司法試験のデジタル化
今週は司法試験期間なので,LSの授業はありません。試験日程は,10日から14日(12日は休み)の長丁場です。会場は,札幌市,仙台市,東京都,名古屋市,大阪市,広島市,福岡市,那覇市(又はその他周辺)ということですが,受験生はこれらの都市に住んでいるとは限らず,猛暑のなかで移動しなければならない受験生は大変でしょうね。2026年度からは,CBT(Computer Based Testing)方式になり,パソコンの利用となりますが,試験会場への移動は必要となります。ゆくゆくは,IBT(Internet Based Testing)方式で,リモートで受験できるようになればいいですね。司法試験に知的体力以外の要素をできるだけ取り除いてあげたほうがよいでしょう。法曹の仕事もデジタル化していくのであり,それに合致したような試験方式も必要です。もちろん不正対策は決定的に重要なことですが,それをデジタル技術により克服できれば,いろんなところに応用が聞きます。いちばん遅れていそうだった司法の世界において,司法試験をとおして,そうしたデジタル技術の活用の最先端を走ることになれば,イメージも変わってよいと思います。ぜひ法務省関係者には頑張ってもらいたいです。
各法科大学院でも,本番の司法試験に先行して,期末試験でCBT方式を導入することが検討されています。学生に慣れさせるためには,望ましいことですが,ここでも不正対策などの観点から現時点ではいろいろと問題がありそうです。不正を避けるために,パソコンを貸与するとなると,保管場所の確保など,お金のない国立大学では難しいです。指定業者などを作って,不正ができないような設定(通信機能の停止など)にして,期末試験時にのみ学生に貸与するというjust in timeのレンタル方式などは無理でしょうかね。いずれにせよ,大学関係者の知恵だけでは限界がありますから,技術者の方にゼロベースで考えてもらって,費用と効率の折り合いをつけながら試験方式を開拓してもらいたいです。その際に重要なのは,不正が1件でも起きれば失敗というゼロリスクを目指さないことです。リスク低減は必要ですが,ゼロをめざすと時間がかかるので,ある程度のリスク低減を見込むことができれば,あとは不正行為者には,司法試験受験資格の永久剥奪のような強い制裁による抑止で対応すべきでしょう。そして,さらにIBTについても,遅くとも2030年くらいには司法試験への導入ができればよいですね。
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