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2025年8月の記事

2025年8月31日 (日)

果糖

 今日で夏休みが終わりです。もっとも,最近では9月1日が新学期というわけでは,必ずしもないようですね。少し前までは最高気温40度というのは未来の話で,そんな時代が来たら困ると思っていましたが,いまや現実となっています。夏になると水分補給が必要ということで,外を歩いている時にスポーツ飲料を飲む人も多いと思いますが,最近,テレビ番組で果糖の肝臓への悪影響を訴えるものを何度か見ました。NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられていました。果糖入りの飲料が肝臓を破壊し(脂肪肝から肝硬変,さらには肝臓がんへと進む),危険だというのです。オレンジジュースを飲むなら,オレンジをそのまま食べたほうがよい,とも紹介されていました。以前,テレビ東京でも同様の番組を見たことがあります。果物ジュース,清涼飲料水,スポーツドリンクなども注意が必要だということです。果糖そのものが悪いのではなく,液体で摂取すると肝臓に蓄積されやすいため問題であり,果物を個体のまま咀嚼して摂取するのであれば問題は少ないようです。アルコールを控えても,その代わりに果糖入りの飲料を多くとれば肝臓によくないという指摘でした。肝臓によいとされる食品(冷奴,納豆,鶏むね肉,ツナ,ゆで卵,枝豆,しらす)を食べ,運動をして体重を7%下げればよいとのことです。
 私は納豆を毎日食べており,そのおかげかどうかはわかりませんが,AST・ALTの数値は正常です(もっともテレビでは,数値が正常でも安心できないと警告していました)。もちろんこれらの食品も食べ方に注意が必要です。納豆もタレをかけすぎるとよくないとか,さまざまな点で気をつける必要があります。結局のところ「この食物はよい」「悪い」という話は数多くありますが,何かによいものが別の何かに悪いこともあります。だからこそリスク分散として,いろいろな食品を食べるのがよいという,あたりまえの結論に落ち着きます。
 幼少期から母親のおかげで自然な食材を多く食べてきました(その分,味付けが薄く,美味しくないと感じることもありました)。大人になってからは加工食品を口にする機会が増え,太ってしまいましたが,いまでも人工的な味にはどこか拒否感があり,口直しをしたくなることがあります。子どもに食事をさせるときには,幼いころの味覚の形成は大切であり,食が細いからといって安易に濃い味付けにするのは望ましくないかもしれません。私の小学生のころの写真を見るとガリガリで頬もこけていましたが,それでも大きな病気もせずに健康に過ごしてこられたのですから。

2025年8月30日 (土)

三菱商事の風力発電事業からの撤退に思う

 三菱商事が,秋田県・千葉県沖で予定されていた大規模な洋上風力発電事業からの撤退を発表しました。これは,日本の再生可能エネルギー政策を代表する事業の一つと位置付けられていましたが,想定を大幅に上回る建設費や風車コストの上昇を理由に,事業継続は困難と判断されました。
 政府は「2050年カーボンニュートラル」に向け,2030年に洋上風力1000万kWの導入を目標に掲げています。今回の事業はその達成に向けた先行事例であり,国策を象徴するプロジェクトでした。それだけに,三菱商事の撤退は単なる一企業の経営判断にとどまらず,国の温暖化対策全体に影を落とす出来事となっています。入札を通じて事業を担う立場を選んだ以上,三菱商事には重い公共的責任があり,採算が合わないから撤退するというだけでは済まされません。地域社会にとっては雇用や経済効果への期待があり,国民にとっては再エネ導入の遅れが気候変動リスクの増大につながります。その意味で,今回の撤退によって企業が国策を遅らせた責任は小さくありません。
 もっとも,企業だけを非難することは適切ではないかもしれません。洋上風力は莫大な投資と長期的リスクをともなう事業であり,民間企業が単独で負担するには限界があります。それにもかかわらず,政府はコスト上昇や国際的な供給不安といったリスクを吸収できる制度を十分に整備できませんでした。入札制度を設計し,民間に国策を担わせた以上,政府自身も大きな責任を負っているといわざるを得ません。したがって今回の撤退は,企業と政府の双方の共同責任であり,どちらか一方を非難して済む問題ではありません。今回の事例を契機に,企業が安心して挑戦できる制度設計を進めてもらいたいものです。

2025年8月29日 (金)

岩出誠『教養としてのリーガルマインド 労働法入門』

 弁護士の岩出誠先生から,『教養としてのリーガルマインド 労働法入門』(民事法研究会)をお送りいただきました。いつも,どうもありがとうございます。
 「教養としてのリーガルマインド」シリーズの本です。労働法の知識も,教養として身につけておいたほうがよいものであり,サブタイトルでは入門となっていますが,ざっと拝見したところ,それほど簡単な内容ではなく,むしろ法学部の学生あたりが適した読者対象ではないかとも思いました。章立てはやや独特で,「労働法総論」⇒「ハラスメント」⇒「労働者の人権保障」⇒「労働条件」⇒「非正規労働者」⇒「休職・労災」⇒「解雇・退職」⇒「労働関係紛争の解決システム」の8章構成です。
 法学生向けと書きましたが,実務的な論点も扱われています。たとえば「解雇無効確定後の社会保険等の遡及手続」は,あまり普通の教科書では扱わない論点であり,実務家にとってたいへん参考になることでしょう。
 

 

2025年8月28日 (木)

育成選手

 プロ野球の育成選手制度というのは,あまり詳しく知らなかったのですが,背番号が100番台になり,そのままでは1軍の試合に出ることができないが,「お化けフォーク」で大リーグで活躍中の千賀投手のように,育成上がりで成功した選手もいるという程度の知識しかありませんでした。ドラフトでは,育成での指名であればプロに行かないという高校生も増えているということも,どこかの記事に出ていました。年俸は低く抑えられ,支配下登録の選手にカウントされないので,上限規制にしばられないで選手をキープできるというメリットもあるようです。髙橋遥人選手のように,ケガのために育成にいったん落とされたというケースもあります。
 昨日,育成で加入したルーキーの早川太貴投手が支配下登録を勝ち得て,早くも1軍で勝利をあげました。大出世です。これまでドラフト候補になったこともありますが指名されず,公務員になり,その後,ウエスタン・リーグに参加している「くふうハヤテ」のトライアウトで合格して入団し,そこで阪神の2軍相手に好投していたことから,スカウトの目にとまり,育成ドラフト3位で指名されて,ついに優勝争いをしているチームのローテーションの隙間に先発する機会を得ました。背番号はなんと31です。あの掛布雅之の番号です。個人的には永久欠番にしてもよい番号だと思っていますが,その後も何人かがつけて,あまり成功していません。なんとなく打者の背番号というイメージですが,早川が投手としてつけて活躍してくれた31もよみがえるでしょう。31は,私のこどもの頃の記憶では,カークランドという三振の多い左の外国人打者でした。
 育成選手の球団との労働関係などは,なんとなく法的論点がありそうな気がしますが,機会があれば実態を調べてみたいと思います。

2025年8月27日 (水)

王位戦第5局

 藤井聡太王位(竜王・名人,七冠)に永瀬拓矢九段が挑戦している王位戦第5局は,永瀬九段が勝って2連勝で,23敗としました。藤井王位にしては珍しく完敗ですし,2日制のタイトル戦で連敗するのは初めてです。永瀬九段は,藤井対策で何かつかんだものがあるのでしょうか。
 A級順位戦は,糸谷哲郎八段が佐々木勇気八段に勝って2連勝になりました。これで永瀬九段,近藤誠也八段,糸谷八段が2連勝で並んでいます。A級は頭ハネがないので,順位が下の糸谷八段も名人挑戦のチャンスがあります。B1️組は,伊藤匠叡王が4連勝で,A級に向けて順調です。2番手は,大石直嗣七段と服部慎一郎七段が31敗で追っています。下馬評では,伊藤叡王,服部七段が昇級候補ですが,どうなりますか。まだ3分の1が終わったところです。B2組は,久保利明九段と村山慈明八段が4連勝です。羽生善治九段と山崎隆之九段が31敗で追っています。ふたりとも順位が上なので,昇級候補です。谷川浩司十七世名人は22敗です。今期は前期とは違い,強豪若手との対戦はないので,成績を上げることを期待したいです。いまこのクラスは,他にも,丸山忠久九段,郷田真隆九段,木村一基九段,深浦康市九段,屋敷伸之九段,三浦弘行九段などのA級経験者がぞろぞろいて,一番面白いクラスでもあります。
 王将戦挑戦者決定リーグ戦は,最強リーグと呼ばれますが,メンバーが徐々に決まっています。昨年の成績でリーグに残留した永瀬九段,西田拓也五段,菅井竜也八段,近藤八段にあと3人が加わります。伊藤叡王は,今日,広瀬章人九段に勝ってリーグ入りを決めました。残りは豊島将之九段と大橋貴洸七段の勝者,稲葉陽八段と佐々木勇気八段の勝者です。また棋王戦の挑戦者決定トーナメントも,ベスト8に山崎八段が進んで,次に伊藤叡王と戦います。伊藤叡王は,今年は,どの棋戦でも順調で,来週から王座戦で藤井王座に挑戦しますし,冬におこなわれる王将戦,棋王戦で連続挑戦する可能性もあります。昨年はタイトル奪取後はぱっとしませんでしたが,今年は苦労して叡王を防衛したあとは,好調が続いているようです。

2025年8月26日 (火)

老眼を超えて

 遠近両用のコンタクトレンズを買ったところ,ちょっと大げさですが,かなり生活が変わりました。外出時に老眼鏡を持ち歩く必要がなくなりました。状況に応じて,先日も書いた,中近両用の眼鏡と使い分けています。目を使う仕事をしているので,もっと早く思い切って購入しておけばよかったです。メガネもコンタクトレンズも高額商品なので,いま持っているものを使うことができるならば,あえて買い替える必要はない(コンタクトはより高額の遠近両用にしなくてよい)という節約志向(思考)でしたが,必要な出費をしないのはよくありませんね。反省しています。
 目の調子は,答案の採点作業にも大きく影響します。とくにLSの答案は,学生が限られた時間で必死に書いてくるので,解読するのに困ることが少なくありません。老眼には厳しいのですが,今年は眼鏡のおかげで,さほどつらくありませんでした。そうなると採点に向かうときの気持ちも,どことなく学生に対して優しい気持ちになれそうです(?)。そのためかどうかわかりませんが,今回は珍しく「不可」はいませんでした。
 ただ,もうすぐコンピュータで答案を書く時代に入ります。もっと早く実現できたのでしょうが,これでようやく採点業務のつらさから解放されるシニアの先生方も少なくないでしょう。データで答案をもらえれば,生成AIで採点の下作業をしてもらえるかもしれません。長く教師を苦しめてきた採点作業から,もう少ししたら開放されるのかもしれませんね。小学校や幼稚園などでは,まだ教師が手書きをしているところもあるようです。手書きのきれいな字のメッセージなどをもらえれば嬉しくなりますが,それが労働強化につながっていると思うと保護者も望んではいけないのかもしれません。もちろん人のハートを掴むのは,アナログ的なものでしょう。
 今回の採点では,手書きというわけにはいきませんが,答案が例年より少なかったこともあるので,一人ひとりに答案へのコメントを書いたメールを送りたいと思っています。

2025年8月25日 (月)

職業の貴賎?

 NHKの大河ドラマ「べらぼう」は吉原を舞台としています。現在では赤線は廃止され,1958年の売春防止法の施行により,売春は表の世界から姿を消しました。売春についての評価は男女間で大きく異なるでしょうが,労働問題としては,女性にとっての職業選択の自由という観点からみたとき,これは難しい問題となります。
 この点を考えるうえで興味深い最高裁判決が,今年の616日に出されています。メディアでも報道されたのでご存知の方も多いと思います。コロナのときの持続化給付金の対象に,風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)271号の定める「無店舗型性風俗特殊営業」(「人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で,当該役務を行う者を,その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの」),つまり,世間で「デリヘル」と呼ばれる営業(以下,本件特殊営業)を行う事業者が排除されたことが,法の下の平等を定める憲法141項に反して違憲ではないかが問題となりました(他のタイプの風俗営業の事業者は対象となっていました)。
 多数意見は違憲ではないということですが,宮川美津子裁判長の反対意見があり,両者は正面から見解が対立しています。宮川裁判長は,給付の対象となる風俗営業と本件特殊営業は,「規制をしなければ善良の風俗や清浄な風俗環境が害されるなどのおそれがあるものとして位置付けられている点に違いはない」とし,「多数意見がいうように,本件特殊営業がその健全化を観念し得ないものと位置付けられていると考えることは相当でない」し,「本件特殊営業については,接客サービスを提供して生計を立てる接客従業者が存在するとともに,当該サービスを求める顧客も存在しており,一定の社会的な需要があることは否定し難いところ,現行法上,本件特殊営業は禁止ではなく規制がされているにとどまり,そこで提供される接客サービスは,人としての尊厳を害するものとして禁止されている『売春』とは異なり(売春防止法1条ないし3条),法律上接客従業者の尊厳を害するものと位置付けられていないことも考慮すべきである」し,多数意見がいう「接客従業者の尊厳を害するおそれ」については,「本件特殊営業において接客従業者が顧客から意に反する身体的な接触や性行為を求められる危険も含まれ得るところ,そのような危険の存在は事業者が接客従業者と顧客との間に入ることで予防できる面があり,このような事業者との適法な契約関係の下で自律的に当該サービスを提供している接客従業者について,当然に当人の尊厳を害するおそれがあるとまでは断じられない」と述べています。
 これに対し,安浪亮介裁判官は補足意見で「多数意見は,風営法上の規制目的や,本件特殊営業に届出制が採られている点など現行法の位置付けを考慮して結論を導いており,抽象的な性道徳の観点から事業者や従業者を他より劣位に置いたわけではない」と説明しています。補足意見は職業の貴賎論に踏み込んだものではないと強調していますが,宮川反対意見はむしろそれを否定する立場に近いものです。
 多数意見は一見,接客女性の立場に配慮しているようにみえますが,逆に軽視しているともいえそうです。もちろん,意図的にそうしているわけではないでしょう。しかし,古い価値観に基づき,無意識のうちに意図せざる軽視をしている可能性は否定できません。給付金の不支給は職業選択の自由を直接侵害するものではありませんが,「公費を投じて継続させるに値しない職業である」という評価それ自体が,間接的に自由を侵害しているとも考えられますし,これを選択した女性の尊厳を傷つけかねません。憲法違反とまでいえるかはともかく,最高裁がある種の職業に序列を付ける判断を(意図せずとも)示したことに違和感があります。
 もっとも,これとはまったく異なる見方も可能です。職業選択の自由は無制限の自由ではなく,公共の福祉や公序良俗の枠内で認められるものです。たとえば,犯罪行為を「職業」とすることは,それが貧しい人々の生活維持のためであっても許されません。社会においてどこまでの職業が公共の福祉や公序良俗の範囲に含まれるかを判断するのは,最高裁の役割の一つともいえます。そうみると,補足意見の説明は余分であり,最高裁としては「本件特殊営業を全面的に禁圧するわけではないが,望ましい職業ともいえない」と判断したのだと整理すれば,これは職業選択の自由に対する公共の福祉による制限であると理解でき,宮川反対意見はそれに対立する見解だと位置付けられるでしょう。そのほうが議論として明確になります。
 では私自身の立場はどうかといえば,憲法論はさておき,根源的には,社会にとって意味のある職業かどうかを人類史的な観点から考える必要があると思います。そうすると,性風俗産業全般を単純に「望ましくない職業」とは言い切ることにはためらいを感じます。法的な議論としてみても,本件特殊営業と他の風俗営業とを区別する十分な理由は見当たりません。いずれも所定の要件を満たす限り合法とされている以上,給付金制度を設けたのであれば,支給対象とする際には平等に扱うべきだと思えます。法的な論点については,憲法学や行政法学の観点から,精緻な検討がされるべきでしょうが,同時に,職業の貴賎とは何かを考える上で,ゼミなどでもとりあげる価値のあるテーマであると思います。性風俗にかかわるので,扱いにくい面はあるかもしれませんが,避けるべきではないと思います。

 

 

2025年8月24日 (日)

マジック16

 夏の高校野球が終わり,少しずつ朝夕は秋の気配が近づいているでしょうか。甲子園は,広陵の後味の悪い話はありましたが,東洋大姫路はベスト8までいき,そこで負けた相手である沖縄尚学が優勝しました。沖縄の優勝でよかったと思います。実際に甲子園でみた山梨学院は強いと思いましたが,上には上がありましたね。
 高校野球が終わると,もうすぐ阪神タイガースが甲子園に帰ってきます。ここに至ってサトテルが大ブレーキになっていましたが,今日はホームランを打ってスランプ脱出でしょうか。ただ主力が不調でも,その間も着実にマジックは減っています。とくに熊谷選手の活躍はすごいです。どうしてこの選手が代走要員であったかと言いたくなるくらいです。藤川監督は,見事に選手を才能を開花させました。巨人は岡本が復帰して変わった感じもありますが,阪神を追撃するほどの勢いはありませんね。対戦相手として一番手強いのは,いまは中日です。中日には負け越しています。優勝のXデーは,95日からの甲子園での広島との3連戦のいずれかであるとみていますが,どうでしょうか。チケットは手に入らないでしょうね。

2025年8月23日 (土)

ハッピーセット問題に思う

 私はもう長いことマクドナルドのハンバーガーを口にしたことはなく,ハッピーセットのことも詳しく知らないのですが,食事が粗末に捨てられているということを聞いて,それだけで,強い不快感をおぼえます。
 昭和中期世代の私としては,よほどの体調不良でないかぎり,外食であっても出された食事を残すことがそもそもできません。これは「フードロス」といった言葉では片付けられない,もっと根本的な嫌悪感です。自分の金で買ったから,食べるも捨てるも自由であるという考え方にはついていけません。他人がつくったものは,たとえ代金を払ったとしても,リスペクトすべきだと思うのです。所有することには,ある種の責任をともなうということにも通じるのかもしれません。
 もっとも,ファーストフードと呼ばれるものに「リスペクトに値する」要素があるのか,という問題はあります。アルバイトがマニュアルに従って機械的に調理した食品に対してまで,リスペクトすべきであるということには,どこか違和感があります。要するに,そうした食品はそもそも食べない方がよいということなのでしょう。もちろん,そこは好みの問題なので,他人に対しては強くは言いません。ただ,大量廃棄が問題となっている以上,企業としては,「うちの商品をそんなに粗末に扱わないでください」と言ってほしいです。それが自社商品へのプライドです。
 転売それ自体は違法ではありません。ポケモンカードが転売されることは,マクドナルドとしても想定していたでしょう。買い占めをする人が出てくることも予想していたはずです。そして,食品廃棄をする人も予想していたかもしれません。それでも売れれば構わないと考えていたのではないかという疑いがあるのです。
 カードをつけるのなら,グリコのおまけのように「買えば必ずついている」仕組みにすればよかったのです。それができないのなら,このような販売方法はやめ,誰も捨てたいと思わないような,魅力あるハンバーガーをつくってもらいたいものです。

2025年8月22日 (金)

松尾剛行『実務の落とし穴がわかる! IT・AI法務のゴールデンルール30』

 弁護士の松尾剛行さんから,『実務の落とし穴がわかる!ITAI法務のゴールデンルール30』(学陽書房)をお送りいただきました。これで今年何冊目でしょうか。その生産量の高さには驚きです。
 今回の本も,弁護士や法務担当者向けに書かれた本だと思いますが,帯にあるような「リスクだらけのデジタル社会」ということがよくわかります。とくに法律の専門家として企業などのクライアントにアドバイスをする際には,個人情報保護法だけでなく,デジタル化の影響を受けて進化し続けている他の法律の規定や指針や判例などを知っておかなければならないのです。もちろん,明確に間違っているアドバイスといえるものと,注意をしなければならないといえるものがあり,本書にはその両方についての失敗事例が紹介されていますが,いずれにせよ,どこに「地雷」があるかすら,わからないことも多いので,基本からしっかり勉強しておかなければならないということでしょう。
 デジタル関係の専門用語には難しいものがあるものの,内容はわかりやすく書かれているので,弁護士以外の人も,まずは手にとって読んでみて「地雷」がどこにあるかの「土地勘」をつかんでおくのがよいかと思います。

2025年8月21日 (木)

宇賀最高裁判事の功績

 最高裁判所の判事には,いわゆる「学者枠」というものがあります。今回,行政法の専門家である宇賀克也判事の定年退職にともない,東京大学の民法専攻の沖野眞已さんが就任することになりました。実は,宇賀判事より前にも刑事法の専門家である山口厚先生が最高裁判事を務めておられました(東京大学定年後に早稲田大学に再就職)が,山口先生は弁護士出身判事の後任としての就任だったため,学者枠ではありませんでした。実際,山口先生の定年後には,弁護士出身の宮川美津子さんが就任しています。
  
沖野さんの就任は,私たちの世代の法律家がついに最高裁判事に登用されたことを意味し,感慨深いものがあります。もっとも,沖野さんは今年4月に東京大学法学研究科・法学部の初の女性研究科長・学部長に就任したばかりで,最高裁が強引に引き抜いた印象もあります。東京大学側も少なからず困ったのではないでしょうか。
  
宇賀先生の最高裁での活躍は,私に論評する力はありませんが,あえて挙げるなら,労働事件では,特にメトロコマース事件(20201013日)での反対意見が印象に残っています。私は,契約社員に退職金を支給しないという格差は不合理ではないと考えますが,宇賀判事は,この事件が契約社員であっても実質的に長期勤続している点を重視し,「退職金が正社員の4分の1を下回る範囲では不合理である」とした控訴審判決を支持しました。反対意見では,「退職金は職務遂行能力や責任の程度等を踏まえた労務対価の後払いの性質を有し,有為な人材の確保・定着のため,継続的就労が期待される者に支給する必要がある」としたうえで,本件契約社員は「1年以内の有期契約で採用されるが原則更新され,65歳定年が保障されており,正社員と同様に勤務が期待されていた」と判断しています。その結果,継続勤務への功労報償としての性質は,この契約社員にも及ぶとしたのです。退職金の格差に関して一般論としては肯定しつつも,当該事案特有の事情に着目して部分的救済を図ろうとしたものであり,結論の是非はともかく,実質的な妥当性を追求する確かな法解釈の展開が印象的でした。
 もう一つ印象に残っているのは,公務員関係の宮城県教育委員会事件(2023627日)です。酒気帯び運転により懲戒免職となった教師に対する退職手当不支給処分の適法性が争われたこの事件では,控訴審が3割支給すべきとの判断を示したのに対し,最高裁多数意見はこれを破棄し,不支給を適法としました。これに対して宇賀判事は反対意見で,「飲酒運転による公務への信頼失墜は,飲酒運転取締りの立場にある警察官の方が大きいにもかかわらず,当該警察官は停職3月にとどまり退職手当も減額されない」と指摘。そのうえで,当該教師が管理職でないこと,懲戒処分歴がないこと,30年以上勤続してきたこと,事故が物損のみで既に回復済みであること,反省の情を示していることを考慮し,「退職手当の後払い的性質や生活保障機能を完全否定するのは酷に過ぎる」として,原審の一部認容判断に違法はないと述べています。ここでも退職金の大幅減額はやむを得ないとしつつ,過去事例との均衡や退職手当の趣旨を踏まえ,全額不支給は行き過ぎと判断しており,公務員の事件でしたが,労働法の解釈手法に通じる論理が展開されていました。公務員の特殊性をめぐっては議論がありますが,行政法学者としてこのような反対意見を示したことには大きな意義があると思います。
 ぜひ沖野裁判官にも,印象に残る反対意見を期待したいところです。

2025年8月20日 (水)

王位戦第4局

 藤井聡太王位(竜王・名人,七冠)に永瀬拓矢九段が挑戦する王位戦第4局は,後手番の永瀬九段が勝って,初勝利です。これで13敗となり,ストレートでの敗退は免れました。永瀬九段の研究手順であったのか,消費時間に大きく差があり,藤井王位にとっては,最後はあまり見せ場もつくれず敗れました。でも引きずらないのが,藤井王位です。次の第5局は1週間後です。
 佐々木勇気八段と石田直裕六段との間の,竜王戦挑戦者決定三番勝負は,第2局も佐々木八段が勝ち2連勝で,藤井竜王への2年連続の挑戦を決めました。2年連続は見事ですが,そろそろ初タイトルが欲しいところでしょう。先日の将棋日本シリーズでは,両者は準々決勝で対戦し,藤井竜王の快勝でした。竜王戦の前哨戦ですが,時間の短い将棋でもあったので,佐々木八段には,この敗戦はそれほど大きな影響はないように思えます。
 順位戦はA級が,糸谷哲郎八段と佐々木八段の対局を残し,2回戦はすべて終了しました。2連勝は,永瀬九段と近藤誠也八段で,糸谷八段が1勝(0敗)です。2連敗は,佐藤天彦九段と中村太地八段です。渡辺明九段は体調に不安を抱えており,まだ2回戦が終了しただけですが,名人挑戦に向けた本命は永瀬九段で,佐々木八段と近藤八段が2番手争いでしょう。降級候補(2名)は,まだ始まったばかりなので予測は難しいですが,これまでしぶとく残留してきた中村八段は今期は厳しいでしょう。佐藤九段も,最近の不調を考えると,残留は難しいような気がします。ただ渡辺明九段の体調もあるので,場合によっては,渡辺九段も降級争いに加わるかもしれません。
  女流棋戦は,大成建設杯清麗戦は,福間香奈女流六冠が渡部愛女流四段に勝ち,3連勝で防衛です。充実の福間さん相手では,最近好調だった渡部さんでも勝負にならなかったですね。

2025年8月19日 (火)

クマと人間

 クマとの距離感をどう考えるか最近,日本ではヒグマが人を襲う事件が増えています。一度人間の肉を覚えたクマは必ず人を襲うようになるのだから射殺すべきだ,という意見もあれば,人間がクマの生息域に近づくから悪いのだから,クマを撃つのはかわいそうだ,と猟師などを非難する声もあります。社会にはこの両極の考え方が共存しています。
 そもそもクマは本来「人食い動物」ではありません。しかし雑食性であり,人間と同じように,食べられるものはなんでも食べる習性を持っています。通常は人間を恐れて距離を保ちますが,餌付けなどで人間への警戒心を失うと,食料不足の際に生活圏へ入り込んでしまうのです。つまり,人間の行為そのものがリスクを高める要因になっているのです。
 私たちがクマに抱くイメージには,大きなねじれがあります。セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)の逸話をきっかけに生まれた「テディ・ベア(Teddy Bear)」(テディはセオドアの愛称)は,世界中で愛される存在となり,クマの「かわいい動物」としてのイメージを定着させたと言われていました。しかし,現実のおとなのクマは猛獣であり,私たちが無邪気に近づける相手ではありません。
 思えば,人間そのものも,自然界ではもともと弱い存在でした。サバンナに暮らしていたころは,ライオンやハイエナなどに襲われることもあったのです。火の利用や集団での協力,さらに動物を特定の地域に囲い込むといった知恵によって,ようやく捕食者から身を守り,安全な暮らしを得てきました。しかしクマは今もなお,人間の生活圏のすぐそばに生息しています。
 アイヌの人々にとってクマは「山の神(カムイ)」とされ,イオマンテという儀式を通じて,人間の姿を借りて現れた神を,本来のカムイの世界へ送り返していました。そこには,畏れと敬いが同居していたのです。単に,私たちが,かわいそうだから殺すなと言っても解決にはなりません。クマを観光資源として利用したり,旅行者が安易に接近して餌を与えたりするのは愚かな行為です。
 必要なのは,クマと人間がどう共生していくかを冷静に考えることです。そのとき,観光という営みのあり方が大きな課題になるでしょう。

2025年8月18日 (月)

人間ドック

 お盆休みも終わり,今日から出勤という人も多いでしょう。私もできるだけテレワークで済ませたいのですが,そうはいかない日もあります。外に出ると体力の消耗は激しいものの,最近は徐々に慣れてきました。
 とはいえ,年齢とともに体力が低下するのは実感しています。先日,今年の人間ドックの結果が届きましたが,少しずつ数値が悪化している項目はあったものの,すぐに治療が必要なものはありませんでした。今年は内臓の検査でうっかりCTを申し込むのを忘れ,エコー検査になってしまい「不鮮明」とだけ判定されました。数年前からCTに切り替えていたのですが,指定しなければエコーになるのです。来年からは忘れないようにCTを申し込みたいと思います。
 人間ドックの当日は,最近持ち歩き始めた日傘を電車内に忘れてしまい,駅で手続をしているうちに遅れそうになりました。朝食をとっていないなか,酷暑のなか必死で歩き,なんとか検査開始時刻には間に合いました。ただ,最初の血圧測定が行われたのは,到着から30分ほど経過したときで,やはり血圧は高めに出てしまいましたので,時間を置いて再検査してもらいました。自宅でも血圧を定期的に測っているのでだいたいの数値はわかっており,メタボ判定にもかかわるため,妙にこだわってしまいました。
 そのほかの項目では,尿酸値がずっと正常値を少し超えています。昨年は56月にかけて痛風が2度発症しましたが,その後は落ち着いています。油断はしていませんが,ビールの量は減っていません。腎臓のクレアチニン値がやや悪化したのは気になるところです。とくに要検査というレベルではありませんが,父も腎臓系の数値はあまり良くなかったので(それでも90歳まで生きましたが),注意はしておきたいと思います。
 これだけの暑さが続くと,どこか身体に不調が出てもおかしくありません。どこに影響が出るのかはわかりませんが,35歳から続けている人間ドックの結果を,いずれエクセルに入力して,生成AIに分析してもらいたいと思っています。

2025年8月17日 (日)

結論として,夏の甲子園大会はどうか

 今日は東洋大姫路が接戦で西日本短期大学付属に勝ちました。相手も良いチームで,負けても全然おかしくなかったです。ストライクゾーンが広い主審で助かった面がありました。ついにベスト16で,次は沖縄尚学との対戦です。ここからは,どこも強豪です。
 ところで,甲子園球場での夏の高校野球選手権について,この時期にやることに疑問をもっていた私が,実際,昨日行ってみて,どういう感想をもったかです。実際に行かなければ発言ができないと思っていました。やはり,高校野球が好きな人がたくさんいることは,あらためてよくわかりました。また,炎天下で野球をするのは過酷ではありますが,クーリングタイムを置くなどの配慮がみられ,球児たちへの健康に配慮していることもわかりました。これなら熱中症などの心配はあまりないでしょう。観戦者側からすると,暑くていやなら行かなければいいというだけのこととも言えます。
 実際,私の場合は,野球好きなので,ちょっと楽しい遠足のような位置づけで,観戦しながら若い女の子にビールをついでもらい楽しむという感じです。ちょっと楽しい花見と似ています。私がいた外野席には熱心な高校野球ファンもいましたが,私のような軽いファン程度の人もいたでしょう(ほんとうは,昨日,書いたように,今日の試合を観たかったのですが,雨で1日ずれてしまいました)。大人1000円でこれだけ楽しめるのですから,お得でもあります。
 この熱気をみると,夏の甲子園大会は止められそうにないなと思いました。とはいえ,やはりこの時期にやるのであれば,ドーム球場でやったほうがよいという結論に変わりはありません。この異常な環境の下で試合をするためには,身体によほどの負荷をかける鍛錬をしなければならないでしょう。そのためには専門の監督やコーチを呼んでこなければなりません。多くのお金が動いていることでしょう。甲子園に出るかどうかで大違いなので,どうしても勝利至上主義となります。私たちが観戦して盛り上げれば盛り上げるほど,この傾向が強まるでしょう。
 広陵問題は,高校野球の今後に大きな影を落としています。責任をとるべきなのは,加害者は当然ですが,未成年なので,ほんとうは監督や学校の責任者であるはずであり,加害行為に関係していない選手には責任がないといえるのです。出場辞退は可愛そうです。広陵の監督は辞任しないということですが,それを聞いて強い違和感をおぼえたのは私だけでしょうか。高校野球がこれだけの社会的影響をもつものならば,監督も資格制にして,不祥事があれば資格剥奪とならないでしょうかね。東洋大姫路の岡田監督も,実は履正社時代に,体罰で謹慎処分を受けています。ほんとうは,これだけで一発で資格剥奪のはずですが,そうならないところが,高校野球の甘いところでしょう。私は高校野球を適当に観戦して楽しんでいますが,冷静に考えると,たかが高校生の野球大会です。そこに大きなお金が動いたり,監督の多少の暴力が許されたりするということの異常さに鈍感であってはなりません。それに灼熱のなかの大会であり,健康にもよくありません。
 そういう私は,そのおかしさのなかにどっぷり浸かりながら,でも,どこか冷めたところもあります。来年から,京セラドームや東京ドームでやると言われても,別に異論はありません。野球に無関心な人も含めて,夏の甲子園大会を維持すべきかというテーマで,一度,討論してみたいものです。

2025年8月16日 (土)

甲子園球場

 今日は,甲子園球場に行って,高校野球をみてきました。高校野球は,たぶん1981年以来です。しかし記憶がやや混線しています。報徳学園の試合をみたことは確かで,1塁側でした。記憶としては報徳勝ちで,その後の巨人のエースになった槇原のいた大府高校相手で,報徳のエースで4番の金村がホームランを打ったというものです。しかし調べてみると,この試合は春の大会で,報徳は初戦の大府には負けていました。もう一つ,その後の西武のエースで,ソフトバンクの監督もした工藤のいた愛工大名電との戦いであった可能性もあります。調べてみると,準決勝で対戦し,この勝負は報徳が勝っていて,その後,全国優勝にまで行っています。愛工大名電戦では金村はホームランを打っていないので,私がみたのは大府戦だったのでしょうかね。いまとなれば,よくわかりません。工藤にしろ,槇原にしろ,金村にしろ,みんな私と同じ年です。1981年は,こちらは普通の高校3年生でしたが,彼らはすでに輝いていました。序列的には,金村が一番で,槇原,工藤という感じでしたが,プロ野球では,工藤が一番活躍して,槇原もかなり活躍し,金村はあまり活躍はできませんでした。人生は長丁場です。
 ところで,今日はほんとうなら東洋大姫路の試合があるはずで,前もってチケットを買っていました。花巻東に勝っていると,ほんとうは今日の第3試合のはずでした。しかし雨天で1日中止になり,ずれてしまいました。花巻東に勝つところまでは予想どおりだったのですが……。しかし,今日は,山梨学院と岡山学芸館の試合,尽誠学園と京都国際の試合を観戦しました。山梨の猛攻で,岡山も頑張りましたが,山梨が強すぎました。尽誠と京都国際は好ゲームでしたが,京都国際の勝利。準決勝進出です。
 甲子園は,プロ野球観戦では来たことがありましたが,高校野球は約半世紀ぶりで,暑かったですが,十分に堪能できました。海に行ったかのように,日焼けしました。外野席からの観戦は初めてでしたが,とても良かったです。プロ野球でも,外野席から観てみたいと思いました。
  東洋大姫路は,明日は西日本短大付属(福岡)ですが,その他にも好勝負が多いので,みることができなかったのが,ちょっと残念です。中止にした日は結局,雨が降らなかったので,高野連(?)の早まった判断がうらめしいです。

2025年8月15日 (金)

昭和100年,終戦80年,プラザ合意40年

 今年は,終戦80年といわれますが,昭和20年が終戦ということなので,昭和100年という人もいます。1925年に大正天皇が崩御して,昭和天皇が践祚しました。そのときの首相は若槻礼次郎です。若槻は,帝国大学法科大学(後の東京大学法学部)の首席であったという伝説的な秀才でした。大蔵省に入ったあと,政治の世界に入りました。東條英機などの軍人とは異なり,昭和初期を支えるべきエリートでしたが,彼らでは戦争を避けられませんでした。
 大蔵省出身者の首相は,戦後,池田勇人,福田赳夫,大平正芳,宮沢喜一が出ていますが,現在,大蔵省・財務省出身で首相に近い人というのはいませんね(コバホークあたりが近いかもしれませんが,国民民主党の玉木氏も意外に近いかもしれません)。
 首相になるほどの人は別として,官僚をみていると,細かいことには丁寧で隙がないものの,何のためにいまその仕事をしているのかという肝心のことを見失っているのではないか,と思うこともあります。政治家になるならば,この混迷の世界において,どのような未来シナリオを描いているのかを語れる人でいてほしいです。
 ところで,終戦から現在までのちょうど中間の1985年にプラザ合意がありました。円ドルのレートは1986年には,239円から168円へ急降下しました。円高は輸出依存の日本経済にとって大ダメージです。円高はその後,2011年には80円を切るレベルにまで至ります。そして現在では150円前後の円安になっています。プラザ合意後に円高になったとき,日銀は公定歩合(政策金利)を段階的に大きく引下げました(それでも今よりは高いのですが)。お金は不動産投資や株に集まりバブルが発生しました。そして,日本企業は,アメリカ買いに走ります。三菱地所がロックフェラーセンターを買収したりするなど,次々とアメリカの不動産などが日本企業に買われていきました(任天堂も,大リーグのマリナーズを買いましたね)。おそらくTrumpはそのときのことを覚えているのでしょう。日本製鉄のUSスティールの買収に敏感であったのは,そのためかもしれません。理屈ではないのです(読売ジャイアンツが中国の企業に買収されたらどうでしょうか)。今度は,日本の政策金利に注文をつけてくるのではないかと思っていたら,案の定,昨日のニュースで,アメリカのBessent財務長官が,日銀の利上げを示唆するような発言をしたと報じられていました。何らかの介入があった可能性があります。もちろん日本政府は否定していますが,投資家たちは,利上げや円高になることを想定して行動することになるでしょう(日本株売りにつながる)。
 アメリカが,関税の次には,円安是正のため利上げを求めてくることは十分に予想されていたと思います(アメリカ国内では,Trumpは,FRBに激しく利下げを求めています)。関税を上げられ,円高となると,日本の輸出産業は大きな打撃を受けるでしょう。こういう状況になったときには,財務省などの官僚出身の能吏型の政治家のほうがよいのか,それともMachiavelli(マキャヴェッリ)的な,狐の狡猾さとライオンの獰猛さをもち,Trumpを手玉に取るような政治家が必要なのか。私にはよくわかりませんが,自民党は,石破おろしをするにせよ,しないにせよ,よく考え,責任をもって総裁を選んでもらいたいものです。

2025年8月14日 (木)

地元に金を落とす

 私たちがAmazonを使って商品を買うことによって,どれだけの利益がAmazonに落ちているのかよくわかりませんが,地元にできるだけお金を落としたいと考える私のような人にとっては,できるだけアメリカ企業のAmazonを使わないで買い物をすべきなのでしょうかね。ついつい店舗が地元とか日本国内であれば,その店舗の利益となるのでよいようにも思いますが,この取引の過程でAmazonが得る利益はきわめて大きなもののようです。もちろん,国内の事業者であればまだよい気がしますが,できれば県内の事業者と直接取引をしたほうがよいのでしょう。
   ということで,エアコンのトラブルはまだ続いており,新規にエアコンを購入せざるをえない状況で,ただその際は,できるだけ地元の電器店を使ったほうがよいのではないかと思い始めました。Amazonだと,工事代込みでかなり安い料金設定がされていますが,そのしわ寄せが,どこにいっているのかということを,もう少し考えてみなければならないのでしょう(ただ近所の電器屋のエアコン設置の工事代は,調べてみると2倍以上でしたので,少し考えてしまいます)。量販店でいうと,EdionよりJoshinでというようなことになるのでしょうか。
 兵庫県は「はばたんPay」という25%のプレミアム付きデジタル商品券を発行しています。家計応援ということで県民目線のもののようですが,店舗側も,どうせなら兵庫県に税金を払ってくれる事業者しか利用できないようにしてもらいたいです。そう考えると,全国的な牛丼チェーンや回転すしチェーンも対象店舗になっていることには疑問を感じます(利用者にとっては選択肢が広がるからいいともいえるのですが)。店舗ごとに独立した採算となっているなど,兵庫県に法人事業税などをしっかり払ってくれているのでしょうかね。

2025年8月13日 (水)

阪神のサトテル

 今日は4タコでしたが,サトテルはどうして覚醒したのでしょうか。5年目の今年。1年目から期待が高かったサトテルは,過去4年間,そこそこの成績は残せているものの,ファンの期待の高さからすると,それに応えることはできていませんでした。あの岡田監督も,サトテルだけは,うまく使いこなせなかったのかもしれません。今年は藤川監督になって生まれ変わりました。昨年までの,どことなく,立ち遅れという感じではなく,きちんと備えて,柔軟にバットコントロールをしています。滑らかにレフト側にヒットやホームランが打てるというのは,どことなくかつてのバースを思い起こさせます。ライトからレフトに吹く浜風のために,左打者にとってはホームランが難しいという甲子園球場をホームにもつ阪神。このチームの左打者でホームラン王が出るのは考えにくいのですが,レフト方面に打てると話は違ってきます。今年のサトテルのホームラン数はダントツであり,キングとなる可能性は高いです。のみならず3冠王もみえています。さらに,昨年までの雑な守備がなくなり,ファインプレーも多く,ゴールデンクラブ賞は確実でしょう。走塁も積極的です。1年でこれだけ変わるのかと思いますが,大リーグにほんとうに行けそうであるという目標がみつかったからかもしれません。実は現在のMLBで出場している打者は,守備はしていません。大谷も二刀流のとき以外はDHです。鈴木も吉田もDHです。MLBの守備のレベルは高く,そのため打撃一本で勝負しなければならないので,ハードルが高くなります。サトテルは,守備や走力もアピールしたいと思っているのかもしれませんね。
 この調子で,3割,40本,100打点達成で,2冠または3冠となると,貢献度が高すぎて,球団はサトテルを手放したくなくなるでしょう。もっとも,ポスティングで譲渡金が釣り上がるので,ここは売り頃と考えるかもしれません。しかし阪神の選手のなかでも絶大な人気を誇る大スター選手なので,すんなり球団は大リーグ行きを認めるでしょうか。もちろん数年後には海外FA移籍の権利を得られるので,そうなると止められませんが。

2025年8月12日 (火)

Truss首相の失敗にまなべ

 日本の首相のことを前に書きましたが,イギリスの首相は,Wikipediaをみると,Prime Ministerの初代は1721年就任のWalpoleで,現在のStarmerは第80代だそうです。第2次世界大戦時の首相は,あのChurchillです(60代,63代)。首相の平均は3~4年というところですが,Thatcherは,なんと1979年から1990年までやっています。そのあとのMajor1997年までやっています。労働党になってBlair2007年まで,Brown2010年まで,保守党に戻ってCameron2016年まで,そしてMay2019年,Jonson2022年までと3年ずつやったのですが,Trussだけはまさかの1ヶ月半の短命政権でした。Trussの失敗から得られる教訓は,減税政策を無責任にやると,市場の信任を失い,たちまち政権維持が困難となるということです。こうみると,自民党が安易な減税に走らないのは責任政党として当然かもしれません。というか,あれだけ苦労して上げた消費税を下げるということは,自民党員としてはできないのでしょうね。大平正芳首相の寿命を縮めたかもしれない消費税導入論義(1979年段階では「大型間接税導入」)。1988年に竹下登内閣時代に強行採決してやっと導入した消費税。その後,率は3から5へ,5から8へ,8から10パーセントへと徐々に上がってきました。引下げはあったとしても,消費税をなくすという野党の主張は,どうあっても受け入れられないということでしょう。
 一般会計歳出のなかに占める社会保障費の多さ,そのおかげで,私たちが安心できているかということをもう一度考え直すと,社会保障費の財源となる消費税を下げるということは,そう簡単には言えないと思うのですがね(もちろん社会保険については,保険料によっても支えられているのですが,公費も入っているのです)。

2025年8月11日 (月)

ロシアとの向き合いかた

 80年前の1945年88日にソ連は対日戦線布告をし,11日は,サハリン(樺太)に侵攻しています。1941413日に締結した日ソ中立条約(発効は同月25日)の有効期間は5年でした。
 ソ連は,ロシア帝国時代の日露戦争敗北の屈辱を忘れていなかったでしょう。日露戦争後のポーツマス(Portsmouth)条約で,日本は千島樺太交換条約で放棄していた樺太(サハリン)の北緯50度以南の部分を得ていました。それを取り返したかったのでしょうか。
 ソ連は,日本人に暴虐のかぎりをつくし,また日本軍捕虜や民間人をシベリアにまで連れて行って酷使しました(五木寛之『運命の足音』(幻冬舎)も参照)。この件に関する瀬島龍三に対する疑惑を忘れてはならず,検証を要することでしょう(保阪正康『参謀の昭和史 瀬島龍三』(文春文庫)を参照。最近,瀬島に関しては,朝日新聞出版社の『沈黙のファイル』が復刻しているそうなので,いずれ読んでみたいです)。大学時代に富山県出身の友人が,故郷の英雄として瀬島のことを誇っていましたが,闇もあるようです。ただ,軍隊にいた瀬島にしても,あるいは立場は違うとはいえ,吉田茂や岸信介のようなエリートにしても,さらには児玉誉士夫らのようなフィクサーにしても,当時の自分の置かれた状況のなかで必死に生き延びようとしていたのでしょう。軍部の独走のなかでもがいていた人たち(瀬島は軍人でしたが)については,今日の観点からでは評価しきれないものがあるかもしれません。このことは,また別の機会にとりあげてみたいと思います。
 ところで日露戦争では,当時の日本人は,日本が賠償金を放棄し,苦労して勝ったけれど得るものが小さかったということで不満をもっていたようです。しかし,大国に勝った高揚感は国民のなかにあり,それが結局は,その後の軍部の独走を支えることになり,無謀な戦争につながってしまったのではないかと思います。一方で,ロシアは,ロマノフ(Romanov)朝期のこととはいえ,極東の小国に負けたことにより傷ついたプライドは大きかったことでしょう。領土欲の塊のようなスターリン(Stalin)に率いられたソ連は,終戦後も唯一,対日戦争をやめませんでした。これはロシア人にとっての復讐であり,国際法のルールなど関係ないものでした。
 別に反露感情を煽りたいわけではありません。ただロシアにしろ,アメリカにしろ,かつて何をしたのか,ということを忘れてはなりません。そして,そうした歴史のなかには,必ず日本人の中に,敵に同調して裏切り行為をする者がいたことも忘れてはならないでしょう。

2025年8月10日 (日)

辞めない人

 先日,大学で同僚と話をしていたとき,「最近,辞めない人が多いですね」という話題が出てきました。石破首相,伊東市市長,兵庫県知事のことなのですが,辞退まで含めると,高校野球の広陵もありました。その広陵は1回戦を勝っていたのですが,本日,2回戦以降の出場を辞退しました。同校にあったとされる暴力行為について,SNSで噂が拡散し,最後は爆破予告まであったそうで,いやな話です。
 ちなみに個人的には,前にも書いたように,石破首相は辞めなくてもよいと思っています。自民党内の問題ですが,辞めろと声高に叫んでいる自民党議員たちの顔をみれば,とても賛同できないからです。戦後80年,戦後処理の東久邇宮稔彦王から石破茂まで首相は37人います。宇野宗佑,羽田孜のような短命内閣もありますが,平均2年少しというところでしょう。戦後の首相として長期政権だったのは,吉田茂,池田勇人,佐藤栄作,中曽根康弘,小泉純一郎,安倍晋三です。これらの首相は,それぞれ個性があり,良いか悪いかわかりませんが自分の政策がありました。石破首相は就任してからまだ1年も経っていません。その間に国政選挙が2回もあり,落ち着かない状況でした。もう少し様子をみてもよいと思います。そのあたりが,他の2人と違うところです。

2025年8月 9日 (土)

東洋大姫路初戦突破

 夏の高校野球で,兵庫県代表の東洋大姫路が久しぶりに勝利しました。今春の選抜では,1回戦で17年ぶりの白星をあげましたが,2回戦で敗退。今回の夏は14年ぶりの勝利となります。
 兵庫県代表といえば,昨年の報徳学園は選抜で2年連続準優勝を果たし,優勝候補とも目されていました。しかし,兵庫県大会で力を使い切ってしまったのでしょうか。一昨年は5回戦で神戸国際大付に敗れましたが,その神戸国際大付に決勝で勝ち,報徳とともに春の選抜に出場していた社が兵庫県代表として夏に出場しました。しかし,結果は初戦敗退。昨年は,報徳が県予選準決勝でライバルの社を激戦の末に下し,さらに東洋大姫路を破って決勝へ進出した明石商との接戦を制して全国大会に臨みましたが,初戦で大社旋風に飲まれ,まさかの敗退となりました。阪神にドラフト2位で入った剛腕・今朝丸がいましたが,力を発揮できませんでした。
 一方の東洋大姫路は,全国優勝を果たした履正社時代の岡田監督が母校に戻って以来,着実に力をつけてきました。昨年秋には,エース阪下の活躍で近畿大会を制し,「東洋大姫路は強い」という評価が一気に高まりました。選抜でも優勝候補に挙げる声がありましたが,2回戦で敗退。そしてこの夏は順調に勝ち進み,決勝で報徳学園との激戦を制して甲子園へ戻ってきました。
 昨日の済美(愛媛)戦では,相手エースの軟投に苦しみましたが,最後は強力打線がつかまえました。打者陣の体格がよく,筋トレの成果がうかがえます。阪下は肘の故障で登板できず(背番号10でベンチ入りはしていますが,無理は禁物でしょう),新エースの木下が好投しました。このタイプの力投型投手は日によって出来に差が出やすいだけに,打線がどこまでバックアップできるかが鍵になりそうです。
 次の相手は,智弁学園を破った花巻東です。本来なら智弁とは秋の近畿大会決勝の再戦が夏の2戦目で実現するかと期待されていましたが,智弁はまさかの初戦敗退。油断せず,あの松本投手(後に阪急にドラフト1位で入団)と捕手・安井の黄金バッテリーで優勝した1977年の再現を期待したいところです。

2025年8月 8日 (金)

LS期末試験

 今日はLS(法科大学院)の期末試験でした。出題したのは,次の2つの論点を含む問題です。
 1つ目は,正社員と契約社員との間の住宅手当の差異が不合理であるとして訴えられたことをきっかけに,会社が就業規則を改定して正社員の住宅手当を廃止することにした不利益変更が合理的かどうか。
 2つ目は,有期労働契約の反復更新の上限を5年とする取り決めがある中で,5年目の最後に,清掃業務への配置転換に応じれば無期労働契約に転換するという会社のオファーを,労働者が拒否した場合の雇止めの可否です。
 有期労働契約や就業規則に関する基本的な問題について,何が論点となるのかを指摘したうえで自由に論じてもらいたいという試験です。どんな答案が出てくるか楽しみです。先週は学部生の答案を採点したばかりですが,ざっと見た限りでは,やはりLSの学生は力のこもった答案を書いているように感じます。
 ところで,試験の開始前に,一番前に座っていた学生が見慣れない労働法の本を持っていたので,それは何かと尋ねてみたところ,予備校の本だとのこと。ぱらぱらと目を通してみると,試験には役立ちそうですが,「知識は増えるが深まらない」という印象を受けました。もちろん,どんな本で勉強してくれても構いませんが,将来,試験に合格して労働法関係の仕事をするのであれば,ぜひ研究者が書いたきちんとした本も読んでもらいたいものです。

2025年8月 7日 (木)

『「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる』

 前川孝雄さんから『「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる』(合同フォレスト)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。
 「働き方改革」では不十分で,「働きがい改革」こそ大切で,上司はそれに取り組むことが必要だということです。そして,上司自身も「働きがい」をもてるようにしようと呼びかけています。「自ら動くプレイングマネジャーから人の心を動かすマネジャーへ脱皮」とも書かれています。出世を望まない若者が増えているなか,出世することの価値を再認識せよ,というメッセージのようにも思えます。
 やりがいのある仕事は,いろんな形でできるとはいえ,上司になれば,やれることも増えるでしょう。もちろん責任もあるし,つまらない仕事も増えるのですが,それをどう整理できるかが重要です。企業も意欲のある管理職をうまくつかいこなすことが大切です。部下からすると,実際には,つまらない上司も多いのでしょうが,本書を読んで,魅力的な上司が増えることは,本人にも部下にも,そして企業にとってもプラスになることでしょう。

2025年8月 6日 (水)

赤沢大臣は帰ってこなくてよいのでは

 Trump大統領が約束を守ってくれないと困っているようです。文書での合意がない以上,紳士協定のようなものですよね。Trump氏が信用できる人間ではないことは明らかなので,読みが甘かったということでしょうか。大国は信用できません。いつも言っているように,第二次世界大戦末期に,ソ連は絶対に攻めてこないと思い込んでいたように,甘い期待に頼る姿勢は変わっていないのでしょうか。
 きちんと文書で合意をして,それを履行するだけということでないのならば,赤澤大臣はアメリカに履行を促すべき対応をしなければならないのでしょう。そうであれば,アメリカに常駐したほうがよく,日本との会議や連絡はオンラインでやればどうでしょうか。これだけ頻繁に日米を往復しているので,随行者はローテーションを組んで交代していないのであれば,たいへんな負担でしょう。アメリカ側の担当者とは対面でやらざるをえないのであれば,赤澤グループは,日本の会議や日本側とのコミュニケーションはオンラインでよいのではないでしょうか。
 自分自身は,若いときでも,時差が苦手で,海外旅行には行くだけでヘトヘトになっていました。大臣は快適なフライトができるのでしょうが,時差などによる疲労は蓄積しているはずです。大臣はともかく,職員の疲労はたいへんではないでしょうか。誰かが過労でたおれるというようなことがなければ,何も変わらないということでは困ります。労働法的には,どうしても随行者の働き方が気になります。

2025年8月 5日 (火)

伝統へのこだわり

 中央最低賃金審議会において,令和7年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解が発表されました。最終的には,各都道府県の地方最低賃金審議会において正式に決定されますが,兵庫県では最低でも63円の引き上げとなる見込みです。現在の最低賃金が1052円ですので,1115円程度になることになります。ここまで急激に引き上げられると,中小企業への影響が懸念されます。最低賃金に近い時給で働くアルバイトが多いサービス業などでは,価格転嫁も避けられないでしょう。そもそも,最低賃金は今後もこのような決め方を続けていくのでしょうか。「2020年代に全国平均1500円へ」という政治介入に強く縛られている感もあり,そんなことなら,もっと違った方式もありそうな気がします。
 最低賃金の決定方法は,歴史的に見て何度も大きく変更されており,現在の方式が唯一の正解ではありません。理論的に扱うのは難しい分野ですが,最低賃金という素材を通じて,労働政策の決定のあり方そのものを問い直す時期に来ているように思います。
 全く別の話になりますが,今年の夏の高校野球では,午前中に2試合,夕方に2試合として,昼の酷暑を避けるスケジュールが組まれるとのことです。とはいえ,そこまでして夏に炎天下の甲子園球場で開催する必要があるのかという疑問もあります。もちろん,球児たちは甲子園という舞台を目指して努力してきたのでしょうが,開催地を変更すると決めれば,やがてそれにも順応していくのではないでしょうか。
 一度決めたことを変更するのが難しいというのは,どの分野でも共通の現象です。高校野球でもようやく炎天下での試合は避けられるようになったものの,甲子園での開催へのこだわりは根強く残っています。 いま一度,「高校野球は何のためのものか」という原点に立ち返り,その目的にとって最も合理的な開催方法は何かを,ゼロベースで再検討すべき時なのかもしれません。
 こうした思考実験を重ねることが重要だと言いたいのです。過去の慣習に固執しない柔軟な発想こそが,変化の時代にいる私たちに求められている姿勢です。もちろん,すべてを変える必要があると言っているのではありません。「伝統」とされているものが,本当に守るべき価値なのかを改めて問い直すことが大切だということです。これは,もちろん高校野球だけのことではありません。最低賃金の決定方法は,どうでしょうかね。

2025年8月 4日 (月)

マジック34

 7月中にマジックが出るとは思いませんでした。あっという間に39から34です。今年は負けるほうが珍しいという幸せなシーズンです。他のチームが弱すぎるということもあり,あまりにもうまく行きすぎて怖いです。暗黒時代を何度も知っているファンとしては,全然油断をしていません。これだけ貯金があるからかもしれませんが,捨てる試合とそうでない試合の区別がしっかりできていますね。捨てる試合がなければ,チャンスが来ない選手もいるので,たまには大敗することも必要です。ただ,昨日の試合をみると,ビーズリーも,門別も,岩貞も今季は使いにくいでしょうね。
 藤川監督は,選手の体調管理をしっかりしているそうです。投手はとくに,決して無理をさせません。目先の勝利よりも,選手の将来を考えて慎重に選手を使うことが,長い目でみるとチームのためにもなるということです。言われてみると当然ですが,それをしっかりできている監督はあまりいなかったですね。
 明日の中日戦は髙橋遥人,あとは村上,伊藤将,伊原,才木,ディプランティエ,そして広島戦は大竹という感じでしょうか。村上,才木の両エースはそのまま週1回で回し,前半休んでいた伊藤将も週1でいってもらい,ルーキー伊原,広島用の大竹,ケガあけの髙橋は10日1回くらいでいけばいいでしょう。隙間に,誰か2軍で良さそうな選手をオープナーでもってくるという感じでしょうか。
 打線は,近本,中野,森下,佐藤,大山は,打率は3割いっていませんが,5人のうち2人くらいが打ってくれればよいのであり,しかも打順が固定しているのが強みです。6番以下は定まっていませんが,最近ようやく固まりつつあるでしょうか。捕手は梅野が出ると負けるので,もう坂本だけでよいでしょう。ショートもライバルの木浪はさえないので,小幡,ときどき熊谷という今の感じがよく,レフトも高寺,ときどき熊谷ということでよいです。熊谷の存在感が大きいですね。多くのファンは前川待望なのですが,藤川監督の信頼が大きくなさそうです。どういうわけかヘルナンデスへの信頼が大きいのですが,ここだけはファンが納得していないところでしょう。
 投手陣に話を戻すと,懐かしのドリスが出てきたりして,ファンは大喜びです。藤川監督は,岩崎への信頼を口にしていますが,100%は信頼していないでしょう。打たれることは覚悟のうえです。でも岩崎がいてくれることが,若い投手陣にとっての精神的支えになるのです。徐々に石井と及川へと世代交代したいでしょうが,その過程でドリスにときどき助けてもらうというところでしょうか。湯浅,桐敷のような実績のある投手もしっかり仕事をしています。ということで死角はなさそうですが,個人的には,中日の勢いは認めるものの,まだ巨人が怖いです。

2025年8月 3日 (日)

黒澤映画

 今日は,エアコンが朝から機嫌がよくトラブルが起きませんでしたが,またいつ排水異常が起こるかわかりません。天井埋め込み式なので,買い替えるということもできず,新たに壁掛け用を買うしかないですかね。
 話は変わり,前にも少し書いた「闇市」のことを知りたいと思い,何か当時の映像がないかと思って調べていたら,黒澤明の映画があると,どこかで書かかれていたので,Prime Videoで,「野良犬」(1949年)と「酔いどれ天使」(1948年)を観ました。黒澤映画はリアリズム追求と言われており,まさに期待どおりでした。どちらも志村喬と三船敏郎が主役でした。前者は,三船が演じる新人刑事が拳銃を盗まれて,それを捜索するという話で,ベテラン刑事を演じる志村とコンビを組みます。当時の貧しい生活がよくわかりますが,人々はバイタリティにあふれています。三船刑事が,復員兵姿となって,闇社会の拳銃のルートを探していくところが時代を表しています。80年近く前の日本はこんな感じだったのです。「酔いどれ天使」は,志村演じるアル中の医師と,闇市を取り仕切っていた,三船演じるヤクザ(結核におかされている)との交流の話です。三船ヤクザは自分の兄貴分が出所してきて,縄張りも女も奪われてしまい,最後は兄貴と決着をつけにいき,殺されます(本物の笠置シヅ子が「ジャングル・ブギー」を歌っているシーンもあります。この歌の作詞は黒澤監督で,この映画のために書いたそうです)。このころの三船は俳優としては粗削りで,志村こそ名優という感じですね。時代劇の「七人の侍」(1954年)も同様で,役の違いとはいえ,三船よりも志村の重厚な演技が印象的です。三船は,その後,「用心棒」などの黒澤映画をとおして,「世界のミフネ」と呼ばれる大俳優となっていきますね。

2025年8月 2日 (土)

学部授業終わる

 自宅のエアコンの故障原因がわかりました。ポンプの排水不良でした。水がたまるとエアコンが止まってしまうというもので,そうなると手作業で排水をしなければなりません。部品が交換されるまでは,この状況が続くということで悲惨です。いつまで続くのでしょうか(エアコンが古いので,部品がみつかる保証もありません)。
 ところで,昨日は学部の期末試験を実施し,今日は1日かけて採点をしました。ユニオン・ショップと労働時間に関する問題で,いずれも超基本的な問題です。かつては事例問題をだしていたこともありますが,いまはそんな問題をだしたら,不可の嵐になります。今回のような簡単な記述式の問題で,しかも労働時間については授業中に出すよと予告していたものです。でも,きちんと書けている答案が多かったわけではありません。今回は優を上限(履修者の4割)まで出そうと思っていたのですが,そうはなりませんでした。
 今年はオーソドックスなスタイルの授業をしたつもりですが,前にも書いたように,徐々に授業ができる回数が徐々に少なくなってきている現在,いろいろ試行錯誤をして,授業の改善に取り組みたいです。もっとも,試験については,これ以上簡単にすることはできそうにありませんが。

学部授業終わる

 自宅のエアコンの故障原因がわかりました。ポンプの排水不良でした。水がたまるとエアコンが止まってしまうというもので,そうなると手作業で排水をしなければなりません。部品が交換されるまでは,この状況が続くということで悲惨です。いつまで続くのでしょうか(エアコンが古いので,部品がみつかる保証もありません)。
 ところで,昨日は学部の期末試験を実施し,今日は1日かけて採点をしました。ユニオン・ショップと労働時間に関する問題で,いずれも超基本的な問題です。かつては事例問題をだしていたこともありますが,いまはそんな問題をだしたら,不可の嵐になります。今回のような簡単な記述式の問題で,しかも労働時間については授業中に出すよと予告していたものです。でも,きちんと書けている答案が多かったわけではありません。今回は優を上限(履修者の4割)まで出そうと思っていたのですが,そうはなりませんでした。
 今年はオーソドックスなスタイルの授業をしたつもりですが,前にも書いたように,徐々に授業ができる回数が徐々に少なくなってきている現在,いろいろ試行錯誤をして,授業の改善に取り組みたいです。もっとも,試験については,これ以上簡単にすることはできそうにありませんが。

2025年8月 1日 (金)

カムチャツカ

 ムチャツカ半島近辺で置きた大規模な地震は,その後の何波にもわたる津波が日本に押し寄せてきて,大きな影響がありました。いまはロシア領で遠い国のようですが,千島列島のすぐ近くであり,日本からすると朝鮮半島と同じような近隣の外国の半島といえます。津波が押し寄せるということで,その近さを改めて知ることになりました。 
 カムチャツカというと,淡路島出身の高田屋嘉兵衛が連行されたところとしても有名です。司馬遼太郎の本『菜の花の沖』にも出てきます(私のブログでも,ときどき高田屋嘉兵衛のことを書いていますね)。江戸時代後期になると,ロシア船が日本の近隣に現れるようになります。ゴローニン事件が起きて,それが高田屋嘉兵衛の捕縛と関係しています。
 日本の北方の国境は,明治政府は1875年にロシア帝国との間で千島・樺太交換条約を結んで,樺太を放棄するものの,千島列島の領有権を得ましたし,日露戦争後のポーツマス条約で,南樺太も得ました。しかし,第二次世界大戦の最後のどさくさで,ロシアが樺太も千島列島も不当に占領しました。日本は,1951年のサンフランシスコ講和条約で樺太と千島列島の権利を放棄しましたが,北方4島は,千島列島ではないので,この条約では放棄していません。しかし,ソ連は返還せず,ロシアになった後もそれが続き,今日に至っています(外務省の関連サイト)
 北方領土問題は,内閣府特命担当大臣が,多くの「その他問題(?)」の一つとして担当しているというもので,大臣も軽量な人材(石破支持の論功行賞か)があてられ(伊東良孝大臣には申し訳ありませんが),どうみても北方問題(北方対策)のプライオリティは高くなさそうです(ただし,伊東大臣は北海道出身で,選挙区も現在は比例北海道ブロックなので,少しは期待できるか……)。
 明治維新後,日本が国際社会の枠組みに組み込まれるなか,国境の画定は重要なテーマであり,上記の北方の樺太・千島の問題以外にも,朝鮮,台湾,琉球といったところが当時は重要で,南方は小笠原をなんとか死守したということがありました。こういう先人の努力をみると,領土拡大などすべきではありませんが,領土を守るということはやはり大切です。北方領土問題は,ロシアがウクライナ侵攻をするような国であることを考慮すると,あまり無関心ではいられません。
 もともと地震の多い地域であり,今回の地震という災難を契機に,復興支援のようなところから,平和的な領土問題解決への糸口を見出してもらえないかと願うところです。

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