読書ノート

2023年10月 1日 (日)

献本御礼

 10月に入り,ようやく冷房をつけなくても過ごせるようになってきました。明日からLS以外の授業も始まるので,体調に気をつけて頑張っていきたいと思います。
 ちょうど学期が始まるタイミングということでしょうか,水町勇一郎さんから『詳解労働法(第3版)』(東大出版会)をいただきました。いつも,どうもありがとうございます。授業に備えて,最近の動向も勉強をしておかなければならないので,この本を参考にさせてもらいます。早くも3版ですね。ひょっとしたら,菅野労働法にとってかわるかもしれないというくらいの勢いを感じます。水町労働法がこれから権威を得ていくのでしょうね。これが時代の流れというものでしょう。驚いたのは,ビジネスガイドの最新号の表紙をめくると,いきなり水町さんの写真が出てきて,この本を教材にして,日本法令で実施される水町ゼミの宣伝が出ていました。応募者が殺到することでしょう。LSの学生のほうは,水町さんの有斐閣のほうの労働法を読んでいる人が多いようであり,どちらにしても労働法の世界をがっちりつかんでいますね。知らぬ間に,実務も教育も水町一色になっていたというのでは,学界の発展のためには,ちょっとまずいのですが,対抗勢力のパワー不足という日本の労働法学の現状が,こういう状況を生み出しているのかもしれませんね。
 もう1冊,水町勇一郎・緒方桂子編の『事例演習労働法(第4版)』(有斐閣)もいただきました。こちらも,どうもありがとうございました。私が編者をした,弘文堂の『労働法演習ノート』は,事例をたっぷり読ませるというスタイルのものですが,本書はそれとは違い,事例がコンパクトになっています。昔はこういうスタイルの演習本がたくさんあったような気がしますが,いまはあまり見かけないですね(私が知らないだけかもしれませんが)。4版が出るということは,読者のニーズも高いのでしょう。たしかに設問のケースをざっとながめているだけで,現在の労働法の主要な問題が把握できるような気がします。期末試験の問題を考えるときに,参考にさせてもらえればと思います。

 

 

 

 

2023年9月29日 (金)

前川孝雄『部下を活かすマネジメント“新作法”』

 FeelWorksの代表取締役である前川孝雄さんから,『部下を活かすマネジメント“新作法”』(労務行政)をいただきました。いつも,どうもありがとうございます。今回の本は,私が日頃感じていたことを見事に書いてくださっています。本のコンセプトは,本の表紙にも書かれている「上司の悩み スッキリ解決!」ということなのですが,要するに大切なのは,これまでの社会常識が変わってきているということです。
 これからの上司というのは年長で勤続年数が長く,仕事ができるということでは務まりません。いまの上司は,どうしてもかつての自分の上司をモデルとしがちでしょうが,かつての上司のやっていたことは,企業内が「治外法権」とされていた時代のことです。現在では,SNSによる労働法規違反の告発にはじまり,公益通報者保護法により内部告発を是とする風潮が広がるなか,上司が下手なことをすれば,すぐにネットで情報が拡散します。個人情報保護法の背景にあるプライバシー保護は,その重要性を飛躍的に高め,「プライバシー」は部下がいつでも上司に対抗できる「殺し文句」になっています。企業経営においても,ESG投資やSDGなどが浸透して人権を始めとする社会的価値がビジネスと同等の重要性をもつようになり,仕事さえできれば,多少のことは「おめこぼし」という時代ではなくなっています。もちろん,部下との人的な接触は,肉体的なものだけではなく,言葉によるものでも,ハラスメントとされる危険が高まっています。上司には,こうした種々の新たなルールに対応していくことが求められているのです。しかし,これが単に受け身の「対応」で終わってはいけないのでしょう。新たなルールは,良い人材を集めるためであったり,人材にいっそう活躍してもらったりするための手段にもなります。だからこそ,そこにはチャンスがあるということです。上司は上から何かをやる存在ではなく,部下とともに何かをやる存在でなければならないのです。その意味で,上司や部下という上下関係は,もはやないものと考えたほうがよいのかもしれません。
 以上のような雇用の現場の変化をふまえたとき,本書には,いろいろと役に立つ実践的なことが書かれています。また第2部では,経営者へのインタビューが掲載されています。サイボウズの青野慶久社長も登場します(以前に,文藝春秋の企画で,対談させてもらったことがあります。『会社員が消える』出版記念対談)。サイボウズは,私には理想的な会社に思えるのですが,それは青野社長が新しい社会常識をもって,きわめて真っ当な経営をされているからであり,そのことは本書でのインタビューからもわかると思います。
 上司世代だけでなく,これからの会社はどうあるべきかを考えたい人にも参考になる本です。

 

2023年7月19日 (水)

小嶌典明『労使関係法の理論と実務』

 かなり前のことになりましたが,小嶌典明先生から,『労使関係法の理論と実務』(ジアース教育出版社)をお送りいただきました。いつも,どうもありがとうございます。この本は,小嶌先生の団体法の分野で書かれた論文をまとめたものです。1冊にまとめられたので,とても助かります。しかも,この本はたんに過去の論文を収録しただけでなく,それぞれに「Summary & Supplement」がつけられていて,その後の情報の補充などがされていて,勉強になります。ここでは個々の章の内容について検討することはできませんが,労働組合,従業員代表制,団体交渉,労働協約,争議行為(とくに怠業論)などについての重要な論点を,独自の視点から検討し,通説とはまったく異なる結論を提起されたりしています。
 いきなり冒頭に,労働法学に衝撃を与えた「労働組合法を越えて」が収められています。同論文は,今日,個人事業者の団体交渉という問題が出てくるなかで,まさに立ち返らなければならない論点を扱っていたのです。「団体交渉は,労働組合の専売特許ではない」(20頁)という小嶌先生の主張は,労働法学ではほとんど相手にされてきませんでしたが,いまのとなれば,その先見性は驚くべきものです。
 一方で,小嶌先生は,ある意味では徹底したリアリストの観点から,現場における常識的な感覚(たとえば,使用者が,複数の労働組合と団体交渉に応じなければならないとするのはおかしいのではないか)が,アカデミックな議論では通用しておらず,非常識なことがまかりとおっているということを随所で指摘されています。その指摘のすべてに賛成するわけではありませんが,考えさせられる部分も多いです。
 本書の最後には,小嶌先生は,自分のことを「プロキャピタル」と呼ばれることに反論しています。むしろご自身は「プロユニオン」だと言われるのです。私は,小嶌先生は「プロキャピタル」なのではなく,あるべき労働法を追求し,だからこそ,「ユニオン」に対して厳しい(愛ある)意見を述べたりしてきたのだと思っています。
 10年以上前に,小嶌先生の著書『労働市場改革のミッション』の書評を書かせてもらったことがあり(日本労働研究雑誌617号),僭越ながら,次のようなことを書いていました。
 「本書全体を通して伝わってくるのは,著者のもつ,堅い信念に満ちた改革への情熱である。「自由と競争」を重視するというと,経済学者の主張のよ うにも思えそうだが,著者の基本にあるのはあくまで労働者の保護であり,まさに労働法学者のスタンスなのである。労働者を保護するための方法をどうするかという点で,通常の労働法学者と手法が違うだけである。ただ,その手法の違いは,著者と他の労働法学者との溝を深いものとしている。著者はそれで良いと思っているかもしれないが……。」
 最近は,規制・制度改革学会の雇用分科会で議論させてもらう機会があります。また,いろいろ教わることができればと思っています。

 

2023年7月14日 (金)

鶴光太郎『日本の会社のための人事の経済学』

 鶴さんから,『日本の会社のための人事の経済学』(日経BP 日本経済新聞出版)をいただきました。いつも,どうもありがとうございます。『人事労働法』(弘文堂)という本を書いていた私は,『人事の経済学』という書名に親近感を覚えました。経済学というと国境に関係のない普遍性がある学問分野というイメージですが,ここでは「日本の会社のための」という断りがわざわざ入っていて,日本には独特の人事システムがあり,それを経済学の立場から分析したということだと思います。
 その内容については,JILPTの濱口桂一郎さんの「ジョブ型」の議論を意識されてはいるのでしょうが,会社人事の実務において「ジョブ型」というものを,どう具体化していけばよいかということを原理から解説したのが本書でしょう。
 ジョブ型については,私もいろいろ書いているので,ここでは書きませんが,本書のはしがきで書かれているように,「最近,特に着目されるようになった人的資本経営において重視されている,副業・兼業,社内公募制などは,ジョブ型雇用がそのベースになければならないことは案外認識されていない」とするならば,本書のように,ジョブ型についてきちんと解く本がなければいけないでしょう。
 終章では,「従業員からみた「ミライのカタチ」」が書かれていて,最初は,鶴さんのことが書かれていると誤解して読んでいて,妙に親近感をおぼえていたのですが,なんか変だなと思って確認したら,20年後の未来予想をした架空の話でした。でも私自身は,そこに出てくる20年後の社員(プロ型社員としてのキャリア,テレワークの定着した職場,プライベートに重点を置く家庭・家族観)とほぼ同じような感覚で,すでに生活・労働をしていて,これは20年後ではなく,現在の会社員の感覚にあてはまるものではないかなと思いました。

 

2023年7月10日 (月)

『実務詳解 職業安定法』(弘文堂)

 倉重公太朗・白石紘一編『実務詳解 職業安定法』(弘文堂)を,共著者の一人でいらっしゃる板倉陽一郎弁護士からいただきました。どうもありがとうございました。板倉さんとは,もう何年も前に,総務省の「AIネットワーク」関係の仕事でご一緒したことがあったかと思います(あの会議では,ほかにも前の日銀副総裁の若田部昌澄さんと一緒になるなど貴重な出会いがありました)。本書では板倉さんが個人情報保護の部分を担当されていたので,しっかり読んで勉強しました。ちょうど次の授業で個人情報保護をテーマに話す予定だったので,職安法の部分についての情報をアップデートして整理できて,たいへん助かりました。松尾剛行さんの『AI・HRテック対応 人事労務情報管理の法律実務』(弘文堂)もそうですが,個人情報の分野は,弁護士の方の業績が参考になりますね。
 ところで,職安法は,私がビジネスガイドで連載中の「キーワードからみた労働法」でも,今年の1月号で「募集情報等提供事業」というキーワードで採り上げており,その論考のなかで改正職安法により同法は「新ステージに入った」という評価をしていました。本書でも,改正法を「シン・職安法」と呼んで同様の認識がされており,この新たな職安法の全体像を知るうえで,本書は役立つ文献といえるでしょう。
 ちょっと驚いたのは本の表紙です。著者の名前がずらっと並んでいて,板倉さん以外にも,安西愈さん,今野浩一郎さん,濱口桂一郎さんなどのビッグネームが含まれていました。その上に編者二人の名前が大きく書かれていて,これだけの執筆者を動員する人脈があり,それを編者としてまとめ上げるとは,どれくらいすごい人なのだろうと思ってしまいました。

 

2023年6月15日 (木)

島田陽一『雇用システムの変化と労働法政策の展開』

 島田陽一先生から『雇用システムの変化と労働法政策の展開』(旬報社)をかなり前にいただいていましたが,しっかり読んでから紹介しようと思い,時間がかかってしまいました。全部読み切れたわけではありませんが,あまり遅くなってもと思い,ご紹介します。
 唐津博先生のご著書もそうでしたが,古希を迎えた先生方が過去の業績をまとめたものは迫力があります。きちんと一つの本として整理できるというのは,それだけしっかりした研究を系統立ててやってこられたことの証であり,私のように関心がどんどん広がって,常に前に書いたものを壊しながら進みたいという人間には,とても無理なことです。
 島田先生の今回の本は4部構成で,第1部が「日本型雇用慣行の変容と労働法政策の課題」,第2部が「非正規雇用と労働法政策」,第3部が「労働時間法制の立法政策と今後の展望」,第4部が「労働法制の再編と生活保障法の展望」です。島田先生といえば,政府関係の仕事もされていて,労働政策に明るい方です。この本に収録されている諸論文も,そうした先生の研究の方向性が良く表れているように思います。非正規雇用や労働時間法制がまさにそうしたもので,また生活保障法の構想も島田先生が開拓しておられるものです。テーマについては政策面で新しいものを扱うという点で先進性があり,一方でその研究内容は,バランスがとれていて信頼性が高く,後輩の私がいうのも失礼かもしれませんが,非常にセンスの良い研究だと思います。島田先生と同じようなスタイルの先生は,なかなか出てこないでしょう。
 古稀という年齢は,まだこれからです。最近,大学のキャンパスで,傘寿をむかえた名誉教授が,図書館で本を借りている姿をお見かけしました。研究意欲はまったく衰えておらず,目線も鋭いです。自分の20年後を考えるととても自信はありませんが,いまの高齢社会では,古希はたんなる通過点という感じですね。島田先生のような堅実な研究をされている方は,お世辞ではなく,傘寿のときにも,すぐれた業績を収録した今回のような本を出されるのではないかと思います。

 

2023年5月 1日 (月)

武石恵美子『キャリア開発論(第2版)』

 武石恵美子さんから,『キャリア開発論(第2版)』(中央経済社)をお送りいただきました。いつも,どうもありがとうございます。武石さんには,以前に,広島中央保健生活協同組合事件・最高裁判決が出たときに,神戸大学で開催したシンポジウムでご参加くださり,たいへん有益なコメントをいただいたことがあります。その後も,佐藤博樹さんとの共著などを始め,多くの本をいただいており,いつも勉強させてもらっています。先日の経済教室(日本経済新聞)でも書いたように,キャリア権の重要性がますます高まるなか,本書のキャリア開発論こそ最も重要な領域といえます。帯に書かれている「DXや働き方改革など変革期におけるキャリアについて,個人,企業,社会の役割を考える!」ことこそ,いま求められているのです。
 労働法の領域でも,従来の日本型雇用システムが変容し,既存の法理が徐々に時代遅れになりつつるあるなか,漫然と従来型の授業を続けるのではなく,たとえば武石さんの本を教材として,それをベースに法律や判例の話をしていくほうがよいのではないかというような気もしています。社会人を相手にした大学院レベルでは,こうした授業のほうが効果的であると思いますし,いまや学部でもそうした授業が学生に求められているのかもしれません。私は,労働法と人事管理論とを融合した『人事労働法』(弘文堂から刊行した拙著のタイトル)を提唱しているのですが,拙著自身は法解釈の本であり,誰も近寄れないような体系になってしまっています。もう少し経営学や人事管理論のウエートを強めて人事労働法を勉強してもらおうとするならば,法学の授業であっても,武石さんの本書を副教材として使うことは検討していければと思っています。

2023年4月20日 (木)

櫻田謙悟『失った30年を越えて,挑戦の時』

 櫻田謙悟『失った30年を越えて,挑戦の時~生活者(SEIKATSUSHA)共創社会』(中央公論新社)をお送りいただきました。どうもありがとうございます。面識はありませんが,櫻田氏は,言うまでもなく,経済同友会代表幹事(新聞報道では4月末に退任)で,メディアにもよく登場される方です。経団連とは違い,同友会のほうが,私の感覚に合う提言がなされることが多いと思っています。今回の提言は,「生活者(SEIKATSUSHA)共創社会」というものですが,ネーミングがわかりにくいのが,ちょっと難点ですね。
 本書の第1章の「課題解決を先送りしてきた『課題先進国』」の部分は重要な指摘で,GDPの伸び悩み,賃金水準の停滞,低い労働分配率や労働移動の低調,高齢化にともなう社会保障危機,国家財政の危機的状況,深刻な少子化・人口減少,子どもの相対的貧困,エネルギー危機などについて,読者と問題意識を共有することができます。第2章の「日本の強み」は,武士道の話とか,ちょっとどうかなという気もしますが,日本は生活するうえで,世界にも稀な素晴らしい国であることは間違いありません。具体的な提言を論じる第3章については,企業中心社会から個人中心社会へという私の立場からは,企業中心という視点を感じるところはどうかと思います(経営者の団体の提言ですから仕方ないのですが)が,「生活者共創社会」のための提言として,⑴個を尊重し将来を生き抜く力を育てる教育を,⑵人材とデジタルへの長期的投資で価値創造基盤を構築・強化,⑶利他の精神・パーパスに基づく付加価値の創造,⑷「挑戦の総量」がカギを握る,が挙げられているところは,そのとおりだと思います(152頁以下)。本書の提言は,これからの政策議論において,十分に考慮に入れなければならないでしょう。

2023年4月16日 (日)

献本御礼

 川口美貴さんから,『労働法(第7版)』(信山社)をお送りいただきました。いつも,どうもありがとうございます。前に第6版をいただいたばかりと思っていましたが,すごいスピードでの改訂ですね。単著だからこそのスピード感かもしれません。しかも,新しい理論的な課題も取り入れられているとのことで,その学問的エネルギーには感服します。今後の改訂版も楽しみにしています。
 もう1冊,小畑史子,緒方桂子,竹内(奥野)寿著の『労働法(第4版)』(有斐閣)も,ご著者からお送りいただきました。いつも,どうもありがとうございます。定評あるストゥディア・シリーズです。タイプの違った執筆者を一緒にして教科書を書かせるというのは有斐閣流で,そこから生まれる「化学反応」でオリジナリティを出すという企画だと思いますが,この本では内容は単著かと思うほど非常に手堅いもので,初心者の教科書としてすぐれています。
 川口さんの本は体系書で独自のスタイルで走っておられ,他の競合者はいないように思います(ただし,ファンがどこまで増えるかは未知数)が,一方,小畑さんたちの初心者向けの教科書市場は競争が激しいようにみえますが,そのなかでも本書は第4版と版を重ねていることからもわかるように,競争を十分に勝ち抜けるクオリティをもっているのだと思います。
 それにしても労働法の本は売れるのですね。それだけ世間の労働問題への関心が高いということなのでしょう。教科書が出ることにより,いっそう関心が広がり,それにより教科書もいっそう刊行されるという循環効果が起きているのかもしれません。市場規模はまだ拡大の余地があるかもしれませんね。でも,初心者向けの教科書の新規参入はもういいでしょう。すでに小畑さんたちの本のように十分にすぐれたものが出ていますから。

 

 

 

2023年3月14日 (火)

献本御礼

 アメリカの銀行破綻の影響は心配ですね。日本でも日経平均は大幅に下がり,インフレが予想されるなか,株式に投資をしようとしていた人にとっては,ちょっと出鼻をくじかれた感じですね。
 ところで話は変わり,久しぶりに大学に行くと,本が何冊か届いていました。今日は,そのうちの2冊を紹介します。一つは,有斐閣ストゥディアのシリーズの『社会保障法(第2版)』です。共著者のなかの島村暁代さんと永野仁美さんからお送りいただきました。いつも,どうもありがとうございます。社会保障法の超初心者向けの本だと思います。島村暁代さんの弘文堂の『プレップ社会保障法』と比べると,個人的には,プレップのほうがお薦めかなという気がします。やはり単著のほうがいいですね。でも,これは個人の好みですので,ぜひ読んでご判断ください。
 もう1冊は,前川孝雄『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』( 株式会社FeelWorks)です。たくさんの本を書かれている前川さんですが,いつもお送りいただきありがとうございます。今回は,「人的資本経営の現場マネジメント教科書」の決定版と表紙に書かれています。5つのステップとは,「相互理解」を深める⇒「動機形成」を図る⇒「協働意識」を醸成する⇒「切磋琢磨」を促す⇒「評価納得」を得る,というものです。いつものように,すっきりわかりやすいです。納得規範を重視する私の考えともつながるものであり,上司の方たちは,ぜひ参考にしてください。

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