環境は票にならない?
最近,「環境政党」という言葉を耳にする機会が減った気がします。ヨーロッパでは緑の党(ヴェルディ)などが今も活動を続けていますが,全体としては環境よりも経済を重視する傾向が強まっているように感じます。今回の自民党総裁選について,私は党員ではないため内部事情に詳しいわけではありません。しかし外部から見ていて気になったのは,環境やエネルギー政策がほとんど議論の俎上に上っていないように思える点です。
その背景には,いくつかの要因が考えられます。第1に,物価高や景気対策,安全保障などが喫緊の課題として国民の関心を集めており,環境分野が相対的に後景に退いている可能性があるからです。第2に,日本政府はすでに「2050年カーボンニュートラル」や「GX(グリーントランスフォーメーション)」といった長期的な政策方針を打ち出しており,党内では争点として新規性がないことがあるのかもしれません。
そして第3に,より懸念されるのは,環境政策に消極的な姿勢を示す米国のTrump大統領に対し,日本の政権与党が迎合しているのではないかという点です。首相に選ばれると,まずはTrump大統領の来日もあり,政策を合わせる必要があるのでしょう。米国が環境政策に距離を置く場合,日本もその流れに引きずられる危険性があります。これでは情けないです。
環境政策は,未来の世代に直結する課題です。野党なら生活に直結する政策にこだわるのは仕方がないとしても,責任与党である自民党は,次世代に対する責任を果たす姿勢を明確に示すべきです。たとえ現在の国民に一定の負担を求めることになっても,持続可能な社会の構築に向けて踏み出すことにこそ,政治的リーダーシップの知性と情熱が問われるのではないでしょうか。自民党員の皆さんには,ぜひこの視点から候補者の姿勢を見極めていただきたいと思います。

