スポーツ

2023年11月28日 (火)

村上のダブルタイトル

 プロ野球のMVPは,阪神タイガースの村上頌樹投手が獲得しました(パ・リーグは文句なく山本由伸投手です)。新人王とのダブル受賞で,これはセ・リーグでは初めてだそうです。パ・リーグでかつて同じようにダブル受賞した木田勇投手や野茂茂雄投手のような圧倒的な数字を残したわけではありませんでした。岡田監督が大切に間隔をあけて万全の状態で投げさせたこともあり,勝ち数は10勝でしたが,最優秀防御率のタイトルをとり,なんといっても大事な試合できちんと仕事をしたということで,貢献度が大きかったです。岡田監督の信頼も一番でした(CSでも,日本シリーズでも,第1戦は村上が先発でした)。日本シリーズでMVPをとった近本光司選手も,後半戦の印象度は高いし,阪神の打撃の大黒柱でしたが,守り中心の岡田野球の要となったのは,やはり村上であったということで,それが評価されたのでしょう。
 新人王は,例年ならば,森下翔太選手も可能性があったでしょうが,シーズントータルでみた村上の安定感が上回ったということでしょうね。ほんとうの新人という意味では,森下のほうがふさわしいのでしょうが。
 阪神は来シーズンに向けた補強はほとんどしないようです。岡田監督に言わせれば,今年活躍しなかったけれど,湯浅京己投手がきちんと投げれば,それで十分ということでしょう。また,今シーズンは選手を固定して,手堅い選手起用をしていた印象がありますが,しかしよくみると若手選手も結構,使っていて,来年への布石を打っています。たとえば,打つ方では,小野寺暖選手や前川右京選手がかなり打席にたちました。投げるほうでは,門別啓人投手も経験させました。それと忘れてはならないのは,髙橋遥人投手です。育成選手契約となったようです(「育成」という名称はちょっとおかしいですが)が,復活すれば最大の補強です。さらにドラフトで獲得した選手にも即戦力がいそうです。これにもし打てる外国人を一人でも獲得できれば,来年もかなり期待できるでしょう。

2023年11月26日 (日)

大相撲九州場所が終わる

 今日は,大相撲九州場所の千秋楽でした。霧島の132敗の優勝は立派でした。前半で2敗したために,優勝戦線からいったんは姿を消しましたが,そこから9連勝しました。とくに琴ノ若,熱海富士に勝った相撲は,まさに大関の相撲でした。綱取りがかかっていた貴景勝は,やはりだめでした。というか,貴景勝は安定して大勝ちはできないので,横綱にならないほうがよいように思えますが,本人は横綱になりたいのでしょうね。琴ノ若は11勝と成績はよいのですが,負けた相手が悪く,あまり良い印象はありませんね。私たちの世代からすると,顔がお父さんの琴ノ若ではなく,おじいさんの琴櫻に似ているのが懐かしいなという印象です。でもおじいさんやお父さんよりも強いような気がします。
 しかし,何と言っても今場所を盛り上げたのは,熱海富士です。先場所に続いて優勝にからんでいて,その実力は単なる一時的な勢いではありません。来年の今頃には横綱になっているかもしれません。横綱が不在の場所ということですが,毎場所,混戦になっていて,それはそれで面白いのです。この力士の一番は観てみたいという力士がたくさんいます。熱海富士だけでなく,今場所は湊富士もそうですし,関脇の若元春(今場所は不調でしたが)や大栄翔も面白いですし,遠藤の相撲もいいです。それに大関の3人はそれぞれ個性があり,別に横綱がいなくても,そして大関がとびきり強くなくても,十分に楽しめます。
 相撲は,熱海富士のような強い力士が入幕すると,対戦相手が,序盤は下位が多いので,いきなり優勝してしまう可能性があります。勝ち数が増えると,上位陣にあてられるのですが,これは,将棋の竜王戦で,クラスが下位でも勝ち上がることができ,決勝トーナメントで,他の上位クラスの上位成績者との対戦が組まれ,それにも勝ち上がると最終的には1期で竜王をとることが可能というのと,どことなく似ています。一方,横綱になるというのは将棋でいえば順位戦を経て名人になることに相当しそうです。順位戦はクラスが1期(1年)ごとの昇級で,いちばん下のC級2組からA級に上がるためには最短で4年かかり,さらにそこで勝ち上がって名人に挑戦するにはもう1年かかります。相撲でいえば,大関に上がるまでには三役で3場所は必要で(33勝するというのが一応の相場です),さらに大関で2場所は必要です(2場所連続で優勝またはそれに準じる成績というのが一応の相場です)。というように時間がかかるので,横綱になるのは,名人になるとやや似ています。ただ,名人は負けると陥落がありますが,横綱は陥落がありません。それは決定的な違いです(その点では,横綱は,永世名人に似ているのかもしれません)。横綱になるというのは,たんに強いだけでなく,特別な地位につくということなのでしょう(横綱審議委員会があるのも,そのためだということができそうです)。だから,休場が続いても,ある程度は許されるのかもしれません。ただ,横綱不在というのが当たり前というのには,やや違和感があります。負けるのは許されないが,休むのは割りと大目に見てもらえる(あんまり休んでいると引退勧告されることはあります)というのも,ちょっと変な気がします。相撲を純粋にスポーツとして楽しみたいという人もいるでしょう。横綱も実力制と無縁ではないとして,一定の条件で陥落するということにすれば,どうでしょうか。そうしたら,相撲がどう変わるか,ちょっと興味があります。

2023年11月 6日 (月)

日曜スポーツ(つづき)

 昨日は,駅伝の日でもありました。全日本大学駅伝は結果しかみていませんが,駒澤大学が圧勝したようです。団体競技である駅伝にこれだけ負けずに勝ち続けるというのは,驚異的です。2年連続3冠は十分視野に入ってきました。
 全国高校駅伝の兵庫県予選が実施されました。男女ともに須磨学園が勝ちました。どちらも圧勝でした。女子は,須磨学園はもともと強かったのですが,西脇工業も力をつけていて,昨年は男女ともに西脇工業が勝ちました。須磨学園としては,今年は,女子は負けられない戦いでしたし,男子は折田壮太選手という大エースがいて,そのほかにも有望選手がそろっているので,今年はぜひ勝ちたい年であったと思います。一方の西脇工業が,1年生の新妻ツインに頼る感じで,来年が勝負というところでしょう。都大路(今年は12月24日)では,須磨学園は,男女ともに,もちろん上位進出を狙っているでしょう(昨年の西脇工業は男子6位,女子20位)。須磨学園は折田選手以外に,2年生のアンカーの長谷川大翔(ひろと)選手にも注目です。
 ところで,今日はまだ日本一の余韻にひたっているところですが,昨日書き忘れたことがありました。それは第7戦の青柳投手の先発です。多くの人がすでに語っていますが,ここに青柳投手を残していた岡田監督の戦術は驚きです。
 実は日本シリーズの前哨戦となっていた6月のオリックスとの交流戦は,初戦は日本シリーズと同じ,村上対山本で,このときはオリックスの山本→山崎颯一郎の完封リレーで,阪神は敗れました。2戦目は,オリックスは新人の曽谷が先発で,初回から打ち崩して阪神が大勝しました。阪神は,西(勇)が先発でした。3戦目は,伊藤(将)と山岡の先発で阪神が8回まで勝っていましたが,9回に湯浅が,頓宮と杉本にホームランを打たれて逆転負けをしました。ということで,阪神の先発陣では,もともとオリックスにいた西(勇)以外に,村上と伊藤(将)がオリックス戦で投げていましたが,青柳は二軍にいて投げていませんでした。これにより,日本シリーズでは青柳カードを使えることになりました。岡田監督は,日本シリーズの6戦目が始まる前に,先発投手陣のうち,第6戦の先発予定の村上以外に,西(勇),青柳,伊藤(将)に準備をさせていました。そのときは,どう使うのかわからなかったのですが,どうも第6戦は,村上・西,第7戦は青柳・伊藤でいき,最後の3イニングはリードをしていれば自慢のリリーフを総動員という計画だったように思えます。第6戦が必敗になったところで,リリーフ陣は温存し,ついに第7戦で,できれば使いたくなかったかもしれない青柳カードを使うことになりました。使いたくないというのは,今年の青柳の調子からすると,試合を早々に壊してしまう危険があったからです。それに備えて,岡田監督は,残る先発陣のなかで最も信頼できる伊藤(将)を準備させていたのでしょう。この青柳カードが成功しました。青柳は変速のアンダースローで,自滅さえしなければ,そう簡単には打てません。しかも交流戦でも対戦していないので,オリックスの選手は目が慣れるまでに時間がかかります。それじゃ青柳をもっと早く使っていてもよかったような気がしますが,それは信頼度では,第4戦の先発の才木や第5戦の先発の大竹よりは劣っていたので,あくまでも青柳は最後の切り札として残していたのだと思います。青柳は見事に期待に応えて5回途中まで0点で抑えたところで,勝負有りです。しかも点差があいたので,安定感のある伊藤(将)を8回まで投げさせることができ,オリックスに付け入る隙を与えませんでした。監督しだいで,ここまで勝てるチームになれるということがわかったゲームでもありました。

2023年11月 5日 (日)

阪神日本一

 阪神タイガースが日本一となりました。昨日は,山本由伸にやられてしまいました(大リーグでぜひ頑張ってください。岩隈投手のような感じでしょうかね)が,阪神は投手を温存し,最終戦にそなえました。宮城はやはり打てそうになかったのですが,まさかのノイジーの3ランが出たことで,優位に試合を進めることができました。昨日の西(勇)に続き,伊藤(将)を中継ぎに使い,最終回には桐敷も投げさせるなど,シリーズでうまくいかなかった投手にリベンジの機会を与える岡田監督の気遣いはすごいなと思いました。終わってみれば,最終戦は快勝。サトテル以外の選手は躍動しました。オリックスはとても強かったですが,なんとか勝ちきることができました。MVPは近本で納得です。木浪もよかったですが,やはり近本の安定感が際立っていました。近本にまわせばなんとかなるし,近本からチャンスもうまれます。大砲ではないですが,大黒柱です。それ以外にも,森下はとても魅力的な選手ですし,中野も大山も坂本も欠かせない戦力でした。ノイジーは最後の最後で良い仕事をしてくれました。すべては岡田監督の緻密な野球の成果です。MVPは岡田監督でしょう。
 シーズン前は,WBCのだらだらした試合に不満を述べていたのですが,勝手なもので,阪神が勝つ試合をみていると,やっぱりプロ野球(NPB)は面白いと思いました。ということで,幸せなシーズンでした。来年もと期待したくなりますが,贅沢は言いません。いまのところは,今年の日本一で十分という気持ちです。期待して裏切られるのが怖いのです。

2023年11月 3日 (金)

日本シリーズ

 11月までプロ野球を楽しめるのはありがたいことです。結果はどうなるかわかりませんが,日本シリーズの第4戦と第5戦の甲子園での連勝で,阪神ファンとしてはとても満足したような気がします。もちろんあと1勝して日本一になってほしいですが,そうでなくても今季の甲子園の最後の2試合で十分に満足することができました。
 今回の日本シリーズはエラーが多いのですが,それでも凡戦になりません。エラーというのは,未熟な選手がやらかすものもあれば(サトテルのサードのエラーはそのタイプです),どんなに名手であってもしてしまうミスというというものもあり,今回の試合はさすがにペナントレースを勝ち抜いてきた強者なので,多くは後者のミスなのでしょう。だから試合がくずれません。
 それでも第4戦は,サトテルのエラーをきっかけに,それまで絶大な信頼が置かれていた桐敷が乱れてしまい,2点差を同点に追いつかれました。それを挽回したのが湯浅で,彼の登場で甲子園が大盛りあがりで,ムードが変わりました。最後はオリックスの外国人投手が落ち着かない投球で,オリックスとしては珍しく脆さをみせた感じです。不調の大山もサヨナラヒットを打って盛り上がりました。サトテルも桐敷も救われたことでしょう。
 第5戦では,7回表に中野と森下のダブルエラーで2点差になったときには,かなり厳しいと思いました。相手の先発投手に手も足も出ない感じだったからです。しかし,ここでも湯浅が8回に登場して3人で抑えてムードが変わりました。しかも8回裏に相手投手が交代して,タイガースのビッグイニングとなりました。大逆転という報道もありますが,2点差であったので,もしかしたらなんとかなるかもという気もしていました。しかし,それにはきっかけが必要です。それが湯浅の登場,そして相手投手の交代,さらに糸原のしぶといヒットで,上位に回ったところで逆転のお膳立てはそろいました。近本は貫禄のタイムリー,そして森下はエラーを挽回するためという意気込みをもって,みごとな逆転2点3塁打でした。新人とは思えません。
 昔の阪神にはなかったような粘りです。阪神生え抜き選手を金本監督時代からきちんと育ててきた成果が出ているのではないかと思います。安易に他球団から選手を補強せず,自前で育て,そして最も阪神に愛をもっている岡田監督の再登板で,とても雰囲気のよいチームが出来上がりました。阪神というとドラフトで失敗してきたというイメージをもっていたのですが,昨日の打順をみると,近本(2018年ドラフト1位),中野(2020年ドラフト6位),森下(2022年ドラフト1位),大山(2016年ドラフト1位),佐藤(2020年ドラフト1位),坂本(2015年ドラフト2位),木浪(2018年ドラフト3位)となっていて,とくにドラフト1位が活躍できているのは他球団と比べても珍しいと思います。代打・代走では糸原(2016年ドラフト5位),島田(2018年ドラフト4位),小幡(2018年ドラフト2位)などで,やはりよい選手をとってきたことがわかります。投手も,現役ドラフトで加入した大竹,オリックスから移籍してきた西勇輝を除くと,村上(2020年ドラフト5位),伊藤(2020年ドラフト2位),才木(2016年ドラフト3位),石井(2020年ドラフト8位),桐敷(2021年ドラフト3位),湯浅(2018年ドラフト6位),岩貞(2013年ドラフト位),西純矢(2019年ドラフト1位),岩崎(2013年ドラフト6位),島本(2010年育成ドラフト2位),そしてまだ登板していない青柳(2015年ドラフト5位)など,やはり生え抜き中心です。京セラドームでは,タイガース愛をもった監督と選手たちで,悔いのない戦いをしてほしいです。相手は日本を代表する大エースの山本がリベンジを果たすために立ちはだかるでしょう。もしそこで負けると,最後は第2戦でやられた宮城が出てきます。いまのタイガース打線では,左腕の宮城のほうが大変かもしれないので,第6戦で決めたいところです。なんとかロースコアの接戦に持ち込んで,ワンチャンスで勝つしか可能性がないように思いますが,どうなるでしょうか。ビジターといっても京セラドームはホームゲームとしてもやっています。先攻になるのは少し不安ですが,ファンの後押しは十分期待できるでしょう。

2023年10月20日 (金)

CSファイナル突破

 阪神タイガースが,セ・リーグのCSファイナルを,広島相手に3連勝で,日本シリーズ進出を決めました。シーズン中と同じような感じの接戦を最後はなんとか勝ち切るという戦い方でした。岡田監督がいつも言うように,普通にやって勝ったということかもしれません。先発も,村上,伊藤,大竹という10勝以上トリオでいき,点数差はそれほどついていませんが,広島に負ける感じがありませんでした。おそらく,これが強いチームということなのでしょうね。相手も阪神の威圧感で,自ら転んでしまうという面があったような気がします。阪神ファンにとっては夢のようなときが続いていますが,このまま38年ぶりの日本シリーズ優勝という夢までみさせてもらえればと思います。
 38年前の日本シリーズをWikipediaで確認すれば,西武相手の初戦は池田が完封勝利しています。この試合はよく覚えていて,この年の池田はエース扱いでしたが,頼りないところもあり,あまり信頼していなかったのですが,この日本シリーズの初戦は見違えるような投球でした。3冠王バースが工藤から打った3ランも効果的でした。
 第2戦は外国人で安定的な投球をしてきたゲールが日本シリーズでも好投し,バースの2試合連続のホームランもあり勝ちました。21という僅差でしたが,福間が抑え,中西がしめるというシーズンどおりの試合でした。ちなみに,いまの阪神の抑えは,この福間の役割を,多くの人で分業している感じです。
 第3戦と第4戦は,それぞれ中田と伊藤という,自信をもって送り出せない先発投手で敗れました。中田は,ルーキーのときにそこそこ活躍して,この年は久しぶりに連勝して勢いにのったのですが,安定感は少し不安と思ってみていました。いまは解説者として活躍しています。なお,バースは3戦連発のホームランを打つなど3戦まで活躍していましたが,やはり阪神が勝つためには,掛布,岡田が打たなければなりませんでした。
 第5戦は池田先発で,4回で降板しましたが,掛布の3ランで先制し,福間,中西のリレーで勝って,王手をかけました。
 第6戦はゲール先発で,初回に,その年に大洋から移籍したばかりの長崎が満塁ホームランを打ち,勝負が決まりました。このホームランも記憶に残っています。その後,真弓も掛布もホームランを打って,ゲールが完投して優勝です。
 こうみると後半の長崎の活躍は大きかった気がします。どうしても,バース,掛布,岡田のクリーンアップは警戒されます。しかも1番の真弓もホームランが打てる強打者です。そういうなかで,6番の長崎も打てたことが大きかったでしょう。もっとも,阪神ファンにはあまりなじみのない長崎がヒーローになるというのはちょっと複雑な気分でした。投手は,ゲール以外は安定感がなかったのですが,池田が初戦に好投したり,弱い投手陣を打線が補うという戦い方ができたりしたのがよかったのでしょう。とくに開幕からのバースのホームランは,西武投手陣に大きなダメージを与えたことでしょう。
 今年の阪神は1985年のチームとはまったく違います。打線で勝つという感じはありません。オリックス相手かロッテ相手かわかりませんが,守って勝ち抜く試合をしてくれるでしょう。でもサトテルが,バース並みのホームランを打って勢いづけてくれることも,ひそかに期待してはいます。

2023年10月15日 (日)

MGC

  高校時代に陸上部にいた私としては,陸上競技への関心は普通の人より高いと思います。今日も朝からLiveでマラソンのMGCを観ました。女子はNHKで,男子は民放でした。やっぱりコマーシャルがないほうがみやすいですね。悪天候のなかでの試合だったので,実力というよりも,強い人が勝つのかなと思ってみていました。最初は女子のほうが面白いかなと思ってNHK派だったのですが,男子のほうが川内優輝選手が独走となったので,断然男子のほうが面白くなり,男子のほうを中心にみていました。川内選手の飛び出しは予想外でした。事前には,まったく彼の名前は出ていなくて,ただ走るだけくらいに思われていたと思います。ところが,ひょっとして優勝してしまうのではという勢いで,最後も結局4位と粘り切っての見事な走りでした。オリンピックをねらうマラソン選手としては,超高齢者であり,ここまでやるとは誰も思っていなかったでしょう。しかし経験があり,しかも天候が悪いということも彼を利したことでしょう(悪天候のなかで,ボストンマラソンで優勝した実績があります)。ニュースでは奇襲などと書かれていますが,ペースメーカーがいないなか,自分でしっかりレースをつくり,トップとそれほど差がない4位でゴールというのは,事前の綿密な準備と戦略があったからできたことでしょう。尊敬に値するランナーです。
 大迫選手も,安定した走りぶりでした。最後は追い込めずに3位に終わりましたが,彼にはもう一回オリンピックに行ってもらいたいですね。マラソンは記録も大切ですが,それは条件に左右されるものであり,むしろどういう状況でも安定して走れる実力がある選手のほうが頼もしいです。大迫選手は,他の選手が,MGCファイナルチャレンジ(福岡国際,大阪,東京マラソン)で,2時間550秒を切らないかぎり,オリンピック代表に選ばれます。しかし,大迫選手は,代表を確定させるために,また川内選手は一発逆転を狙って,ファイナルチャレンジに走りそうな予感もしますね。
 女子は一山麻緒選手が途中で独走していましたが,鈴木優花選手が逆転して優勝しました。一山選手も粘って2位となり,二人がパリへの切符を手にしました。一山選手の夫の鈴木健吾選手(日本記録保持者)は,序盤から遅れてしまい,10キロすぎくらいのところで,途中棄権となりました。彼は無理をせずに,ファイナルを狙うという作戦にしたのでしょうが,川内選手の強さをみると,少し残念な感じです。
 とにかく,MGCは,とてもみごたえがある戦いであったと思います。でも外国人選手が走らない試合ですから,やや物足りない感じもしました。福岡国際以降のMGCファイナルチャレンジで,世界に通用するような選手が彗星のように現れるのを期待したいと思います。

2023年10月 9日 (月)

大学駅伝シーズン始まる

 今日はスポーツの日ということで,月曜ですが休日でした。いきなり月曜の授業が休みになるのは,授業進行上よくないのですが,仕方がありません(やっぱり体育の日は1010日でなきゃと思いますが)。私立大学などでは,カレンダーを無視して授業をしているところもあるようですね。
 駅伝ファンの私としては,大学駅伝の初戦の出雲駅伝を注目してみていました。昨年の駅伝3冠の駒澤大学は,監督が大八木弘明さんから,かつてのマラソン日本記録保持者の藤田敦史さんに代わり,どうなるか注目でしたが,見事な優勝でした。第1区で篠原選手がIVYリーグ選抜の選手との競り合いに勝っていきなりトップで,その後は,佐藤選手がトップを守り(二人とも区間賞),その後も着実にトップを維持し,少しずつ詰められたものの,最終6区は昨年と同じ鈴木芽吹選手で,今年はエースで主将という立場で,区間賞の貫禄の走りで締めくくりました。2区以降,2位ははるか後方で,駒澤大学の完勝と言わざるを得ません。終わってみれば,昨年の記録を超えており,田澤廉選手らがいて最強と言われた昨年の駒澤大学よりよいタイムをたたきだしました。
 2位の創価大学と3位の城西大学は,外国人の活躍もあり,好成績をあげました。圧倒的に強い外国人にプラスして,日本人でよい走りをする選手が2名ほどいれば,出雲駅伝ではかなり勝負できるという感じですね。駒澤大学と並んで優勝候補と言われた中央大学は,1区で出遅れてしまい,勝負になりませんでした。青山学院も,昨年からよくみるような光景で,すばらしい走りをする選手はいるものの,ブレーキとなる選手も出てきて,これがブレーキとなる選手がない3冠駒澤大学との差になっているように思えました。
 まず1冠となった駒澤大学は,2年連続3冠という偉業に向けて一歩前進しました。他大学をみると,中央大学以外にも,国学院大学は力があるし,早稲田大学も復活しそうな感じがあります。次の全日本大学駅伝(115日)は,8区間で,コースも長くなります。関西勢は今日もダメでしたが,全日本ではなんとか頑張ってほしいです。

2023年10月 4日 (水)

セリーグのペナントレース終了

 最終試合は,個人記録がかかった試合でした。優勝したチームの余裕でしょうか,優勝後は,岡田監督が,個人タイトルの獲得チャンスがある選手を全面的にバックアップするということでした(自身が1985年のシーズンに首位打者のタイトルを逃した経験も関係しています)。村上の最優秀防御率,近本の盗塁王,岩崎のセーブ王は確定ですが,中野の最多安打(DeNAの牧とタイ)と大竹の最高勝率が最終戦にかかっていました。DeNAと巨人の最終戦は,年間の勝ち越しがかかっていた巨人が執念をみせ,2位となってCSシリーズを地元でやりたかったDeNAをやぶりました。阪神戦でも好投していた山崎が2安打完封で,相手の最多勝投手の東に投げ勝ちました。この試合,牧はノーヒットで,中野の最多安打のタイトルが確定し,結局,中野もノーヒットで二人並んでのタイトルとなりました。大竹は,最終戦に東が出てきたことで,東が負けて,大竹が勝てば最高勝率の可能性が出てきました。もしDeNA2位を確定していれば,東は投げなかったでしょうから,その点ではラッキーでした。大竹は勝って13勝すれば最高勝率のタイトルの要件をクリアし,そして自身が132敗となって,東が負ければ勝率を逆転します。阪神の最終戦はヤクルトで,雨でたびたび中断しながらの遅い試合進行でした。大山とサトテルのホームランで3点リードしたものの,ヤクルトにも粘られて,大竹は5回終了時点で,33の同点で降板。しかし,6回にサトテルの犠牲フライで1点が入って,勝ち投手の権利が復活しました。そのあと,才木が力投し,あと一歩というところであったのですが,9回裏,岩崎が抑えきれず(サトテルのエラーもあり),サヨナラ負けとなりました。大竹は幸運の女神がついていたと思いましたが,最後の最後に女神に逃げられましたね。むしろ幸運であったのは東だったのかもしれません。東は最多勝と最高勝率の二冠となりました。勝率では大竹が上まわっていますが,13勝目がとれなかったので,東がタイトルをとりました。大竹は現役ドラフトで阪神に入団し,優勝に大きく貢献してくれました。最後はタイトルをとらせてあげたかったですが,自身も3点とられてしまったこともあるので,仕方ないでしょう。
 気になるのは,最後にいやな負け方をしてしまったことです。チームのためというより,個人記録優先という試合をし,結果,負けてしまったことで,いやな感触を残しながら,CSに臨むことになりますね。もっとも,調整試合ということで割り切れるかもしれませんが。

2023年9月24日 (日)

貴景勝優勝

 大相撲は貴景勝が優勝しました。昨日,豊昇龍に敗れて,熱海富士と1差がつき,やや厳しいかと思いましたが,千秋楽の相手は,合口のいい大栄翔が相手であったのがラッキーで,朝乃山に敗れて同星となった熱海富士との優勝決定戦は,注文相撲(というのは,ややかわいそうですが)で勝ち,逆転優勝となりました。
 逆転ではありますが,もともと前頭15枚目の熱海富士は強い相手とあまりあたらずに星を伸ばしたので,最後,上位にあてられて星が伸びなかったのは仕方ありません。むしろ,北青鵬は,早々に4敗していたので,上位陣とまったくあたらないまま,気づけばあわや優勝ということで,あわてて豊昇龍とあたり,ここで豊昇龍が意地をみせたからよかったですが,優勝しててもおかしくない勢いでした。豊昇龍は勝ち越しがかかっていたので,頑張ったのですが,もし大栄翔 と当たっていたらどうなっていたでしょうかね。番付的には,下位の力士が大勝ちしていたので,貴景勝・霧島,豊昇龍・大栄翔戦が飛んだことになります。もし千秋楽の取り組みが,貴景勝と北青鵬,豊昇龍・大栄翔となっていたら,貴景勝が負けて,大栄翔が勝って,大栄翔が本割でも勝っている熱海富士に優勝決定戦でも勝って優勝し大関に昇進し,豊昇龍は新大関で負け越しで,いきなりカド番なんてことになっていたかもしれません。 
 これは,あくまで可能性ですが,千秋楽の取組には編成会議も悩んだことでしょう。でも,こういう事態になったのは,優勝ラインが11勝あたりに落ちてくるからです。来場所は,実力のある力士が上位にいるので,こういう下克上場所(結局は下克上は起こらなかったのですが)にはならないような気がします(星を伸ばしそうな力士はきちんと上位陣と対戦し,それなりの星になっているはずです)。ずばり来場所は,私は豪の山が優勝戦線にからんでくると思います。
 下克上場所といえば,最近では,20201月場所に幕尻の徳勝龍(今場所で引退)が14勝1敗で優勝したことが印象的です。このとき,千秋楽に貴景勝に勝って優勝を決めていました。貴景勝は,そういうこともあり,今日は負けられない思いがあったのかもしれません。個人的には,1984年の9月場所で幕尻に近い多賀竜の優勝が印象的です。その前の場所に全勝優勝して綱取りがかかっていた若嶋津(先代の貴ノ花が引退後は,同じような小兵でがんばっていた若嶋津を応援していました)は,13日までで2敗で,横綱まであと一歩というところまで来ていました。しかし,14日目に1敗だった多賀竜との直接対決が組まれ,それで敗れてしまったので,優勝も横綱もとんでしまいました。若嶋津は千秋楽も負けて,114敗で終わりました。当時,横綱は,北の湖,隆の里,千代の富士と3人もいました。12勝の優勝なら内容が問われるという感じだったと思います。そのため,平幕2人(多賀竜の前に当時まだ平幕だった小錦にも負けていました)に敗れて3敗したところで,綱取りは終わっていたのです。27歳であった若島津は,その後,綱取りのチャンスはめぐってきませんでした(ただし,1985年の3月場所は12勝で準優勝で,5月場所は一応綱取り場所でしたが,10勝で終わりました)。現在は,休場がちの一人横綱ですので,横綱昇進ラインはそれほど高くありません。27歳の貴景勝が,来場所,好成績で優勝して,大願成就をはたせるでしょうか。

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