があるのです。今回も,人々の献身的な救助活動や医療活動,ボランティア活動などがされていて,それには頭が下がりますが,人力以外に,もっと活用できる先端技術があるようにも思えます(実情がわかっていないだけかもしれませんが)。それに住民のほうにデジタル化が浸透していれば,たとえば緊急SOSの発信などにより,救えた命がもっとあったかもしれません。とくに高齢者こそ,スマホが頼りになるはずです。デジタル技術は,弱者にとってこそ力強い武器となりえるのです。今後の復興においてもデジタル技術は頼りになるでしょう。この面でも政府の早急な対応が必要です。

 

2023年12月10日 (日)

国会でのスマホ使用

 少し前に,河野太郎デジタル大臣が,参議院の予算委員会で辻元議員の質問に,スマホで検索をして内容を確認しながら返答しようとしたところ,議長から注意されたことが話題になりました。どうも審議中のスマホの使用は認められていなかったようです。 
 一昔前までなら,スマホの持ち込みや使用の禁止はわからないではないですが,いまはどうでしょうか。スマホはネーミングがミスリーディングで,実は電話ではなく,超小型コンピュータのようなものです(私も電話として使用することはほとんどありません)。スマホでの検索は時間がかかるので,質問時間が減らされるという批判もありますが,その場でわからないという返答よりも良いという見方もありえます。
 スマホをみながら授業中に報告をする学生は,私の経験では何年か前から現れ始めました。授業での報告は,紙媒体でなくてもよいとしており,本人が事前にメールで送った資料を,こちらは授業中ノートパソコンでみて,本人はスマホをみながら報告するということもありました。何も問題を感じませんでした(いまではスマホよりも,ノートパソコン持参学生がほとんどなので,学生はそれをみながら報告することになります)。スマホの利用は,人々がメモをみながら話すのと同じで,しかも通信機能をつかって内容を確認できるという点では,メモより優れているのです。
 単に相手をやりこめるということだけを考えていれば,スマホの検索で一呼吸を置かれるのはいやかもしれませんが,いまや世間では利用が当たり前の道具です。私もよく考えると,テレビや日常の会話で少しでも何か不明な点があれば,机の前ならPC,居間などであればiPad,それ以外であればスマホで,すぐに調べて解決を試みます。よほど時間がないときでないかぎり,あとで調べて確認するということはしません。それに単純なことであれば,Siriに聞けますし,少し複雑になっても,ChatGPTの利用で,迅速に解決ができます。いずれにせよ,近くにPCなどがないときに,スマホを使えないとなると,とても困ります。どんな会議であっても,きちんと議論をするための道具としてのスマホの活用を制限したりしているようではいけません。これでは,ますますデジタル後進国になるでしょう。

2023年9月23日 (土)

Digital divide

 昨日の続きですが,耳鼻科の待合室にいると,70代半ばくらいの女性が,「予約はできるのでしょうか」と受付の人にたずねていました。私よりも先に来て待っていたようですが,後から来た人が先に呼ばれていくことに疑問をもったようです。受付の人は「できます」と答えて,オンラインで予約されている方がいて,順番どおりにお呼びしています,と丁寧に答えていました。その女性は「電話で予約できますか」とたずねたところ,「予約はオンラインだけです」との答えで,「私はそういうのができないので……」という言葉に,受付の人は申し訳なさそうでしたが,どうしようもありません。
 予約は電話でも受け付ければよさそうなものですが,そういうことをすると,ややこしくなるのでしょうね。そうなると,スマホをもたず,ネットで予約ができない人は不便になります。これもデジタル・デバイドの一つでしょうが,こういう方に合わせてアナログ的なものを残していこうという議論になっては困ります。ここは行政の出番だと思うのですが,なにか手はないでしょうか。
 一方,当のクリニックも,受付後に,紙と鉛筆を渡されて住所や年齢などを書かされました(鉛筆というのが,なんとも言えないのですが,小学生になったような気分でした)。前にも別のクリニックに関して同じような不満を書いたことがあるのですが,オンラインで入力したものを,また鉛筆で手書きしろというのは,なんという無駄なことでしょうか。そして,この紙と鉛筆は,診療後に薬局に行ったときにもありました。初めての薬局に行ってしまったのが失敗でした。家の近所で以前に行ったことがあるところだったら,不要だったのでしょうが。
 クリニックの支払いは現金かもしれないと思い,そのためにわざわざ銀行で引き落として行ったのですが,やっぱり現金のみでした。現金は日常生活では使わないので,このためだけに引き落とさざるをえないのです。便利なところにATMがない時代がくると,現金払いというのは,とんでもなく迷惑なことになります。薬局は,クレジットカードが使えましたし,電子マネーもOKです。クリニックでは近所にあるその薬局を推奨してきたことからすると,両者は提携しているのでしょうから,支払い方法も提携してもらいたいものです。
 アナログとデジタルが混在していて,非効率だなと思う反面,アナログ以外無理という人たちもいて,難しいですね。行政の出番と言ってみたものの,デジタル庁は,マイナンバー問題からもわかるように,あまり頼りにならないようで,いったいこの国はどうなるのでしょうかね。このままでは,そう遠くない未来に,デジタル後進国に転落してしまうでしょう。そういえば,手帳をかかげて「聞く力」を自慢した首相が登場したことが,凶兆だったのかもしれません(森保ノート,栗山ノート……。もう十分です)。

2023年7月13日 (木)

官報のデジタル化

 3日前の日本経済新聞で,「政府は法令や企業情報などを載せている刊行物の官報について,紙の出版からインターネット上での公表を原則にする」という記事が出ていました。
 新しい法律についてはだいたいフォローできますが,それよりも下位のものは,私の情報収集力の弱さによるのでしょうが,なかなか適時にはフォローできません。実務をやっているわけではないのでそれほど急ぐ必要はないにしても,ある程度の速度で情報収集しておく必要があります。
 そういえば先日,職業安定法の指針の名称が長いというクレームをこのブログで書きましたが,令和4610日の厚生労働省告示198号で,名称が短くなっていたことに気づきました。改正前の名称について間違った情報を流して,たいへん申し訳ありませんでした。とはいえ,名称が依然として長いことに間違いはないのですが。

 改正前の名称
「職業紹介事業者,求人者,労働者の募集を行う者,募集受託者,募集情報等提供事業を行う者,労働者供給事業者,労働者供給を受けようとする者等が均等待遇,労働条件等の明示,求職者等の個人情報の取扱い,職業紹介事業者の責務,募集内容の的確な表示,労働者の募集を行う者等の責務,労働者供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針」

 改正後の名称
「職業紹介事業者,求人者,労働者の募集を行う者,募集受託者,募集情報等提供事業を行う者,労働者供給事業者,労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」

 句読点を入れて161文字から89文字への減少なので,文字数は半数近くになりましたが,なお長すぎるので,前のクレームは維持しておきたいと思います。
 話を戻すと,ChatGPT時代には,情報収集を自ら検索して追跡するというGoogle型ではなく,簡単な問いかけで入手できるようにするパターンに変わっていくのではないかと思います。いまでも,法令提供情報をしてくれる業者と契約をすれば,そういうことは可能でしょうが,できれば,政府のサービスとして,アプリで事前に設定して,関心のある分野の法令の改正情報がすぐに届くようにしてもらえたら助かります。
 インターネット官報は,助かる面もありましたが,紙の官報のPDFにすぎないようなので,ほんとうのデジタル化とは言えませんでした。公布という概念を,デジタル時代にあわせて根本的に変えていくことが必要でしょう。もはや紙の官報という時代ではないのは明らかです。

2023年7月11日 (火)

マイナンバーカード問題

 数日前に,個人情報保護委員会がデジタル庁に立入検査する予定であるという報道がありました。マイナンバーは,行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(通称は,マイナンバー法)でいう「個人番号」であり,「個人番号」に含まれる個人情報は「特定個人情報」と呼ばれ,個人情報保護法の特例が認められています。個人情報保護委員会は,個人情報保護法とマイナンバー法に関する監視・監督をする権限をもっている行政委員会です。
 ところで,マイナンバーカードをめぐるトラブルは,もちろん様々な原因があるのでしょう。ただ私の経験から,もともとマイナンバーカードの取得のときから,霞ヶ関も自治体職員も前向きではなかったのではないかということを,前に書いたことがあります。また,運転免許証がない私にとって,マイナンバーカードは身分証明の重要な書類となるはずでしたが,かなり長い間,写真があるマイナンバーカードは本人証明にならず,写真のない健康保険証の提示ならOKというようなおかしなことが続いていました。政府がちょっと号令をかければ変わることなのに,本気でマイナンバーカードを国民に普及させようとはしていないのだなと思っていました。
 これも前に書いたことがありますが,父が市役所にマイナンバーカードを取りにいくのが体力的に難しかったとき,そのことを自治体の担当職員に告げた私に,そこまでしてカードを取得する必要があるのですか,という唖然とするような言葉を投げかけられたことがありました。結局は,職員が出向いてくれて本人確認し引き渡してくれたのですが,高齢者であっても,確定申告はするのであり,E-Taxでマイナンバーカードを使うのです。
 職員たちにとっては,マイナンバーカードは,国民からの反対は強いし,政府の本気度はよくわからず,でも事務作業が多いというものですから,やる気にならないのかもしれません。それでもほとんどの人はきちんと仕事をするのですが,人為的なミスが起こりやすい土壌があるのではないでしょうか。とくに現在のトラブルは,健康保険証について,保険機関の職員が,保険者番号とマイナンバーとの紐づけにミスしたことが原因のようですが,そもそもこんな面倒なことを人の手でやらせるとミスがでないほうがおかしいような気がします。デジタル化の背景には,常に「ゴースト・ワーク」があるのですが,今回の人の手による紐付というアナログ作業も,一種の「ゴースト・ワーク」といえるかもしれません(晶文社から翻訳書が出ている同名の書も参照。同書については,近いうちに私の短評が出ます)。いずれにせよ,デジタル庁が,人による無味乾燥なアナログ作業に頼っているというのは,悪い冗談のような気もします。
 とはいえ,一部の人がやっているようなマイナンバーカード返納運動はいかがなものかと思います。政府が悪いと言いたいのでしょうが,紐付けのミスをした人の肩身がますます狭くなるかもしれません。どっちにしろマイナンバーは付与されているのであり,マイナンバーカードという「物」に当たるのではなく,もう少し違った形で建設的な抗議をしたほうがよくないでしょうかね。

 

2023年7月 5日 (水)

司法試験のCBT化に期待

 司法試験のCBTcomputer based testing)化が進められるという情報が,同僚の間で話題になっています。2026年の司法試験からの導入のようです。受験者にとっても,採点者にとっても,助かることになるでしょう。いまどき,手書きで大量の答案を書くというのは,法学のテストというよりも,体力テストのようなものになっていて,実際の仕事では手書きで文章を書くことなどほとんどないのに,なぜ試験でそういうことを課すのかという疑問は高まっていました。法曹界は,思った以上に,上の方たちはDXに積極的なのかなという気もします。重要事件の裁判記録をデジタル保存していればよかったのに,それもせず無造作に破棄してしまったという大失態について,最高裁が割と迅速に謝罪という対応をしたことは,逆にデジタル対応への意識が強く,この大失態がいかに情けないことかということが自覚できていたからではないかと,私には思えました(実際にはどうかわかりませんが)。
 朝日新聞デジタル(2023626日)によると,「不正防止などの観点から,当面はオンラインではなく,試験会場に用意するパソコンを使って受験する方式を想定している。同様の手法は,米国の弁護士試験などで導入されているという」ことのようです。ゆくゆくは不正防止について技術的防止策を開発し,あらゆる国家試験がオンラインで受けられるようにすべきでしょう。司法試験には,ぜひその先鞭をつけてほしいです。
 当然,法科大学院の期末試験もCBTでやれるようにしてほしいです。国家試験とは異なるので,もちろん不正防止対策は重要とはいえ,いろいろ実験できると思います。最初から完璧を目指すことはせず,その時点でのできるかぎりの対策はしたうえで,何か問題点があれば徐々に解決していくという姿勢で臨んでほしいです。
 手書きは趣味の世界にとどめ,仕事での文書はデジタルが基本という社会は必ず来るのであり,どうせならできるだけ早く対応してもらいたいです。なおデジタル文字のほうが拡大ができるので,採点する側の(老眼の)高齢者に優しいです。デジタル技術は高齢者や障がい者にフレンドリーであるという,いつもの話にもつながります。

2023年6月24日 (土)

医療のダイナミックプライシング

 病院やクリニックの待ち時間の長さには困ることが多いのですが,みんな諦めているのかもしれません。ただ,これだと忙しい人たちはなかなか病院に行けず,病気の早期発見ができないというようなことになりかねません。すでに多くの人が要請していると思いますが, ダイナミック・プライシング(Dynamic Pricing)で,混雑緩和を図ってほしいですね(現在でも,時間外,休日,深夜の加算はありますが,時間内でも差を設けようということです)。高齢者の多くは,時間的な余裕があるので,そういう人たちが朝一番とか,良い時間帯を独占しているのは困ったものです。年齢層によって時間帯を分けるのが難しいとすると,繁忙タイムには料金を高くし,閑散タイムには料金を下げるという方法をとってもらえないでしょうかね。診療報酬が決まっているのがネックですが,診療報酬(点数)の上下20%くらいは,診療機関の裁量で決められるということにして,ソフトを開発したらどうでしょうか。料金の変動を知るためのスマホをもっていない高齢者には効果がないかもしれませんが,こういうシステムを入れると,高齢者の間にもデジタルが浸透していくかもしれません。
 普通のサービスでは,客を待たせた場合には,お待たせしてすみません,という一言があることが多いですが,医療機関の場合は,私の経験では,そういう声はあまり聞かれません。患者はいくらでも待たせてよいということでしょうが,その意識から変えてもらいたいですね。ついでにいうと,自由診療もダイナミック・プライシングをしてほしいです(感染症が流行となる時期の予防注射において,希望者が多くて,なかなか普通の病気の診療のために来ている人の順番が回ってこないことがあります)。
 診療報酬の点数がもっとわかりやすくなることも必要でしょう。診療報酬というと,医療機関においては,7割が保険機関への請求となるので,それが重要に思えますが,やはり3割は患者が負担しているので,患者にとっては医療行為というサービスの対価という面があります。自分が受けた医療行為がいくらかというコスト計算はしっかりしておきたいので,明確にわかるようにしてもらいたいです(ネットで探せばわかるのですが)。自分が受けている医療行為の点数が高いものであれば,閑散タイムで点数が低い時間帯を選ぼうとして,医師のほうも点数の高い難しい医療行為を,余裕をもってできるというメリットがあるかもしれません。
 厚生労働省というとDXから最も縁遠い官庁というイメージもありますが,国民の利便性を高めるという点でも,ダイナミック・プライシングの導入を検討したらどうでしょうか。

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