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2024年7月17日 (水)

岡田監督のパワハラ?

 阪神タイガースは,オールスター前の折り返し時点で,貯金2で,首位の巨人と2.5ゲーム差です[まだ広島戦が3試合残っていました]。これだけ打てなくて,よくこの成績にとどまっているなというのが,今期ずっと繰り返してきた感想です。いつも負けているように思うのですが,なんとか勝ち超せているのは,やはり岡田監督の技量でしょうか。
 その岡田監督が,コーチを直接叱責しないで,マスコミに向けて非難するのはパワハラではないか,という意見もあるようです。プロの世界における話で,また監督とコーチの人間関係がどのようなものかにもよるので,他人がとやかく言うべきことではないようにも思います。

 ただ最近の風潮は,自分がそういうことをされたらどうかということで考えてしまい,自分だったら上司がそういう態度をとっていればイヤだなと思うと,ついついパワハラだと非難したくなるのでしょう。だから,テレビに出るような有名人は言動に気をつけなければならない,というような話になりそうですが,ちょっと待てという気もします。

 たとえば,岡田監督が,藤本3塁コーチを「罵倒」したのは,状況に応じた適切な指示をできなかったことに対する批判です。3塁コーチは得点に直結する重要な役割があり,そこを任されているとなると,結果責任を問われるのは仕方がありません。一方で,本人に直接言うべきであるという批判は,考え方によるのであり,直接言うと,相手に萎縮されてしまい,うまくいかないことが,第三者経由で話が入ってくると,多少は冷静に聞くことができ,そして自分のどこが悪かったのかの反省がしやすいということもあるかもしれません。それが良いかどうかはともかく,そういう指導法もあってよいような気がします。いずれにせよ誉めるときも,第三者経由なのであり,その点では岡田監督の姿勢は一貫しています。むしろ直接叱責しないのは,愛があるような気がします。

 選手もコーチもプロであり,自分でスキルを磨くしかない世界です。監督のメガネにかなわなければ,左遷されてもおかしくないわけで,そうでなくアドバイスを間接的であれしてくれることは,むしろありがたいともいえるのです。

 そういえば,岡田監督がリリーフ投手を告げようとしたときに,まだその投手の準備ができていないということで,その投手を登板させることができずに,結局,試合にも負けたことがありました。監督は,投手コーチを報道陣の前で批判しました。そんなことを言うなら,監督が自ら,登板させようと考えている投手の準備をするよう告げてくれればよいのではないか,という不満も出てきそうです。しかし,監督は,信頼している投手コーチは,言わなくてもわかっているだろうと思っているのです。それに,もし監督が自らやってしまえば,コーチの仕事は不要となります。これこそがコーチが最も恐れることでしょう(失業につながりますから)。
 叱られたほうが,成長機会が増えるだろうというのは,昭和の発想なのでしょうかね。もちろん優しく,恥をかかせられない程度に叱ってという希望をする人が世間では増えているのかもしれません。この点の世代間ギャップは深刻なので,昭和世代の上司は若者に対してそういう配慮をしなければいけないのかもしれませんが,少なくともプロのコーチや選手を扱っている監督は,違うでしょう。もちろん阪神のコーチたちも優しく叱ってほしいとは思っていないはずです。岡田監督が誰よりも阪神ファンであり,阪神が勝つために叱っているということは,みんな知っています。むしろ私は,監督があまり叱らない今岡打撃コーチのほうが心配です。今期の打撃陣の成績をみると叱られて当然だからです。叱らないということは,期待されていないことかもしれないのです。

 

 

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