出雲駅伝
14日の出雲駅伝は,國學院大學が優勝しました。優勝候補に挙げられていましたが,青山学院が箱根駅伝に続く2連勝となるか,駒澤大学が出雲3連覇となるかというほうが,やはり関心が高かったです。とくに青山学院の充実が伝えられており,駒澤大学が2区の区間記録をもつ佐藤圭汰が欠場するため,青山学院が優勝するだろうと予想していました。ただ,初マラソン最高記録を出している平林清澄がアンカーにいるので,國學院も,アンカーまで上位で繋げばチャンスがあるだろうというのが多くの人の予想であったでしょう。
レースは,30度近い気温の影響もあり,第1区がスローペースで混戦模様でしたが,青学のエース鶴川がラストスパートで抜け出して1位で襷を渡します。國學院の青木が8秒差で3位,駒澤の1年生の桑田は,最後は力尽きて15秒差の6位でした。ただ,青木も桑田もこの差でとどめたことでチャンスが出てきました。2区は青学の野村(区間6位)が好調に走っていたようでしたが,ここで創価大学の吉田響がすさまじい走りで追い抜いていき1位になります。國學院の山本は5位(区間4位),駒澤の帰山は6位(区間3位)でしたが,青学の野村が後半やや失速していたので,青学との差がそれぞれ3秒差,7秒差となり,青学の独走という感じではなくなってきました。前半のエース区間3区では,箱根組の駒澤の山川(区間2位)と,同じく箱根で名を上げた青学の黒田(区間3位)が創価大のエントリー変更で急遽走ることになった1年生選手に追いつき,抜け出して2人の競り合いとなりました。ただ最後は黒田が粘ってトップになり駒澤は4秒差の2位でした。國學院の辻原は区間4位でしたが,青学からは20秒差となりました。この段階では,青学と駒澤の一騎打ちになりそうだと思っていました。4区では箱根組の伊藤(区間3位)がトップになり,青学の宇田川(区間5位)を引き離しましたが差はわずか5秒,一方,國學院は野中が区間賞の走りで差をつめて3位ながら駒澤との差は9秒につまってきました。第5区は,駒澤の駅伝デビューの2年生島子が,國學院の上原に追いつかれ,なんとかついていきますが,最後は4秒差をつけられて2位で襷を渡します。上原は区間賞の快走でした。島子も区間2位と頑張りました。一方,青学は若林が失速して,先頭から24秒差となりました。ただ若林も区間3位ですからブレーキではありません。第6区は,國學院の平林,そして5000メートルで日本人の学生記録を作ったばかりで駒澤の大エース篠原倖太朗,箱根でも活躍した青学の太田のエース対決となりました。ただ太田は24秒差でしたのでかなり厳しかったです。篠原は早々に平林に追いつきましたが,途中で平林は篠原をつきはなして,最後は20秒差でした。平林は区間賞,篠原と太田は区間同タイムで3位,総合順位は駒澤2位,青学3位でした。
駒澤は区間賞こそいなかったものの,全員が安定した走りをしました。しかし,全員が区間5位以内で,最後の3区間で区間賞を取り続けた國學院の強さに負けました。駒澤の藤田監督は,襷を渡す前の最後で,差がつけられることが多かったことを敗因にあげていました。そこで5人でもう20秒縮めていれば,篠原はもう少し楽に走れて,勝てていたであろうということのようです。たしかに最後まで競り合えば篠原のほうが平林よりスピードがあるので,違う展開になっていたかもしれません。そうならないように,國學院はうまく襷を繋いだということでしょう。青学は2区の野村で引き離すことができず,追いかけるチームに勇気を与えてしまい,青学のその後の選手も後半に失速するという,青学らしからぬパターンになってしまい,勝負は5区で終わっていました。青学も決して走りが悪いわけではなかったのですが,出雲のようなスピードレースのマラソンでは,流れが悪くなったときに立て直すことは難しいようです。
次は11月3日の全日本大学駅伝です。國學院は当然,全日本もとって,次の箱根と合わせた3冠を狙うでしょう。駒澤も,佐藤圭汰が登録されているので,彼が万全であれば,今回の他の選手の出雲の安定した走りをみると,十分に全日本5連覇を狙えるでしょう。とくに今回平林に敗れたエース篠原は,駒澤の田澤廉,鈴木芽吹という大エースを引き継げるかの勝負どころでしょう。青学は,1年生で須磨学園出身の折田壮太選手に走ってほしいですね。