初場所の後半戦を展望する
なかなか大相撲をゆっくり観る余裕がないのですが,NHKプラスのおかげで,早送りで幕内上位の相撲は確認しています。綱取りの琴櫻があっさり脱落し,同じく綱取りの豊昇龍も充実していた感じでしたが早くも3敗です。その間に照ノ富士が引退し,平幕力士がトップを走っていて落ち着かない場所となっています。貴景勝が引退して,ぽっかり空いた感じですが,大の里の時代の到来前のちょっとした混乱期といえるでしょう。
そのなかで,明らかに強くなったと思えるのが王鵬です。大鵬の孫という血筋もありますし,横綱は無理としても,大関に行けそうな予感を感じる相撲をとっています。若元春と若隆景の兄弟は,どちらも好きな力士なのですが,ややピークをすぎ,少しでも調子が悪ければ軽量をつかれてしまう感じがします。大栄翔は,単純な相撲で,これだけやれているのはびっくりですが,関脇がぴったりという気がします。阿炎にも同じような印象をもっています。熱海富士が伸び悩んでいるのは,指導の問題でしょうか。今場所は琴櫻に実質的には2回勝ち,豊昇龍にも勝ちながら,それ以外の力士には全敗ですでに負け越しというバランスの悪さが魅力でもあり,物足りなさでもあります。翔猿,宇良のような番狂わせをしそうな力士もいいですし,正代や霧島のような元大関で体調さえ良ければ実力的に大関に勝っておかしくないような力士もいるし,玉鷲,遠藤のような,いてくれて安心する力士もいいですが,やはり若手で大の里と綱を一緒に張れるようなライバルが出てきてほしいです。その点では,ケガから復活してきた尊富士や伯桜鵬が注目です。
今場所は金峰山がトップを走っていますが,上位と当たるとなかなか勝てないでしょう。明日の大の里戦が勝負です。大の里は地力的には,残り全勝できそうですが,一つ取りこぼすと,幕内優勝が起こるかもしれません。とくに霧島は上位との対戦が終わり,連勝で調子を上げているので,3連敗後の12連勝で優勝ということも,ありえないわけではありません。

