イタリアのAI(IA)新法
イタリアで,2025年9月23日に「人工知能に関する規定と政府への委任」を定めた法律第132号が成立しました。この法律は,一部の事項を直接定めつつ,その他の部分は政府への委任立法(delega legislativa)によって詳細を定めるという構成になっています。
ちなみにイタリアでは,「人工知能」は AI ではなく IA(Intelligenza Artificiale) と呼ばれ,定冠詞がつくと「l’IA(リア)」になります。最初は現地で「リア」と言われても何のことか分からず戸惑いました。こちらが話すときも,文脈なしに「リア」とだけ言っても通じないことが多く,結局フルで言う必要があって,これが意外と面倒です。EUという言葉も同様で,イタリア語では UE(Unione Europea)です。これも略すと通じづらいので,なるべくフルで言ったほうが確実です。
ところで,この法律はEUのAI法(AI Act)に基づく国内法整備としては,EU諸国で初のものです。とくに労働関係に関して興味深い規定が多く,現地の研究者にも話を聞きました。その内容は,帰国後にまとめたいと思います(現地でというのは,いま,私はイタリアに滞在中なのです)。
ところで,現地で alfabetizzazione digitale という言葉も,ネット上で見かけることがありました。 Alfabetizzazione は本来,「アルファベットを習得すること」=「読み書きができるようになること」を意味します。そこに digitale(デジタル)がつくので,要するに「デジタルリテラシー」のことですね。 英語では literacy という言葉を使いますが,イタリア語ではこの語を使わないのはなぜでしょうかね。聞くのを忘れていたので,あとで自分で調べてみようと思います。
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