私の作品

2023年3月 9日 (木)

読売新聞登場(3月7日朝刊)

 読売新聞の37日の朝刊に登場しました。東京新聞,朝日新聞に続き,最近は新聞づいています。今回は大阪版なので,阪神地区限定かもしれません。読売新聞はとっていないので,今日,紙面が届けられて,内容を確認しました。「フリーランス なぜ保護必要」というタイトルで,例のフリーランス新法案の紹介を軸に,1紙面全体をつかって,法案などの経緯も含め,フリーランス問題についてしっかりと紹介されていました。たいへん良い内容であったと思います。私への取材はフリーランス一般のことでしたが,取材者の問題関心は,主としてギグワーカーのことでした。私は,ギグワーカーだけでなく,もっと広い視点でフリーランスのことを論じたほうがよいという,いつもの立場からお話しました。インタビューには,私以外に,東京大学の水町勇一郎さんと,フリーランス協会代表理事の平田麻莉さんが登場していました。フリーランス関係では,平田さんと一緒に掲載されることが多いですね。これで何回目でしょうか。
 話は変わり,ビジネスガイドの最新号(932号)の,同誌に連載中の「キーワードからみた労働法」の新作(第189回)では,有期労働契約の「更新限度条項」をテーマにしています。日本通運(川崎)事件の東京高裁判決を素材にしたものです。 第190回では,フリーランスに関係するデジタル労働プラットフォームを取り上げる予定です。

2023年1月31日 (火)

季刊ひょうご経済に寄稿

 一般財団法人ひょうご経済研究所から刊行されている季刊雑誌の「ひょうご経済」(157号)に寄稿しました。タイトルは,「デジタル変革後の働き方の変化」です。
 読者が中小企業の経営者向けということでしたので,それを意識して書きました。この研究所は,みなと銀行グループのシンクタンクだそうで,このような地元の研究所の雑誌に執筆させてもらえるのは光栄なことです。みなと銀行は,神戸に住んでいると,みずほ銀行よりも店舗やATMの数では存在感があります。
 ところで,昨年はずいぶんと一般向けの論考を書きました。コロナ禍やDXなどで,これからの働き方への不安が高まっているなかで,私への依頼があったのでしょう。今回の論考でも扱いましたが,テレワークがどうなるのかも経営者の関心事のようです。
 今朝のニュースで,東京が2022年は転出超過から転入超過に変わったと報道されていました。テレワークができるようになったことによる郊外移転が一段落し,やむを得ずテレワークをしていたり,させていたりした従業員や企業の東京回帰が強まっているとの見方もできそうです。しかし,トレンドとしては,こうした東京回帰は一時的なものではないかと思っています。急激に転出が起きたので,揺り戻しがあるのは当然でしょう。
 これからの若者は,なぜ対面型なのかを問うようになるでしょう。対面型のメリットがあると考えている経営者が,そのことを若者にしっかり説得できるところでは,対面型でも若者は集まるでしょう。しかし,そうした説得ができる企業がどれほどあるでしょうか。日常生活のアナログ要素は残してよいのは当然ですが,仕事の分野でのアナログ要素は,かなりの部分が無駄だと考えている人が増えているように思えます。対面での人間関係の良さは,仕事以外のところでこそ発揮されるのです。そうだとすると,長い目でみれば,テレワークは減ることはなく,東京の転入超過もいつかは転出超過に戻ることになるでしょう。

2022年12月27日 (火)

「21世紀ひょうご」に登場

 「公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構」というところから刊行されている「21世紀ひょうご」という雑誌の33号で,「アフターコロナの労働政策はどうあるべきか」という私の論考が掲載されました。同僚の大西裕先生が巻頭言「コロナ禍雑感」を書かれています。今年は,この雑誌を含め,今まで書いたことがない雑誌にいくつか寄稿することができました。
 この組織の研究戦略センター長は,御厨貴さんです。大物を配置していますね。兵庫県に縁はなさそうですが,兵庫県発信の政策研究をリードしてくださるのなら大歓迎です。
 震災といえば,兵庫県には,「フェニックス共済」(兵庫県住宅再建共済制度)というものがあることを,最近知りました(どこかで聞いたことはあったのですが)。年間5千円の負担で,災害時の住宅再建に600万円が給付されるというものです。地震だけでなく,その他の自然災害を対象としているそうです。阪神大震災を経験した兵庫県民だからこそ,共済の精神で大災害に備えなければならないという意識が高いのでしょう。2005年に全国に先駆けて創設されものだそうです。「共済」は,これからの社会保障を考えるうえで重要な理念であると考えていたので,興味をもちました。
 共済から政策研究まで,私の知らなかったところで兵庫県は頑張っていましたね。このほかにも知らないことが,いっぱいあるかもしれません。また何かわかれば紹介します。

2022年12月26日 (月)

NHKに登場

 今日は,前に予告していたように,NHK「視点・論点」に登場しました。いつも政治家の原稿の棒読みを批判している私が,原稿をそのまま読まなければならないのは皮肉なことでした。910秒から40秒の範囲で話し終えなければならないことになっているので,原稿から離れてアドリブを入れてしまうと,話が尻切れで終わるおそれがあるので,仕方ありませんでした。私はノートパソコン持参で,カメラの位置は調整したものの低い位置にあり,さらに原稿をスクロールしながら読んでいくので,目線がどうしても下向きになってしまいました。さらに下から撮ったような画面なので,ずいぶんと太った感じになっています。東京まで行ってスタジオで撮ったほうがテレビ映りはよかったのでしょうが,まあ仕方ありません。
 問題はメッセージですが,十分に届いているでしょうか。NHKは,全国版では,20182月に「週間ニュース深読み」で副業がテーマのときに出演して以来です。あのときは,渋谷のスタジオまで行きました。でも,今回はリモート出演OKということで助かりました。2020年に関西限定の「ニュースほっと関西」に出てテレワークのコメントをしたときも,自宅で収録しました。「テレビに出た」という感じはあまりせず,自宅で撮ったビデオをテレビ画面に映しているというようなカジュアル感でした。

2022年12月15日 (木)

季刊労働法に登場

 季刊労働法の最新号(279号)で,論文を二つ執筆しています。一つは,イタリアの解雇の金銭解決についての論文で,前にもこのブログで書いたように,こういう重い作業は,もはや私にはやる力はないのですが,若手が多忙ということで,登場することになりました。2012年の改革についても,それを紹介する論文を同誌に書いていたのですが,そのときはイタリアの解雇法制の改正を時系列で淡々と書いてしまい,イタリア法に関心のない人には,あまり面白くなかったと思うので,今回は,もう少し読者目線に立とうと思いましたが,どうだったでしょうか。イタリア法研究としては,憲法裁判所に対する判例評釈などをもっと分析して書くべきだったのかもしれませんが,それをきちんとするにはかなり時間を要しますし,とくに新しい判決については,十分に論評がそろっていないこともあり,今回は速報的な意味をもつものにとどまっています。より詳細なものは,若手研究者にゆだねたいと思います。
 もう1本は,オンライン団交についての論文です。この問題について考えているうちに,団交法理について大学院生がもつような初歩的な疑問がいろいろ出てきたので,それについてまず基本から考えようと試みました。だから「覚書」という副題をつけています。神戸労働法研究会で一度報告しましたが,その後もいろいろ考えて,かなり修正を加えていますし,さらにブラッシュアップする必要もあると思っています。いずれにせよ,あたかも実務を知らない人が言いそうな書生くさいことを書く一方,労働委員会の実務を意識したことも書いており,自分でも不思議なテイストの論文になってしまいました。肝心の結論については平凡なものになっているかもしれませんが,今後の議論に何か貢献できているでしょうかね。デジタル関係については,いろいろ書いていますが,団体法について論じたものは初めてだと思います。
 論文のなかで,山形大学事件・最高裁判決にも言及していますが,同事件については有斐閣の重要判例解説の執筆があたっているので,字数は限られていますが,きっちり書きたいと思っています。

2022年12月 5日 (月)

「人事の地図」に登場

 産労総合研究所から刊行されている雑誌「人事実務」が10月号から「人事の地図」にリニューアルされました。産労総合研究所では,10年以上前に「労務事情」という雑誌に15回連載をしたことがありますし,「労働判例」には,20年以上前に,海外判例研究というコーナーで,イタリアの判例の紹介を2回ほど書いたことがありますが,最近では,ほとんど付き合いがない会社でした。今回は,労働時間の特集をするということで依頼を受けました。担当の方が,私の本を読んでおられたようです。『労働時間制度改革』(中央経済社)でしょうかね。
 タイトルは,「労働時間規制の未来を考える」です。内容は,私が最近よく書いているような内容ですが,字数は短くコンパクトになっています。また各頁に図表が入っています。図表が雑誌の「売り」のようです。確かに,堅いテーマであっても,図表を入れたら読みやすくなるでしょうね。
 労働時間については,ビジネスガイドで連載中の「キーワードからみた労働法」でも,現在出ている号で「裁量労働制」というテーマを採り上げています。厚生労働省で7月に出された「これからの労働時間制度に関する検討会報告書」を読んで,労働時間制の見直し,とくに裁量労働制の見直しの動きがありそうだと思ったからです。ただ,裁量労働制は,これまで採り上げたことがなかったので,今回は,ベーシックなことを中心に書いています。
 報告書は,厚生労働省関係のものについては珍しく,私の考えと合致する未来志向の発想がみられるところがあり,少し驚きました。労働時間制度は,抜本的な改革が必要であり,この点については,昨年の日本労働法学会の報告でも一石を投じたつもりです。もちろん私は数歩先のことを想定した議論をしているので,そこにたどり着くまでの間は,厚生労働省が漸進的に制度の見直しを進めていくということにも意味があると思っています。ただ大切なのは,近未来のデジタル社会において,どのような規制ニーズがあるかをしっかりイメージしておくことです。

2022年12月 3日 (土)

最新重要判例200労働法の電子版

 拙著『最新重要判例200労働法(第7版)』(弘文堂)の電子版 が出ることになりました。私も早速,Kindleに取り込みました。刊行から約1年弱のところでの電子書籍版です。もし第8版が出るのなら,最初から紙と電子版の両方を出してみて,どちらの利用者が多いか試してもらいたい気もします。
 電子版があれば,PC,タブレット,スマホで本書を読むことができるようになるので,本を持ち歩く必要はなくなります。もちろん,紙媒体ならではの使い勝手の良さもあると思いますので,著者としては二冊ご購入いただいて,時と場合に応じて使い分けてもらえればと思います。
 ところで,法令については,紙の六法を使って検索することは,ほとんどなくなりました。原稿を書くときも,横にタブレットをおいて法令のサイトを出して参照するということがほとんどです。判例についても,ネット上のデータベースの利用です。その他の資料も,多くはネット上にあるので,それにアクセスすることになります。大学の教育の場面で考えると,紙の書籍はいつまで残るでしょうかね。出版社の次の戦略は,デジタル書籍の付加価値をいかにして高めるかでしょう。たとえば私の本でいえば,『人事労働法』と『最新重要判例』のどちらも購入している人には,相互に行き来できるようにリンクを張ることができればよいですね。本から判例に飛べたり,判例から本の該当箇所に飛べたりするということですが,そうなると,それは両者が合体した一つの本ということになるのかもしれません。 

2022年10月30日 (日)

「法の支配」207号に登場

 「法の支配」207号に拙稿が掲載されました。「環境変化の中での労働法の課題」というのが特集テーマで,そこで私はDX関係のテーマを割り当てられました。すでに数多く書いているテーマなのですが,今まで寄稿したことがない雑誌であり,また執筆陣が豪華であったので,そこに加われるのは光栄なことだと思い,お引き受けしました。
 何が環境変化を引き起こしているのかというと,それはコロナではなく,デジタル技術であるというのが私の持論ですが,でもコロナはいろんな問題をあぶり出す機能もあります。その点で,この雑誌のなかで濱口桂一郎さんが執筆されていた「新型コロナウイルスと労働政策の課題」は,問題が紹介されていて参考になります。
 私が寄稿した論考のタイトルは「DXのもたら影響と労働政策の課題」というものですが,実は当面の労働政策の最も深刻な課題は,コロナ禍での雇用調整助成金などの種々の助成金の大盤振る舞いで,自立性がゆるんでしまった経営マインドをどう立て直すかです。国の助成で雇用を維持して経営するという時代ではないのです。私は雇用維持型の政策からの転換の必要性をずっと訴えていますが,濱口さんの『日本の労働法政策』(JILPT236頁以下でも詳しく説明されているように,国の政策レベルでは,実際には,労働移動促進政策への移行はされてきたようです。そういうなか,コロナ禍で緊急避難的な雇用維持型の政策が復活してしまいました。上記の経営マインドの弛緩だけでなく,雇用保険の財政面や国庫負担の増大という問題も起きています(今日も雇用調整助成金の巨額の不正受給のことが報道されていましたね)。一方で,岸田政権は,労働移動政策に力をいれるような態度だけは示していて,ジョブ型やリスキリングにも言及するのですが(そのことは評価できるとしても),いまなお残っている雇用維持型政策との折り合いというか,その出口をどうみつけるかということについては,どうするのかよく見えてきません。そこをきちんとやってもらわなければ,DXに向けた政策課題を論じるまえに,日本は沈没してしまいかねません。流動化政策(労働移動促進政策)をきちんと立て直し,一貫した体系的な政策をたて,何が本筋で,何を緊急対応でやるのか(その出口も明確にしなければなりません),ということを示してもらいたいです。そこがしっかりしてはじめて,本格的なDX時代の労働政策を論じることができるのです。岸田政権の支持率が下がっているのは,労働政策・雇用政策に明確なビジョンがないことも大きいと思います。
 ところで,「法の支配」という雑誌名ですが,個人的には,「法の支配」は,「人の支配」のアンチテーゼにすぎず,それはよいとしても,法が出しゃばって社会を「支配」することはよくないと考えています。いかにして法がそれほど前面に出ずに(国民と寄り添いながら)社会を治めていくかを考えるのが大切なのです。今回の論考では論じていませんが,デジタル時代に合った法の役割というものが重要だと考えています。私の行為規範を重視する議論も,それと関係しています。 

2022年9月 5日 (月)

朝日新聞登場

 今朝の朝刊で,「資本主義NEXT 日本型雇用を超えて:5)会社を支える「プロ人材」たち」という特集の中で,私のインタビュー記事が出ています(デジタル版では,もう少し多めに出ているようです)。朝日新聞に登場するのは,2015年2月14日に,残業代に関して澤路さんのインタビューを受けて登場したとき以来だと思います。久しぶりです。昨年の10月くらいに一度オファーがあり,その後,立ち消えになり,新たに今回の担当の平林さんという記者から依頼があって,ようやく記事になりました。
 最初はどういう切り口かと思っていたのですが,ありがちなギグワークとフリーランスというものではなく,「プロ人材」にフォーカスしたもので,これは良いところに眼をつけてくださったと思いました。フリーランスと一言で言っても,いろんなタイプがあり,そのどこに焦点をあてるかはっきりしなければ政策は的を射たものになりません。そのなかで,今後はこういうプロ人材でなければ生きていけない時代がくるので,そこに政策の焦点をあてるべきなのです。
 プロ人材の方のインタビューの内容も面白いと思いました。最後の方も言われていたように,不確実性時代において,いろんなコミュニティーに帰属することが重要だというのも同感です。正社員というのは,会社というコミュニティーに帰属し,そのメンバーとして忠誠を尽くすもので,安定性はあるものの,制約も大きいです。しかも,その安定性は徐々にゆらいできていますし,また安定性を得るために失うものが大きすぎてペイしないという問題もあります。後者は,損得を評価する基準が変わってきていることとも関係します。ある組織で出世すること,お金をたくさん稼ぐことといったものより,真にやりがいのある仕事を充実感をもってやること,仕事は生活のなかの一部にすぎず,大事なのは幸せと感じられる毎日をすごすこと,といった価値感をもった人が若い層を中心に出てきていると思います。私は,そういう価値観に強いシンパシーを感じています。プロ人材というと,何か特別な人材であるような感じもしますが,そうではありません。デジタル技術のおかげで,自分がやりたいことをやるという当たり前のことが,やりやすい時代に来ていること,一方で,そのデジタル技術が,むかしふうの会社員の仕事を奪っていくこと,という両方を考えると,会社員ではなく自律した働き方を選ぶのはごく自然なことなのです。そして,そういう働き方をして経済的に自立していくためにはプロにならざるを得ないのです。ただ,そこでいうプロというのは,プロ野球選手のようなとてつもない才能や技能をもつことを指すのではなく,自分の住んでいる(大小さまざまな)コミュニティーのなかで,他人にはできないような得意技をもって貢献するといったプロでもよいのです。今回の記事が,こういうことを考えてもらえるきっかけになればよいと思います。

2022年6月21日 (火)

読売クオータリーで紹介されました

 少し前の話になりましたが,読売クオータリー61号(2022春号)の高橋徹さん(調査研究本部主任研究員)が,「コロナ禍で深刻化 労働力不足を克服するには」という論考のなかで,拙著『会社員が消える―働き方の未来図』(文春新書)を採り上げてくださいました。この雑誌のことは,今回初めて知りました。取材はリモートで受けて,会社員が消える展望について,いろいろお話しをしましたが,ここでも最後は,教育の重要性という話になりました。高橋さんの論考では,宮本弘暁さんの「自己開発優遇税制」が興味深く,「社会保障や税制は転職に中立になるように改革すべきだ」というコメントも紹介されています。これも教育に関係しますね。
 労働法において,職業教育を正面から論じた業績は,ほとんどないと思います。職業教育を労働法の枠組みにおいて論じるときは,現在では「キャリア権」というテーマで議論するが定番となっており,日本労働法学会の『講座労働法の再生』(日本評論社)でも,「キャリア権の意義」(第4巻で,両角道代さんが執筆)という項目が採り上げられていました。諏訪康雄先生がこの概念を提唱されて以降,私も含めて,なかなかうまくこの概念を発展させることに成功できていない感じがします。いま必要なのは,企業による職業教育それ自体が,広義の職業教育の一部にすぎず,まさに憲法26条の問題として,政府が広義の職業教育にどうコミットするかを論じていくことです。そういう意味での「職業教育法」は,自営的就労者(フリーワーカー)の時代が来ることにより,いっそう重要性を高めると思います。最近の講演では,いつもそういう話で終わるのですが,問題は,これを具体的にどう政策提言に組み入れていくかです。人的資本への関心が高まっているなか,経済学者や教育学者の方たちとも共同して研究を深めていかなければならないでしょうね。

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