« 労働新聞に登場 | トップページ | 斎藤元知事が再選するために必要なこと »

2024年10月30日 (水)

ハング・パーラメントと維新・国民のキャスティング・ボート

 Hung Parliament(ハング・パーラメント)という言葉が,メディアで出てきていますね。どの政党も過半数を取れていない状況のことです。議院内閣制の日本では,国会議員の多数によって内閣総理大臣を選びますので,単独過半数をもつ政党がなければ,第1党であっても連立や協力が必要となります。自民党は公明党と組んでも過半数を超えないので,味方を増やさなければ危ないです。首相指名投票で過半数をとる者がいない場合には,上位2名の決選投票で,相対的に票が多いほうが勝つことになっています。30年前に村山富市の「自社さ」(自民党,社会党,さきがけ)政権が誕生したときは,決選投票がなされていました。「自社さ」という考えられないような組み合わせの政権が誕生することもあることを考えれば,今回もどんな組み合わせもありうるような気がしますが,どっちにしても,第3党と第4党である日本維新の会と国民民主党は,casting vote(キャスティング・ボート)を握ることになりました。第1党や第2党が,それぞれの政策よりも,まずは第3党や第4党の政策の実現に譲歩するといったねじれも起こりえそうです。ということで,目の前に起きつつある政治劇は,たいへん興味深く,国会議員たちが,どのような行動をとるかを注視してみていきたいです。
 最終的には,自公+維新になるような気がしますが,来年の参議院選挙があるので,維新も中途半端な姿勢をみせると,埋没しかねないので,そこのところの判断が難しいでしょうね。石破政権が長くないとみると,ここは積極的には石破票は入れないかもしれません。決選投票で,維新と国民が中立の立場をとれば,ほっておいても,相対多数で石破氏が首相指名されるので,それでもう少し自民党にやらせて様子をみようということは,維新にしろ,国民民主党にしろ,両党の今後を考えると賢明な選択といえるでしょう。
 もっとも維新と国民では,やや状況が違うところもあります。先の選挙で,比例票でみると,票を伸ばしたのは,立憲民主党ではなく,国民,れいわ,保守,参政です。維新は300万票近く減らし,国民は360万票近く増やしています。もしかしたら,維新票が国民票に行った可能性もあります。参議院選挙を考えると,維新はここで何か手を打たなければ,さらに国民に票を奪われてしまう可能性もあります。国民民主党の背後には,労働組合があるので,維新との協力のハードルは高いような気がしますが,そこはどうでしょうか(維新の馬場代表は,連合ともコミュニケーションをとっているという趣旨のことを述べていましたが)。

« 労働新聞に登場 | トップページ | 斎藤元知事が再選するために必要なこと »

国内政治」カテゴリの記事