Bocconiでのセミナー
今回のイタリア旅行のメインは,Bocconi大学で開催された高齢者と介護に関するセミナーに参加することでした(セミナーは2部構成で,私は高齢者編のほうでプレゼンをしました)。Bocconi大学の教授である Maurizio Del Conte が久しぶりに招待してくれたので,最近は引きこもりでしたが,思い切って行ってみることにしました。Bocconiが出してくれる旅費はエコノミー席分だけということで,プレミアムエコノミーとの差額は自分で負担しました(痛い出費です)。「なんでお金を払って仕事をしなければならないのか」という気もしないわけではありませんが,それでも,こういう機会でもなければ海外に行くことがないので,お金には代えがたい価値があったと思います(もちろん報酬があるわけでもありませんし,ホテルは2泊分だけ料金は負担してくれたのですが,宿泊税は自分もちになっていて驚きました。ミラノでは4つ星以上だと,1泊7ユーロかかります)。
外国人参加者は私と Catherine Barnard だけでしたが,彼女は大学の都合で急遽オンライン参加となりました。久しぶりに会った(?)のですが,バタバタしていて,挨拶はできませんでした。
参加者も聴衆も,どうも私たち外国人の2人を除き,イタリア人ばかりなのに,なぜかBocconiでは「こういうセミナーは英語で行う」ということになっているらしく,すべて英語で進行されました(Catherineも私もイタリア語はできるのですが)。最初から英語でやるということは聞いていたので,それは覚悟のうえでしたが,もっといろんな国の人が参加するかと思ったら,ほとんどはイタリア人とイタリア語が話せる外国人だけだったのです。
それはさておき,正直なところ,日本の話など誰も興味がないだろうと思い,予定された時間より短く,セミナーの進行を妨げないようにと空気を読んだつもりでいました。プレゼンを終えればお役御免だろうと思っていたら,質疑応答でなぜか私だけに質問が集中してしまい,「なんでやねん」と思いながら四苦八苦して答えました(うまく答えられたか自信はありません)。とにかく,予想に反して日本への関心が非常に高かったのです。
私の話のエッセンスは,「高齢者に対する労働政策はデジタル技術を活用すれば未来がある」という,いつもの主張だったのですが,これはあくまで個人の意見であり,希望のようなものでもあります。それなのに,聴衆の中には「日本ではそう考えられている」と受け取った人もいたようで,少しまずいなと思いました。In my opinion と断っていますので誤解をするほうが悪いと,割り切っています。もちろん,客観的なデータ(日本の人口構造の変化や,高年齢者雇用安定法の内容など)もきちんと示したうえで話をしました。
でも,こういう会議って,とんがったことを言ったほうが盛り上がるのです。デジタル技術を活用すると,高齢者差別につながると言って,食って掛かってきた人もいました。高齢者のフレキシブルな働き方を認めていくと,処遇が下がり,新たな差別問題にならないか,という法的な問題を質問してきた人もいて,報告のなかでは当初は入れていた定年後の雇用について,細かすぎると思って省略したら,質問されてしまいました。不合理な格差の禁止規定が定年後の有期の高齢者に適用されることにともなう問題は,とてもいきなり質問されて答えられるものでもなく,基本的なことを話しただけで終えました。
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