竜王戦開幕
10月9,10日に東京・渋谷で行われた第39期竜王戦七番勝負第1局は,藤井聡太竜王(名人,六冠)が挑戦者の服部慎一郎七段に勝ち,6連覇に向けて好スタートを切りました。藤井竜王は昨年,5連覇によって永世竜王の資格を獲得しており,今期はさらに連覇記録を伸ばせるかが注目されています。
服部七段は,今年の棋聖戦五番勝負でも藤井棋聖に挑戦しましたが,3連敗でタイトル奪取はなりませんでした。今回は,その雪辱を期しての再挑戦です。第1局では,後手番の服部七段が藤井竜王の得意とする角換わりを拒否し,相掛かりの力戦形に持ち込みました。序盤から前例の少ない難解な局面となり,両者ともに慎重に時間を使ったため,初日は44手までしか進みませんでした。
2日目は,服部七段が封じ手で右の桂馬を跳ねて積極的に動き,左辺で本格的な戦いが始まりました。しかし,藤井竜王は冷静に対応し,端に打った角が効果的に働いて,次第に主導権を握りました。服部七段としては,得意とする力戦形に持ち込むことには成功したものの,藤井竜王の対応力の高さを改めて思い知らされる結果となったことでしょう。まだ七番勝負の初戦です。第2局は10月22,23日に静岡県三島市で行われます。
一方,伊藤匠二冠(叡王・王座)は,棋戦によって明暗が分かれています。王座戦五番勝負第3局では,挑戦者の広瀬章人九段を破り,2勝1敗として初防衛に王手をかけています。王将戦の挑戦者決定リーグでも好調で,10月6日には近藤誠也八段を破り,開幕から3連勝で単独首位に立っています。ただ,A級順位戦では0勝3敗と苦戦しており,さらに10月9日の棋王戦挑戦者決定トーナメント準々決勝では,石井健太郎七段に敗れました。棋王戦では,渡辺明九段や豊島将之九段などのトップ棋士も勝ち残っていますが,意外な挑戦者が誕生する可能性もありそうです。
女流棋戦では,今日,大きな出来事がありました。金沢で行われた白玲戦七番勝負第5局で,西山朋佳白玲が挑戦者の福間香奈女流四冠を破り,4勝1敗で防衛を決めました。これで西山白玲は4連覇,通算5期となり,「クイーン白玲」の資格を獲得しました。さらに,昨年新設された規定によって,女性として初めて,女流棋士からフリークラスの棋士になる資格も得ました。
このニュースは,NHKの19時のニュースでも取り上げられていました。たしかに,将棋界にとって歴史的な出来事であり,社会的にも注目されることです。もっとも,西山白玲がこの権利を行使するかどうかは,まだわかりません。棋士になっても,厳しい道のりが待っているかもしれません。本人としては,編入試験を突破するという「準正規ルート」(正規ルートは奨励会経由)で棋士になりたいという気持ちもあるかもしれませんね。

