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2024年10月 8日 (火)

竜王戦始まる

 将棋の竜王戦が始まりました。藤井聡太竜王(七冠)に佐々木勇気八段が挑戦します。佐々木八段は初のタイトル戦です。藤井竜王のデビュー以来の連勝を29で止めたのが佐々木八段ですし,昨年のNHK杯決勝で藤井竜王を破ったのも佐々木八段です。しかし,それ以外では佐々木八段は藤井竜王に勝つことができていません(本局前で佐々木八段側からみて2勝4敗)。初のタイトル戦のプレッシャーもある中,どのように戦っていくのかが注目されるところです。初戦は熱戦だったと思います。佐々木八段も果敢に攻めていたのですが,最後の切り合いで一歩,藤井竜王の方が早かった感じです。7番勝負の長丁場ですから,まだまだ佐々木八段にはチャンスがあると思います。
 順位戦はB級1組がすでに6局を終え,中盤戦にさしかかろうとしています。糸谷哲郎八段が5連勝で快調に飛ばしています。近藤誠也七段が4勝1敗,斎藤慎太郎八段が4勝2敗で追っているところです。昇級争いでは,山崎隆之八段が1勝4敗で苦しい戦いを強いられています。三浦弘行九段も4敗していましたが,直近の戦いで羽生善治九段に勝って2勝4敗としました。負けた羽生九段も2勝4敗で,まさかの降級争いとなっています。降級者は3人なので,順位1位の広瀬章人九段も含め,少し心配な状況です。もちろん,まだ6局残っていますから挽回の可能性はありますが,何しろ「鬼の棲家」と言われるB級1組ですから,羽生九段や広瀬九段も油断はできません。もう一人のベテラン,佐藤康光九段は3勝3敗で頑張っています。
 その他の棋戦では,王将戦の挑戦者決定リーグ戦が始まりました。7人で藤井王将との対決を目指して争いますが,初戦で初リーグ入りの西田拓也五段が羽生九段に勝ったことが少し驚きのニュースです。その他,永瀬拓矢九段が藤井達也八段に勝ち,近藤誠也七段が佐々木勇気八段に勝ち,広瀬章人九段に敗れました。まだまだ始まったばかりですが,西田五段が勢いに乗ってどこまで勝てるかが注目です。
 女流の王将戦では,福間香奈女流五冠が西山朋佳女流王将(女流三冠)に挑戦し,幸先良く1勝をあげました。福間さんは12月に出産予定で,11月17日から来年2月12日まで休場が認められました。女流の王将戦は3番勝負で,3局目は10月29日なので,休場までには決着がつきそうです。福間さんが挑戦者である白玲戦はやや微妙な状況で,現在,福間さんが2勝1敗ですが,4局目に予定されていた9月28日の対局が西山白玲のコロナ感染により中止となり,日程は10月12日,19日,26日のまま1局ずつづれていきます。第7局目にまでもつれた場合の日程が決まっておらず,その場合,福間さんの休場に間に合うかが心配されます。
 さらに,王座戦も予定されており,こちらは福間女流王座に西山さんが挑戦することになっています。第1局は10月23日に行われたあと,第2局は来年2月下旬に行われる予定です。おそらくタイトル保持者が妊娠・出産を理由に休場するのは前例がないことのように思いますが,このような特例措置を認めることについては,主催者が良しとすれば問題はないでしょう。休場を認めるのは当然のことです(すでにルール化されています)が,タイトル戦において不戦敗になるかどうかについては,女流もプロ棋士である以上,厳しい判断がされる可能性もありました。ただし,そういった厳しい判断はすべきではないでしょうし,授乳時間の配慮,着物非着用,椅子の使用許可など,特別な対応もあってよいでしょう。歴史に残る女流棋士である福間さんですから,ぜひこれからの「ママ棋士」のモデルとなってほしいです。将棋ファンなら誰もが福間さんの将棋を観たいと思っているはずですから,彼女には高い発言力があると思います。それを発揮して,「ママ棋士」の環境整備への道を作ってもらいたいですね。

 

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