阪神優勝
阪神タイガースが優勝しました。まだ余韻に浸っています。2年ぶりです。強くなりました。9月7日の優勝はNPBセ・リーグ史上最速だそうです。夢のようです。私の子ども時代は,江夏がいても,田淵がいても,巨人に勝てませんでした。赤ヘルが強くなり,中日や広岡のヤクルトが優勝しても,阪神は1964年以降は,吉田監督の1985年まで優勝できませんでした。それからまたあと1990年代は優勝できず,ようやく星野仙一監督の2003年,岡田監督の2005年と優勝しましたが,その後はまた暗黒の時代で,岡田監督の再登板の2023年の優勝は感動的でした。そして今年です。今年の強さは,また格別です。1985年のときのようなバース,掛布,岡田,真弓の強力打線とは違い,たしかにサトテルはよく打っていますが,全般的には,ロースコアの戦いで投手陣で勝ち抜くスタイルです。岡田監督の守りのスタイルと似ています。
今年は,村上と才木という右の2枚のエースが安定していました。1964年の優勝は,私は記憶はありませんが,バッキーと村山という二人の大エースが競い合いました。ただこのときはバッキー29勝,村山22勝と桁違いでした。投手分業制が確立していない時代で,エースは先発完投が当たり前でした。いまは先発は100球くらいで交代なので,後半に逆転するような試合では勝ち星はつきません。むしろ,そのあとの中盤そして終盤が重要で,阪神はそれらの投手の安定が際立っていました。言うまでもなく,日本記録更新中の石井の活躍は大きいです。私は,MVPは石井ではないかと思っています。たしかにサトテルも候補になりますが,石井がいなければ優勝はできていなかったことは確実です。
近本は8月後半は調子が崩れましたが,この選手は,いるだけでみんなが安心する阪神の支柱です。中野は選手会長として頑張りました。森下は勝負強いバッティングでチームを何度も救いました。サトテルは,野球選手としてなぜ1年でここまで成長できたかが不思議ですが,たんなる阪神の人気選手の域を超え,日本を代表する大選手になりましたね。大山は,不動の4番の座をサトテルに譲り,脇役に徹しました。この献身性も,珍しいことです。大山がいてくれてよかったという試合がいくつもありました。6番以降は安定しませんでしたが,守備的には坂本捕手の成長が大きいです。梅野が控えに回るという形になったことで,阪神の捕手は安定しました(3番手の捕手が育っていないのが問題ですが)。6番と8番,レフトとショートが流動的になったことで,選手間の競争が激しくなり,そのなかでいろいろと新しい選手ができてましたし,とくに熊谷の活躍がすごかったです。投手陣は,村上,才木,大竹,伊原,途中から伊藤,高橋も加わり,途中まではデュプランティエも貢献してくれました。抑えは,石井以外にも岩崎,及川,桐敷,湯浅,途中からドリスらも頑張りました。
監督の選手起用で印象的であったのが,選手が怪我をしないことを最優先に,とりわけ投手を慎重に使っていたことです。中盤以降の選手は疲労が蓄積することに配慮し,目先の1勝を取りに行くような無理な使い方はしませんでした。貯金があったからできたことでしょうが,新人監督の冷静な選手起用は際立っていました。ファンからすると,疑問があるような選手起用も,あとからみると,しっかりとした理由があることがわかり,その一貫した姿勢は,どことなく理詰めの研究者のような雰囲気もありました。
藤川監督が強調したように,ペナントレースのチャンピオンであるのは阪神であり,そのことは変わりありません。このあとのクライマックスシリーズや日本シリーズがありますが,これは別のステージです。日本シリーズにも勝ってほしいですが,むしろ期待したいのはセ・リーグ2連覇です。

