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2024年10月10日 (木)

最低賃金1500円

 兵庫県の最低賃金は目安よりも1円高い1052円となりました。10月から施行されています。かなり大幅なアップだと思いますが、現在の衆議院選挙では,各党は最低賃金を1500円とすることを公約にかかげています。自民党も,石破茂首相は,少なくとも総裁戦のときは,2020年代に全国平均1500円にするという目標をかかげていました。1500円について到達目的をいつにするか(即時か,5年以内か,2020年代かなど),全国平均か全国一律かなどでは違いがありますが,1500円という数字が相場となりつつあります。産経新聞の109日の記事「最低賃金1500円『高すぎる』 衆院選の与野党公約に悲鳴 年89円増額で人件費膨張」で書かれているような,中小企業の経営者からは悲鳴が上がっているようでもあります。89円というのは,与党の方針にしたがうと,1年にこれくらいの賃金が上がるという数字です。
 最低賃金というと,経営者側の努力を強調する声があるし,助成金の活用もいわれますが,最低賃金が賃金の一つである以上,その賃金に見合う労働がなされる必要があります。最低賃金1500円というのは結果にすぎず,「結果にコミットする」という宣伝を各党はやっているのかもしれませんが,1500円に上がるような経済環境をつくることこそ約束してもらいたいです。
 ただ本気で1500円となると,企業はこれまで最低賃金ぎりぎりで働いてもらった人には辞めてもらい,デジタル化を加速して省力化を進めるでしょう。デジタル人材の採用は進みますが,こういう人は最低賃金よりもはるかに高い賃金で働いています。これによって企業の体力は強化されていきます。この流れに乗れない企業は廃業をよぎなくされ,そこで失業が増えることになります。最低賃金の引上げは,企業と労働者の選別を進めるということです。中長期的な政策として本当に重要なのは,最低賃金近辺で働く必要がないようなスキルを身につける教育政策です。こういう主張をしているのは,ざっとみた限りでは自民党だけですよね(デジタル人材の育成など)。教育面では,無償化の話は多いのですが,むしろ何をどのように教育するのかこそ重要だと思っています。理系人材,文系人材などに関係なく,個人のもっている適性を伸ばして,社会に貢献できるような人材の育成が求められているのです。そうした政策を進めることが,少し長い時間的スパンでみれば,国民の所得を持続的に引き上げ,「誰一人取り残さないようにする」ことにつながるのだと思います。

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