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2025年10月13日 (月)

「煙」のミラノ

 ミラノ(Milano)の話の続きですが,日本から来るたびにいつも感じるのは受動喫煙の被害です。タバコの煙をずっと浴びながら歩いているような感じで,これは本当にたまりません。風邪をひいているわけではないのに,喉が苦しくなり,喘息のような症状になりかけてしまいます。神戸も特に空気がきれいというわけではありませんが,ミラノの空気の悪さは桁違いです。レストランなど屋内では喫煙が禁止されていますが,その代わり路上では自由に吸えるため,通りでは,屋内では吸えない喫煙者が一斉にタバコを吸っているという感じです。その結果,通行人は煙の中を歩く羽目になり,特に私のようにタバコの煙に敏感な人間にとってはなかなかつらい環境です。
 もっとも,イタリア人も観光客も特に困っている様子はないので,こちらが少し敏感すぎるのかもしれませんが,それでも実際に呼吸器に支障が出てくるので,意識せざるを得ないのです。
 ミラノは昔から大気汚染が深刻だと言われてきました。その主な原因は自動車の交通量の多さであり,さらに地形構造上,汚染物質が溜まりやすいことも知られています。ミラノはポー平原(Pianura Padana)の中に位置し,北をアルプス(Alpi),南をアペニン(Appennini)山脈に囲まれた盆地のような地形のため,風が弱く,空気が滞留しやすいのだそうです。
 実際,ミラノの大気汚染は冬の時期に特に深刻化する問題とされています。寒い季節には気温の逆転層が発生して,スモッグなどが地表に溜まりやすくなるそうです。これこそが,かつてから文学や映画で語られてきた「霧のミラノ(la nebbia di Milano)」の正体です。 今の季節の程度の汚染であれば,地元のミラネーゼ(Milanese)にとっては,たいしたことはないと感じているのかもしれません。とはいえ,日本から来る身には,この空気の悪さはなかなか堪えるもので,困ったものです。「霧」はいいですが,「煙」は簡便してもらいたいですね。

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