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2025年9月 6日 (土)

読書の秋

 毎年,多くの本が刊行されます。そのなかのごく一部しか読むことはできませんが,少しでも多くの本を読まなければ損だという気持ちになります。せっかく他人が知識を提供してくれているのに,それを活用しない手はないからです。最近ではデジタル本であれば,見事な要約をしてくれるAIもあり,全文を読む必要すらありません。Marxの『資本論』やLockeの『市民政府二論』のような古典もインターネット上で参照でき,要約も容易に得られます。たとえばロックが労働による所有について述べた箇所や,生存権的な発想が見られる部分を生成AIに尋ね,その引用が正しいかどうかを原文で確認することもできます。
 自分の書いた文章も忘れていることが多いため,NotebookLMに読み込ませて要約や確認をしています。質はともかく量的には膨大なので,AIに頼らなければ自分でも整理ができません。
 自宅の本棚はそれほど大きくはないものの,それでもかなりの数の本があります。眺めていると「まだ読んでいない」「もう一度読んでみたい」「読まなければならない」と思う本が目につきます。また研究室に行けば本だらけで,地震が来れば本に埋もれてしまうほどです。つまり,私の周囲だけでも膨大な情報が眠っており,それを一生のうちにすべて吸収することは到底できないのです。だからAIを活用して,少しでも吸収できないかと考えています。もっとも,自分のよく知っている分野については,生成AIに尋ねても正しい答えがすぐに返ってくるわけではありません。数度のやりとりを経てようやく正解にやや近づくということもよくあります。ただ,これも,こちらが誤答への注意を払いながら,プロンプトの工夫をすることで改善が期待できます。いずれにせよ,AIの可能性を理解し,これをうまく使うことは,手書きからキーボード入力へと移行したときと同様,少なくとも私たちの業界では避けられないでしょう。

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