現役ドラフト
プロ野球で,各球団の現役選手を他の球団が指名して移籍できるようにする「現役ドラフト」が12月9日に行われました。これは,出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させることを目的とした制度です。
「現役ドラフト」では,各球団が必ず1人(最大2人)の選手を獲得できます。対象選手は,保留選手名簿から各球団が2人以上をリストアップし(育成選手,複数年契約選手,過去にFA権を行使した選手などは除外),獲得希望が最も多かった選手の所属球団が最初の指名権を得ます。その後,指名された選手の所属球団が次の指名権を得て,最初に通知した選手を指名します。もし最初の選手が既に指名されている場合,リストの中から別の選手を指名する,という流れを繰り返します。
今回で3回目となる現役ドラフトでは,阪神が巨人の畠投手を獲得し,阪神の浜地投手はDeNAに移籍しました。浜地投手は良い選手でしたが,一軍には定着できませんでした。別の球団で新しい環境を得ることで飛躍してもらいたいです(阪神戦にはお手柔らかにお願いします)。一方で,畠投手は巨人で実績を残したことがあり,ケガさえなければ阪神での活躍が期待されます。しかし,阪神にとって本当に必要なのは投手なのか,という疑問も残りますが。
現役ドラフトは,2年前の阪神の大竹投手(ソフトバンクからの移籍)の成功例などから注目を集めています。一方で,同じく2年前に阪神から西武に移籍した陽川選手は活躍できず,今年,引退を発表しました。このように,移籍が選手のキャリアにプラスになるかはケースバイケースです。
この制度は興味深い取り組みですが,選手が移籍先を自由に選べるわけではないため,ドラフト制が抱える「職業選択の自由の制限」という根本的な問題は残っています。ドラフト制が前提にある以上,現役ドラフトのような制度は一定の意義を持ちますが,根本的には,ドラフト制そのものをどう捉えるかという問題につながっていきます。

