武石恵美子『キャリア開発論(第2版)』
武石恵美子さんから,『キャリア開発論(第2版)』(中央経済社)をお送りいただきました。いつも,どうもありがとうございます。武石さんには,以前に,広島中央保健生活協同組合事件・最高裁判決が出たときに,神戸大学で開催したシンポジウムでご参加くださり,たいへん有益なコメントをいただいたことがあります。その後も,佐藤博樹さんとの共著などを始め,多くの本をいただいており,いつも勉強させてもらっています。先日の経済教室(日本経済新聞)でも書いたように,キャリア権の重要性がますます高まるなか,本書のキャリア開発論こそ最も重要な領域といえます。帯に書かれている「DXや働き方改革など変革期におけるキャリアについて,個人,企業,社会の役割を考える!」ことこそ,いま求められているのです。
労働法の領域でも,従来の日本型雇用システムが変容し,既存の法理が徐々に時代遅れになりつつるあるなか,漫然と従来型の授業を続けるのではなく,たとえば武石さんの本を教材として,それをベースに法律や判例の話をしていくほうがよいのではないかというような気もしています。社会人を相手にした大学院レベルでは,こうした授業のほうが効果的であると思いますし,いまや学部でもそうした授業が学生に求められているのかもしれません。私は,労働法と人事管理論とを融合した『人事労働法』(弘文堂から刊行した拙著のタイトル)を提唱しているのですが,拙著自身は法解釈の本であり,誰も近寄れないような体系になってしまっています。もう少し経営学や人事管理論のウエートを強めて人事労働法を勉強してもらおうとするならば,法学の授業であっても,武石さんの本書を副教材として使うことは検討していければと思っています。