高市とMeloni
自民党総裁になった高市早苗さんが首相に選ばれれば,日本では初の女性首相ということになります。イタリアではすでに Giorgia Meloni(ジョルジャ・メローニ) 首相が誕生しています。彼女もイタリア初の女性首相で,右派勢力に指示されていることも高市さんと重なる部分があります。
メローニ首相は,意外にも安定した人気を保っています。イタリアは,他の欧州と同様,連立政権の国ですが,その中でメローニの率いる「イタリアの同胞(Fratelli d’Italia)」が3割前後の支持を維持しているというのは,かなり安定した状態といえるでしょう。この点について,イタリアの友人のMaurizio に聞いたところ,メローニは,何もしないから支持されているという分析をしていました。強引に押し付けない分,反発も起きないということです。もしそうなら,それで本当にいいのか,という気もします。
確かに,イタリアの経済は厳しく,公的債務が大きい以上,思い切った経済政策を打ち出す余地は限られています。財政再建の足かせの中で、やりたくてもできないという現実があるのかもしれません。しかし,そうやって何もしないことが結果として政権を安定させているのだとすれば,それは少し危うい安定にも見えます。
政治が何も動かないまま,連立の名のもとに停滞が続くという構図は,日本でも大連立が起こるとあてはまるようになるかもしれません。だからといって,日本は,国債が円建てで日銀など国内で保有されているので破綻はしないから,安心して財政出動してよいという話に高市さんが乗っかると,それはそれでほんとうに大丈夫なのかという心配もあります。
いずれにせよ,イタリアを一つの参照点として,その共通点と相違点をみながら,日本の将来を考えることは興味深い試みかもしれません。

