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2024年10月29日 (火)

労働新聞に登場

 労働新聞の1021日号と1028日号に登場しました。労働基準関係法制の見直しに向けた提言ということで執筆を引き受けたのですが,まさか私がトップバッターであるとは思いませんでした(ちょっと申し訳ない気がします)。労働新聞は,半年前に浜田冨士郎先生の『リンカンと奴隷解放』の書評を執筆して以来です。
 今回は,テーマ的に,もう少し厚生労働省の研究会に沿った手堅い内容で書くこともできたのですが,リレー連載ということなので,普通のことは他の人も書くでしょうから,私のいつもの尖った主張を書いたほうが面白いのではないかと思いました。もちろん字数がかなり限定されているので,書きたいことを圧縮しています。たとえば第2回の労働時間制度については,健康確保という趣旨で通しています。もちろんWLBの実現といった他の趣旨もあるのですが,そこにはあまりふれずに,論旨が明確になるようにしました。
 上記の研究会では,労働時間について,副業の労働時間管理という点で,動きがあるようです。私は自己申告による管理に批判的ですが,海外にも例があるなどという反論もあります。海外に例があるということを正当化理由に挙げるのは,もう止めたほうがよいのであり,むしろ自己申告では規制にならないだろうという普通の発想から物事を考えていってもらいたいです。副業の労働時間通算については,労働基準法381項の行政解釈を改める方針が出されたようですが,これは私が,20161114日の中小企業庁の「兼業・副業を通じた 創業・新事業創出に関する研究会」の会合などでプレゼンしたときに述べていたことです。そのときの資料は残っていませんが,要約版がネット上にありましたので,その文書を貼り付けておきます。その後に書いたものでも,この行政解釈はおかしいということを述べています(例えば,拙著『人事労働法』(2021年,弘文堂)184頁,『労働法実務講義(第4版)』(2024年,日本法令)613頁)。
  複数企業間の通算は認めないという説は,学説上も有力でした。とくに菅野和夫先生(文化功労者おめでとうございます)が明確に行政解釈の見直しを主張している(菅野和夫・山川隆一『労働法(第13版)』(2024年,弘文堂)406頁)なか,行政もついに白旗を上げたというところでしょうか。それでもなお「健康管理のため月単位で総労働時間を管理することは継続する」ということのようです(日本経済新聞電子版2024919日「副業促進へ企業負担軽く 労働時間の管理ルール見直し」)。健康管理は,別の方法でというのが,私の主張であり,それは今回の労働新聞にも書きました。自己申告は,確かに本人の気づきには役立つかもしれませんし,当事者の行動変容を促す政府の措置という広い意味での「規制」の概念には含まれるかもしれませんが,本気で健康管理を考えるならば,労働時間の規制から切り離して,もっと違う手法を考えるべきであるというのが私の主張です。

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