王座戦第2局
藤井聡太王座(七冠)に,永瀬拓矢九段が挑戦している王座戦5番勝負の第2局ですが,藤井王座が勝って2連勝となり,防衛に王手をかけました。内容は,素人には難解でしたが,先手の藤井王座が5五に桂を打ってからは優位に立ったようにみえました。最後は香の頭に角を打つという,見たこともないようなすごい手で永瀬九段を投了に追い込みました。
久しぶりに谷川浩司17世名人のことを話しますと,あと4勝で1400勝という大記録がかかっています。これまで1400勝以上は,羽生善治九段(1570勝)と大山康晴15世名人(1433勝)しかなく,谷川17世名人は1396勝で,大山15世名人の記録にあと37と近づいています。ただ最近の勝利のペースですと,あと2年はかかりそうです。そんななか,今日は王位戦の予選で,若手の徳田拳士四段に勝ちました。最後は「光速の寄せ」と言えそうな見事な寄せでした。これで1397勝であり,まずは今年中に1400勝,できれば今期中に1410勝あたりにまで伸ばしてもらいたいです。
A級順位戦は,本日,佐藤天彦九段が,かつて名人位を奪われた豊島将之九段に勝ちました。天彦九段は3連勝,豊島九段は3連敗で,前期の名人挑戦者である豊島九段は大苦戦となっています。このほか,菅井竜也八段,稲葉陽八段も3連敗で,前にも書いたように,関西勢は厳しい状況です。佐々木勇気八段は,中村太地八段に勝って,3連勝で先頭を走っています。
NHK杯は,注目の藤井七冠(竜王・名人)と西山朋佳女流三冠の対局がありました。結果は,藤井七冠の貫禄勝ちでしたが,これは仕方がありません。ただ,この対局で西山さんが弱かったという印象は受けませんでした。棋士編入試験に挑戦中の西山さんは,福間香奈女流五冠とも,熾烈なタイトル戦を繰り広げています。現在,防衛戦である白玲戦は,1勝1敗です。また女流王座戦には福間女流王座への挑戦を決めています。ただ,西山さんが棋士編入試験に合格したら,西山さんの女流タイトルや女流棋戦の出場資格はどうなるのでしょうかね。女性「棋士」と「女流棋士」の両方を兼ねることになるのでしょうか。何かルールがあるのかもしれませんが,棋士になることを選択したら,女流棋士の資格を失うというほうが,すっきりしている気がします。男女の格差をなくしていくという観点からは,女流棋士が実績をあげて,将来的には女流棋士というカテゴリーがなくなるのが理想でしょう。