スポーツ

2023年5月30日 (火)

強いタイガース

 交流戦前に貯金172位とのゲーム差が6というのは,驚く成績です。昨年とメンバーはあまり変わっていないにもかかわらずです。岡田監督の評価は高くなっていますが,たしかに試合後のインタビューを聞いていると,選手起用などについてすべて理由が説明されており,理詰めで野球をしていることがよくわかります。また選手を動かすということなので,まさに「人事管理」の手法と重なるのですが「アメとムチ」をうまく使っているように思います。
 岡田野球は守備重視です。かつてスラッガー(slugger)だった岡田監督ですが,野球で重要なのは守備であり,4打席か3打席に1回しかヒットを打てない打者に多くを期待できないことを前提に戦術を立てています。ホームランというような派手なものを求めておらず,打点と四球を重視しているのは当然といえ,納得です。強引な打撃をいやがり,アウトになってもフォームが崩れるようなものでなければ評価するというのも岡田監督の視点です。かつての監督時代には投手を酷使するという批判もあったのですが,それが頭にあるのでしょうか,投手には無理をさせない起用法をとっています。
 監督は貯金23で優勝できなかった2008年のことを気にしています。この年は8月に北京五輪があって,主力選手が離脱したことが大きかったのです。大逆転した巨人も五輪には選手を出していましたが,阪神は新井(現広島監督),矢野(前阪神監督),藤川という主力が招集され,調子が狂ってしまいました。7月にはマジックが点灯していたのに,まさかの失速で,その責任をとって岡田監督は辞めたのですが,それでも2位ですし,辞める必要はなかったものでした。2005年に優勝しており,監督としての実績も十分でした。今回の快進撃は実力どおりというところでしょう。それでも2008年の悪夢があるので,岡田監督はまったく油断していないと思います。優勝とは言わず「アレ」としか言わないのも2008年のことがあるからでしょう。簡単に優勝という言葉は口にしないのです。勝負は9月です。そのときの敵がどこになるかはわかりません(中日はないでしょう)が,いまから抜かりなく準備をしていることでしょう。
 今日の交流戦の初戦の西武戦も勝ち,9連勝で貯金は18に膨れ上がりました。今日は先発メンバーに交代はなく,投手も村上が8回まで投げ,9回に湯浅が抑えるというだけで,ほぼ最小メンバーでの勝利です。代打も代走もなく,監督は試合が始まる前に先発メンバーを決めただけで,あとは何もしないで勝ってしまったようなものです。事前に入念に戦略を練り上げていて,ゲームのなかではバタバタしないのです。監督が変わると,ここまで野球が変わるのかと感じさせられてしまいますね。

2023年5月 6日 (土)

阪神タイガース

 4月はまずますの成績で終えました。印象的なのは,岡田監督の選手起用方法です。打順はほぼ固定されており,これと信用して決めた選手を徹底的に使うという傾向が顕著です。1番近本,2番中野,3番ノイジー,4番大山,5番サトテルは,ほぼ変わりません。サトテルがあれだけブレーキになっていたときも,1試合6番に打順を落としたり,スタメンを外したりする程度で,すぐに元に戻しています。梅野も同じで,全く打てないし,もう一人の捕手の坂本はよく打っていて,投手リードもよいという状況なのに,梅野にこだわっています。周囲からはなぜ坂本を使わないのかという批判が高まっていますが,岡田監督は,捕手はできるだけ一人に固定するということに決めているのでしょう。だから投手との相性も考えて,ときどき坂本を使うものの,第1捕手は梅野ということを,かたくなに変えないのだと思います。例外は8番の遊撃手です。元々小幡か木波かというところで,開幕先発は小幡でしたが,少し調子を落としたところで木波に替えると大活躍でレギュラーを奪いました。8番ショートは,いまは木波で固定です。ここは初めから第1遊撃手は小幡と木波を競争させるつもりであったので,当初の方針とあまり変わっていません。木浪が奮起して大活躍しているので,競争させたことが見事に功を奏したといえます。6番ライトが競争枠であるという点も特徴的です。普通は6番は調子の良い人が打てばよいように思えるので,たとえば木波を6番で打たせることを考えそうなものです。しかし木波は8番で,6番(ライト)はあくまで自由競争枠なのです。森下,井上,小野寺あたりが競争していますが,外国人のミエセス(Mieses)が参入することにより,日本人ははじかれてしまいそうですね。島田も板山もよく使ってもらいましたが,結果が出ていません。岡田監督は,ペナントレース全体をみていて,一番重要な夏以降の時期を乗り切るためには,自分が信用する選手が支えてくれると考えて核に据えているのでしょう。梅野やサトテルはそういう選手なのでしょう。
 投手もワンポイントを使わないなど特徴ある起用法がされています。1イニング以上をしっかり任せられる投手をリリーフに使います。石井は期待に応えていますし,加治屋や及川もいいです。岩貞,岩崎も,まずまず信頼できます。湯浅がいなくても,かなり抑えは信頼できる状況です。先発では,村上という超新星が現れました。移籍の大竹も安定しています。伊藤将も復帰しました。青柳もそのうち調子をあげてくるでしょう。西勇輝はもともとオリックス時代から岡田監督があまり信用していない投手であり,好投する試合もありますが,試合をぶち壊すような投球をすることも多い投手なので,彼をどこで見限るかが注目です。ただ才木や西純也が二軍に落ちたので,西勇輝まで二軍には落とせないことから,今後,どう投手陣をやりくりするのか注目です。JFK時代とは違いますが,6回まで先発がもってくれれば何とかなるという感じにはなってきています。高橋遥人の復帰が待ち遠しいですが,シーズン終盤になりそうですね。

2023年4月 8日 (土)

阪神タイガース

 開幕から4連勝し,その後2連敗で今日は勝って52敗というスタートとなりました。連敗地獄で苦しんだ昨年とは雲泥の差です。岡田監督になってどこまで変化するかを注目していました。戦力的には,3番に新加入のノイジーが入り,新人の森下が6番に入ったというくらいしか変化していません。開幕のDeNA戦は,相手の戦力が十分に整っていなかったので,3連勝もそれほど喜べたものではありません。むしろ今年もヤクルトは強いし,広島にはマツダスタジアムでは簡単には勝てないという感じです。ただ,昨年より,選手の緊張感が違うように思います。みんなぴりっとした動きをしていて,これは明らかに監督の力でしょう。
 青柳はすでに2試合に投げて,エースとしての見事な働きぶりであり,今年も活躍してくれるでしょう。西勇輝,才木らも安定しています。左腕では,ソフトバンクから移籍した新加入の大竹が今日は見事なピッチングでした。ただ左腕はこれだけでは足りないので,伊藤将司や髙橋遥人に早く戻ってきてほしいところです。伊藤,高橋が戻ってきて,本来の力を発揮してくれれば,優勝争いもできるかもしれません。

2023年3月30日 (木)

報徳学園

 いつか書いたことがあると思いますが,私は,高校野球と高校駅伝は,長く西宮市に住んでいた関係で,報徳学園をずっと応援してきました。今回の選抜高校野球では,ベスト4に残っています。試合はハイライト版でしかみていませんが,高校野球はテンポがよいので,明日の試合は観戦してみましょうかね。兵庫県では,もう一校,母の母校である社高校も出ていましたが,惜しくも初戦敗退でした。報徳学園は,現在広島カープで活躍している小園選手がいた6年前にベスト4に進出しており,それ以来のベスト4です。明日の相手は大阪桐蔭で強敵ですが,東邦や仙台育英などにしぶとく勝ってきたので,接戦に持ち込めればチャンスがあるかもしれません。秋の近畿大会の決勝では1対0で敗れており,雪辱をしてほしいです。
 報徳学園といえば,1974年に,住谷投手・東投手の継投で,春の選抜で優勝したときのことが印象的ですし,私の同世代の金村選手が投手で4番の大車輪の活躍で夏の大会で優勝したときのことも印象的です。「逆転の報徳」ということは,子供の頃からよく聞いていました。私が生まれる前の1961年の夏の大会での倉敷工戦。延長戦に入り,表に6点取られたのですが,裏に6点をとって追いついて,次の回にサヨナラ勝ちした試合がありました。これ以降,この逆転劇はずっと語り継がれており,しばらくの間は,報徳学園が出場したときには,負けていても逆転があるのではないかという期待がありました。1981年に金村で優勝したときの3回戦も,この期待に応えてくれた試合でした。あの荒木大輔(当時は2年で背番号は11)の早稲田実業が相手で,8回表で4対0となっていました。早稲田の攻めがよく,明らかに劣勢で,さすがに荒木から4点以上をとることは難しく敗色濃厚でした。しかし,8回裏に1点を入れ,最終回。金村のヒットから始まり3点を入れて同点としました。そして12回裏,再び金村の2塁打をきっかけに,サヨナラ勝ちでした。思い出深い試合です。その後,2002年の春にも,報徳学園は優勝しています。さて21年ぶりの優勝となるでしょうか。

2023年3月26日 (日)

大相撲

 大相撲は霧馬山の逆転優勝でした。大栄翔は,本割も優勝決定戦も勢いよく攻めていきましたが,霧馬山の足腰の良さに負けましたね。霧馬山は大関の力はあるでしょう。御嶽海はだめになっちゃいましたが,正代は復活しました。不思議な力士です。北青鵬は,かつての貴ノ浪を思わせるような豪快な相撲が魅力ですね。
 今場所は,いつも応援している地元の貴景勝の綱取り場所でしたが,怪我で途中休場してしまい残念でした。来場所は一転してカド番です。貴景勝は,応援してはいるのですが,ほんとうは,彼の相撲内容はあまり好きじゃありません。押し相撲一辺倒というのは,単純すぎて相撲の面白さがあまり出てきませんよね。電車道で押し切ったらよい相撲と言われるのですが,それよりも四つに組んだ投げの打ち合いのような相撲のほうが個人的には好きです。その点では,モンゴル人は逸ノ城や照ノ富士は別として,優勝した霧馬山や10勝した豊昇龍のように,わりと細身だけれど,粘りのある四つ相撲で盛り上げてくれる人が多いような気がします。若隆景や若元春の兄弟も面白い相撲をしてくれて好きですが,若隆景は怪我してしまいましたね。
 朝乃山は,十両東の筆頭で13勝し,再入幕となりそうです。ただし幕内下位の負け越し者が少ないので,まさかの見送りがないわけではありません。逸ノ城が東3枚目で,141敗の優勝で,朝乃山にも勝っているので,再入幕はほぼ確実です。朝乃山もたぶん再入幕すると思いますが,そうなると来場所は逸ノ城とそろって大勝ちして,一気に上位に駆け上がってくるでしょうね。朝乃山は,いまの上位陣をみていると,あっという間に大関に復帰できるかもしれませんし,そう願って応援している人は少なくないでしょう。

2023年3月22日 (水)

WBC優勝

 今日は暑い日でした。神戸もちらほら桜が咲いています。東京は満開のようですね。
 先日はWBCの試合が長すぎることから始まって,野球は野蛮であるとまで言って悪口を書いてしまいました。基本的にはそういう認識は変わっていませんが,幼いころから野球文化に洗脳されている私は,やっぱり良い試合をみると感動してしまいますね。準決勝のメキシコ戦は,ときどきネットで試合経過を確認していたあと,そろそろ画面でみようかと思ってつけたら,吉田選手のスリーランが出てびっくりしました。前にも書きましたが,阪神タイガース以外のチームで,最も応援しているのがオリックスにいた吉田選手でした。嬉しかったですね。大リーグでも活躍するでしょう。その後,阪神の湯浅が打たれるなどして,差がつきました(でも吉田の好返球があって最少失点に抑えることができて助かりました)が,最終回にドラマが待っていました。大谷選手の二塁打は気合いが入っていました。最後の村上選手のサヨナラヒットは,日本中を感動の渦に巻き込みましたね。観ているほうも,打てない村上と一緒に苦悩していたので,感動はひとしおでした。その途中で,岸田ウクライナ訪問の速報が入り,少し驚きましたが,観戦しているほうは,それどころではありませんでした。決勝戦も,途中までは同じようにネットで試合経過を確認する感じでしたが,昼休みに入ろうとPrime Videoにつなげば,ちょうど最終回となっていて,大谷がマウンドにいました。ということで,一番良いところは観戦できました。1番から3番を不動とし,4番と5番の入れ替えはあったものの,6番の岡本も含めて,上位打線がほぼ固定できたのがよかったですね。栗山監督は,日ハムの監督時代から,結果を出せる監督だと思っていましたが,今回もお見事でした。今回は,阪神の選手はあまり目立ちませんでした(中野選手は,骨折した源田選手に勝てなかったということを,よく反省して守備を鍛えてほしいです)が,WBCに出場すると,どうしてもその影響で出遅れてしまうので,むしろ良かったと考えましょう。
 それにしてもNHKは今日の夜のニュースのトップがWBC優勝で,岸田首相のウクライナ訪問関係のニュースよりも先であったのは驚きです。いくらなんでも,これはちょっとおかしくないですかね。

2023年3月12日 (日)

野球について

 WBCでの日本の活躍は喜ばしいのですが,ちょっと気になるのが,試合時間が長すぎることです(開始時間が19時と遅いこともあり,余計に気になるのです)。投手の球数制限があったり(65球),日本が大量点をとって攻撃時間が長くなったりするからだともいえるのですが,それにしても長いです。私は,チェコ戦は最後まで観ましたが,その他の試合は途中までしか観ていません。長すぎるからです。サッカーやバスケットボールは,一定の時間のなかでどれだけ多くの点をとるかということで勝負を決めるスポーツなので,終了時間は予測できますが,野球はそうは行きません。タイパ(タイム・パフォーマンス)が重視される時代ですので,このスタイルでいくと,古くからのファンはともかく,新たなファンの獲得に支障が生じるのではないかという気もします。
 時間短縮のための一つの対策としては,選手交代は,いちいち審判に申告せずに,タブレットに打ち込んでおしまいということにできないでしょうか。これもDXの一つです。主審はウエアラブルの機器を装着して,バックネット裏の審判部と無線でやりとりできるようにしたらよいと思います。
  もっとラディカルな短縮方法は,三振は二振にし(英語的には,strikeout なので,3にこだわる必要はありません),ファールで粘れるのは4球までで,5球ファールとなるとアウトにし,四球は三球にする(これも英語的にはwalkなので,4にこだわる必要はありません)というようにしたらどうでしょうか。もちろん,これまでの野球に慣れている人にとっては許しがたいルール変更でしょうし,私も違和感はあるのですが,ショート・ベースボールとでも名付けてスピーディーに展開できるようにすれば,違った面白さも出てくるかもしれません。
 そもそも野球は,あの硬いボールを高速で投げるもので,本来,危険極まりないスポーツです。実際,死球によるケガというのは,つきものです(ちなみに英語では,dead ball とは言わず,hit ~by pitich と言いますが,死球のほうが感じがでています)。バットで打つという点についても,本来,バットは凶器です。プロは木製バットですが,高校野球で使う金属バットは殺人にも使われることがありました。スパイクも危険なものであり,ケガがよく起きます。ホームベース上のクロスプレーも,最近ではコリジョンルール(collision rule)があり改善されていますが,とても危険なものでした。それに大リーグでは,死球があれば乱闘騒ぎとなり,衆人環視下で殴り合いが起きます。刑事事件ものです。どうして,こういう野蛮なスポーツが広く支持されているのか,よくわからないところがあります。
 と言っても,私は野球好きです。幼いときから観ているので,洗脳されているのかもしれません。ただ,試合時間が長いということに不満を感じ始めたことから,なんとなくこのスポーツの異様さが気になってきました。

2023年1月23日 (月)

貴景勝優勝

 大相撲初場所は,芦屋出身の貴景勝が123敗で優勝しました。千秋楽は,割を崩して,若隆景との対戦ではなく,同星で優勝がかかる琴勝峰との対戦となりました(この対戦が組まれた結果,4敗力士の優勝可能性もなくなりました)。これは,貴景勝にとっては,平幕優勝を阻止しろという指令を受けたような取組であり,大変なプレッシャーとなったと思われますが,見事に勝ちました。重圧に強い力士だと思います。ただでさえ,今場所は,一人横綱の照ノ富士が休場し,かつては3人いた大関も,御嶽海と正代が相次いで陥落して,今場所の大関以上の出場は貴景勝だけとなりました。毎日,結びの一番でとる相撲であり,実際上は横綱の代役を果たしました。そのなかで,途中で連敗したものの,みごとに立ち直り,12勝というのは少し物足りませんが,よく頑張ったのではないでしょうか。先場所も12勝で,最後は阿炎に敗れたものの優勝決定戦に出ていますし,次場所こそ綱取りの場所となるでしょう(今場所も途中で連敗しなければ昇進の可能性があったかもしれませんが)。今場所は立ち会いからの圧力が十分で,動きもよく,安定した土俵でした。これまで苦手にしていた御嶽海や高安は力が落ちており(高安は今場所は休場),阿炎にも今場所勝ったことで,苦手意識が克服できるかもしれません。逸ノ城は暴行問題で力士生命の危機に直面しています。むしろ十両で14勝して優勝し,幕内復帰が決定的になった朝乃山とはほぼ互角であり,彼が復活し,来場所,大勝ちすると,貴景勝の前に立ちはだかるかもしれません。
 貴景勝は優勝して,奥さんとお子さんと一緒の写真が出ていましたね。あの北天佑の次女である奥さんはモデル出身の大変な美女であることが話題になっています。貴景勝はお母さんが美人ということでも話題になったことがありますね。北天佑は横綱間違いなしと言われながら,千代の富士時代において,ダラダラと大関を続けていたという印象があります。怪力ぶりは印象的でしたが,クンロク大関にとどまりました。相撲のタイプはまったく異なる貴景勝は,ここは一気に横綱ゲットといきたいところでしょう。押し相撲の横綱となると北勝海以来でしょうか(日馬富士も押し相撲に入りますかね)。その前は,琴櫻まで遡ることになるでしょう(その孫が,いまの小結,琴ノ若です。お父さんの初代の琴ノ若は,琴櫻の娘と結婚して,佐渡ヶ嶽部屋を継ぎ,現在は審判部の部長ですが,彼こそが貴景勝の横綱昇進にとっての最大の難関だという人もいますが,どうなるでしょうか)。

2023年1月 3日 (火)

箱根駅伝

 今年も箱根駅伝を楽しみました。駒澤大学,優勝おめでとうございます。
 往路の1区は,学生連合の育英大学の新田が飛び出しましたが,それにはあまりかき乱されず,駒澤は2位,青学も,それほど遅れませんでした。2区は,駒澤の絶対エースの田澤廉でしたが,体調不良もあったようで,本来の走りではありませんでした。それでも区間3位の好タイムで,2位でつなぎました。中央大学は,吉居大和の区間賞の好走で,一気によい流れとなりました。3区も中央大学の選手が区間賞の好走ですが,駒澤も青学もついていきます。4区は,駒澤は準エースの鈴木芽吹ですが,青学の猛追をかろうじて振り切ってほぼ同着の1位でつなぎました。5区は,駒澤は1年生の山川で,中央の阿部が少しずつタイムをつめていきます。一方で,青学の脇田は当日エントリー変更ということで準備不足があったのでしょうか,大きく離されてしまいます。最終的には,山川が逃げ切って,駒澤の往路優勝となりました。中央も30秒差で十分に優勝を狙える位置ですし,青学は2分差ですが,復路に強力メンバーが残っているので,逆転の可能性は十分にありました。駒澤は区間賞をとった者は往路では誰もいなかったのですが,全員が区間4位までにまとめて,安定した走りをみせ,常に先頭争いをしており,チームとしての強さが感じられました。田澤のプチ不調も関係なかったということです。青学は山登りが誤算で,やはり箱根往路は山登りが重要ということですね。駒澤はここに1年生を配置して,その1年生が結果を出すのは見事です。
 復路は,山下りの6区は,青学が区間最下位の大不調で,一方の駒澤がここでも1年の伊藤が区間賞の大活躍で,ここで青学との差が7分に開き,青学は脱落しました。中央大学も区間2位ということで,大きく開いたわけではなく,ここからマッチレースとなりました。しかし,その後も駒澤大学は各区で区間5位以内の安定した走りぶりで,中央大学を寄せ付けず,逃げ切りました。これで,出雲,全日本に続き箱根でも勝ち,大学駅伝3冠を達成しました。出雲と全日本で活躍した1年生の佐藤圭太を使わないでの勝ちであり,層の厚さを見せつけました。箱根に勝つには15人くらい同じレベルの選手をそろえなければ難しいと言われますが,これは多くの大学では難しいことです。國學院もエースの1人が欠けたために4位とはいえ,結局,優勝争いには絡めませんでした。駒澤は,1年生というと佐藤が話題になってきましたが,今回の要所の山登りと下りで他の1年生が活躍したことなども考えると,来年の100回記念大会でも優勝の最有力候補となるでしょう。ただ,中央も復活した印象ですし,実力のある青学や國學院ももちろんチャンスはあると思います。
 天候に恵まれた今年の箱根駅伝は,とくに往路は見所が多く,楽しませてもらいました。来年は全国の大学が予選会に参加できるそうなので,関西勢の大学が箱根を走ることもあるかもしれません。

2022年12月28日 (水)

瀬古の偉大さ

 そろそろ駅伝の季節です。まずは高校駅伝から始まり,箱根へと盛り上がっていきます。
 高校駅伝は,兵庫県からは男女ともに西脇工業が出場しました。女子は,県予選で,須磨学園がほぼ勝ちそうであったのが,アクシデントにより最後に失速してしまいました。西脇は全国レベルからみても,上位進出は難しそうでした。20位という結果は健闘したというところでしょうか。男子は1区で長嶋が昨年と同様,飛び出して独走し,昨年は途中で追いつかれましたが,今年はそのままトップでたすきをつなぎました。2区まではトップでしたが,3区で,留学生選手のいる倉敷などに抜かれてしまい,それでも最終的には6位でした。全員日本人選手だけでこの成績なので胸をはってよいと思います。
 駅伝ではありませんが,少し前にあった福岡国際マラソンは,昨年で終わったと思ったら,新たに復活したそうです。とはいえ,日本人選手は勝負になりませんでした。福岡国際マラソンといえば,私の世代は,前にも熱く書いたことがあると思いますが,瀬古選手なのです。最も記憶に残っているのは1983年の大会です。最近,たまたまYouTubeで観たのですが,すごいレースでした。ライバルの宗兄弟や伊藤国光もいたし,日本がボイコットしたモスクワオリンピックで金メダルをとったチェルピンスキーもいたし,当時世界最高記録をもっていたサラザール(ただし,その記録はその後,抹消)もいたし,そしてイカンガーもいました。当時の瀬古のレースは,最後のトラックに近いところまでは,先頭グループの真ん中あたりにいるというもので,イカンガーがいるときは,もちろん彼が先行します。そして最後に瀬古が抜き去るというパターンなのですが,この勝ち方を観た私たちにとって,瀬古は憧れというか,崇拝の対象でした。オリンピックに勝てなかったことなどどうでもよく(モスクワ五輪を日本がボイコットしていなければ彼が勝っていたでしょう),福岡で勝った4回が印象的で,なかでもこの1983年の大会での勝利を観た人は,瀬古への畏敬の念を,いまでも持ち続けていると思います。このような日本人選手はもう現れないと思います。いま瀬古さんは,日本のマラソン強化の責任者になっているようですが,いくら頑張っても自分のような選手を育て上げるのは無理かもしれませんね。