Harrisでいくのか
民主党の候補者はKamala Harris副大統領となりそうです。私はほぼ5年前にBiden大統領のことを書いたことがありました(「Bidenは大統領になれるか」)が,結局,彼は1期で辞めることになり,Harrisに禅譲(?)ということになりそうです。もしかしたら,任期途中での禅譲もありえます。もしBidenに,ほんとうに認知機能の問題があるなら(ありそうですが),核ボタンを押せる立場からは退いてもらったほうが世界は安心します。問題となったTrumpとの討論会は,当然,彼はきちんとできると思って登壇したのでしょうが,自己認識と客観的な能力との乖離は大きかったのでしょう。こういうことは,たとえば高齢者の運転事故の原因にもなっているのであり,これがアメリカ大統領となると,運転事故とは比べ物にならないくらい大きな危険をともなっています。認知機能に心配がある大統領の去就は家族で決めるような私的なことではありません。Bidenは大統領も辞任してこそ,責任をはたしたことになるでしょう。
Harrisは,Trump から「sleepy Joe」と言われていた Bidenと比べると,エネルギッシュで,演説にもパワーがあり,現時点では良い評価を得ているようです。元検察官という立場から,犯罪の嫌疑がかけられているTrumpへの攻撃は勢いがありますし,人口妊娠中絶や銃規制などについての立場も明快で,移民問題を除くと,民主党をしっかりまとめることはできるでしょう(というか民主党執行部は必死になって彼女を担ぐでしょう)。もちろん女性票や非白人票も大いに期待できます。ただ若者票は微妙で,HarrisはTrumpよりは若いといっても59歳で,若者世代からすると,どっちもどっちという感じかもしれません(エリート臭が強いところも気になります)。それに,彼女の外交政策や経済政策などについては,私が不勉強なせいかもしれませんが,よくわかりません。Biden政権の政策を継承するということでしょうが,やはり本人の口からしっかり語ってもらいたいです。
世論調査ではTrumpと良い勝負ができそうな数字が出ていますが,アメリカの大統領選挙は,各州の選挙人を選ぶ選挙であり,州によって選挙人が違います。そのため,とくに選挙人の多い激戦州(swing state)で勝てるかどうかがポイントで,それらの州での世論調査こそ重要です。Swing state とされているのは, Wisconsin(10), Nevada(6), Arizona(11), Georgia(16), Michigan(15), North Carolina(16), Pennsylvania(19)です(カッコ内は,2024年選挙で割り当てられた選挙人の数)。538人のうち270人を取ったら勝ちとなりますが,激戦州以外では,民主党と共和党は,ほぼ互角なので,激戦州の結果に大きく左右されます。「確トラ」は揺らいできましたが,「もしトラ」は依然としてあります。11月までに,まだまだ多くの波乱がありそうです。オリンピックが終わると,世界中の視線は集中することになるでしょう。
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