Trumpとの付き合い方
Trump大統領に,就任前に会ってもらえなかった石破茂首相です。人間関係を築くことが大切だということから,まずは会わなければならないということだったのかもしれませんが,友人関係にあるわけでもなく,懸案事項があるわけではないとすると,大統領となる前にわざわざ会う必要がないと判断されたとしても不思議ではありません。むしろ緊急に会いたい首脳というのは,何か懸案を抱えていて,これからディールしなければならない人なのでしょう。それだけ日米関係は,少なくともTrumpの目からは安定しているという認識かもしれず,そうだとすれば悪い話ではありません。
孫正義氏ら,IT関係企業の首脳のように,大金を持参して,尻尾を振って会いに来てくれる人には,喜んで会うのかもしれません。わかりやすすぎて,かえってすっきりします。孫氏もみっともないように思いますが,ディールのためなら,恥も外聞もなく,実をとるということなのでしょう。
ところで,先日,BSフジのプライムニュース(CMがACジャパンだらけでしたね)で,木村太郎が,US Steel 買収は,USという名が入っている会社である以上,買収は無理だと言っていました。買収に名乗りを上げているクリーフランド・クリフス(Cleveland-Cliffs)のCEOの,日本邪悪発言にみられる日本蔑視思想こそ,アメリカ人の本音で,USがJapanに乗っ取られるなんていうのは感情的に受け入れられないということでしょう。そうだとすると,Biden前大統領は,この買収の経済的合理性を考えて,やや結論を出すの渋っていただけ,まだましだったともいえそうです。
ではTrump大統領との間ではディールの余地がないのでしょうか。彼には,ひょっとしたら人種差別思想とかそういうものも,経済的なメリットと比較すれば優先順位が低いかもしれません。石破首相がトップ会談で,これがアメリカ人に得になるという取引であるということを明確に示し,それを支持者にアピールできるようにしてあげれば,買収話は進むかもしれません。Biden大統領相手の訴訟などの法的な問題とするよりも,Trump大統領に直接ディールで臨んだほうがよいといえそうです。ただディールは,双方に利益がなければなりません。あくまで民間企業の買収案件にすぎないので,ゆめゆめ国益を損なうような大きな「お土産」を渡さないようにしてもらいたいです。

