アメリカの政治はどこへ向かうのか
ニューヨーク市長選の結果を見て アメリカ最大の都市であるニューヨークで行われた市長選挙で,インド系移民でイスラム教徒のゾーラン・マムダニ(Zoran Mamdani)氏が当選したそうです。マムダニ氏は民主社会主義者と自称し,民主党内でも急進左派とされる人物です。アメリカでも政治の「揺り戻し」が起こりつつあるのかもしれません。今日のクローズアップ現代でもとりあげられていましたが,基本的な支持母体はTrumpと共通するところがあるようです。要するに,この生活難をなんとかしてくれということです。
もともとニューヨークは民主党が圧倒的に強い地域ですが,それにしても,かなり急進的な思想をもつ人物が市長になったということで,今後の展開がやや心配です。心配というのは,政策内容というより,むしろ共和党が強く反発しそうな点です。実際,トランプ(Trump)大統領は,マムダニ氏を共産主義者と呼び,ニューヨーク市に対する連邦からの補助金を打ち切るというようなことを言っているようです(そんなことは簡単にできるのでしょうか)。
マムダニ新市長の公約によれば,高所得層に増税を行い,その財源を住宅価格の上昇抑制や市営バスの無料化といった市民生活への直接支援に充てるとのことです。理念としては理解できますが,果たしてそれが現実的なのかはまだわかりません。単なるポピュリズム(populism)的な政策に終わるかどうか,まだよくわかりません。
それにしても,トランプ大統領の再登場,そしてニューヨークにおける急進左派の台頭と,アメリカ政治は非常に不安定に見えます。思えば,オバマ(Barack Obama)政権からトランプ政権への移行が大きな「振り子」の始まりでした。その後,トランプからバイデン(Biden)へ,そして再びトランプへ――この振れ幅の大きさは,もはやジェットコースターのようです。
ただ,あえて言えば,オバマ=バイデン時代があまりにもリベラルに傾きすぎたため,その反動としてトランプのような人が出てきて,そして,またマムダニのような人も登場しているのかもしれません。
政治の安定という観点からは,左右どちらかに大きく振れるよりも,中道に寄った「ほどよい往復運動」が望ましいように思います。欧州はそうした傾向が比較的強いです。
日本でも,自民党の中で宏池会と清和会が交互に主導権を握るくらいの揺れであれば,政治的安定という点では悪くないかもしれません。あくまでアメリカとの比較ではありますが。

