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2025年9月 2日 (火)

パレイドリア

 幼い子どもは,日常生活のなかの思いもかけない記号や文字をみて怖がることがあります。大人には何が怖いと感じているのか,わからないのですが,徐々に言葉を話せるようになると,怖がっていた理由もわかってきます。記号や文字が不気味なモンスターのようなものにみえているのです。
 生成AIにこのことを問うと,どうもパレイドリア(Pareidolia)と呼ばれる脳の働きが関係しているそうです。パレイドリアとは,古代ギリシャ語から来ているもので,「本物ではない像を,何かに似ていると認識すること」という意味だそうです。
 曖昧な視覚情報から意味のある形を見出す脳の働きであり,雲の形が動物にみえたりするのも,そのためです。これは錯覚ではなく,脳が意味を探そうとするという自然な認知機能であり,とくに顔認識に関する領域(側頭葉の一部)が活性化しているのです。私たちも,のっぺらぼうの顔でも,脳で補って好きな顔として認識してしまうというのも,それと同じかもしれません。幽霊をみたというのも,同じでしょうかね。
 とくに幼児期は,視覚での認知と感情反応が密接に結びつく時期だそうで,文字や記号に「顔らしさ」を感じやすく,それに対する恐怖反応は,未知のものに対する自然な防衛本能なのです。これは同時に,子どもの脳は,自分のみている世界を意味で満たそうとする創造的な作用をしていることも意味しています。
 最近では音声を発する機械もあり,たとえばリモコンで操作して音声が出てくると,そのリモコンに恐怖心をおぼえるということもあるようです。どのように想像と創造を働かせているのかわかりませんが,その能力はある意味では羨ましいものです。成長にともない,知識が増えていき,創造・想像できる部分が小さくなっていくのでしょうが,それは残念なことでもあります。

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