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2024年9月16日 (月)

所得税の源泉徴収廃止提案について考える

 河野太郎氏が国民全員に確定申告を義務づけ,源泉徴収を廃止する提案をして話題になっています。現在,源泉徴収されている会社員が全員確定申告を行うようになると,税務職員の負担が増すという反対意見もありますが,全員がe-Taxを利用すれば,負担はそれほど増えないのではないかと思います(マイナンバーカードも,もっと広がるでしょう。返納したような軽率な人は後悔しているのではないでしょうか)。むしろ,気にすべきことは,現在の制度における企業の負担です。年末調整の事務料は半端ではないでしょう。今年の定額減税でも,大変だったのではないでしょうか。
 納税者の負担も指摘されていますが,これまで確定申告をしてこなかった普通の会社員であれば,申告はシンプルに行えるはずです。慣れれば,パソコン上で15分ほどで終わると思います。私のように原稿料などの雑所得がある場合は,それを手作業で入力する必要がありますが,手元に源泉徴収票があれば,時間はそれほどかかりません。私はパソコンで申告していますが,スマホを使えばもっと簡単にできるかもしれません(実際には試したことがないので何とも言えませんが)。
 
副業が一般化し,フリーランスになることが増えると予想されるなか,若者は今から確定申告に慣れておいたほうがよいでしょう。確定申告を導入すると,未納者が増えることが懸念されていますが,これは国のサービスを受けるためには税金を支払うことが当然であるという教育を子供のころからしっかり行うことで改善を図るべきことがらです(ちなみに自民党の裏金問題は,所得税の未納問題に関係しています。日本という国のことをほんとうに考える保守政治家であれば,自身の納税がクリアにすることは最低限の義務でしょう)。
 確定申告すると,自分たちの払った税金がどう使われるかに対する意識も向上するはずです。所得控除や税額控除の項目については,その背景にどのような政策的意図があるかを探るのも勉強になるでしょう。政治への関心も高まり,そうなると民主主義の活性化につながるかもしれません。
 もちろん,将来的には,納税が自動的に行われ,確定申告も不要となる時代が来るかもしれません。これについては,費用の控除は自動化できないという意見もありますが,AIが自動的に算定し,異議がある人だけが申告するという方法も考えられます。現在でも,給与所得控除において概算的な費用計算が行われているため,費用計算の自動化はそれほど突飛な発想ではないと思いますが,いかがでしょうか。

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