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2024年6月15日 (土)

PugliaサミットとMeloni首相

 日本では,今回のG7サミットは,プーリア・サミットと呼ばれています。プーリアはPugliaと書いて,「リ」は「li」でも「ri」でもない「gli」で,日本人には発音が難しい言葉です。
 ところで,イタリア国内はいろんな町に行ったつもりではありますが,Puglia州は,BariとLecceくらいで,その他のところには行っていません。今回サミットが開催されたホテルは,Borgo Egnaziaというホテルで,初めてその名前を知りました。アドリア海(Mar Adriatico)に面しているリゾート地のようですね。ホテルのあるPugliaは州(Regione)の名前で,県(provincia)の名前でいえばBrindisi,市町村(comune)の名前でいえばFasanoです。まあFasanoサミットと呼んでもよいかもしれません。場所は,Pugliaの州都のBariとBrindisiのちょうど中間にあります。
 Bariは,イタリア労働法の大物であったGino Gigni が教えていたこともあるBari大学があり,山口浩一郎先生の親友のBruno Veneziani 教授もいました。私も山口先生の紹介でBrunoに会いにBari大学に行ったことがありますし,Brunoには日本で講演をしてもらったこともあります。ということで,Bariには縁があります。Brindisiは降りたことはありませんが,移民が流れ着く港のある町として有名です。
 今回のサミットで,Giorgia Meloni イタリア首相は,開会挨拶(discorso d’apertura)で,サミットの場所をここにしたのは偶然ではないと言っています。南部(sud)の州を選んだのは,グローバルサウス(sud globale)の国々との対話をしたいというG7議長国としてのイタリアのメッセージが込められているとし,またこの場所は,西洋と東洋の架け橋となるところであり,大西洋とインド太平洋とを結ぶ中間にある地中海の中心場所という意味もあると述べています。排外的な主張をする極右政治家とはまったく違う,まさにG7の議長国にふさわしい世界情勢を視野に入れた政治家という姿を見せようとしていたと思います。
 ところで昨日の日本経済新聞で,「メローニ伊首相,欧州の「陰の権力者」に  保守束ねEUで発言力」というタイトルの記事が出ていました。たしかに,Meloniが率いる「イタリアの同胞(Fratelli d‘Italia)」はサミット直前にあった欧州議会選挙でイタリアに割り当てられている76議席のなかで最も多い24議席を獲得しました(得票率は28.8パーセント)。また,Meloniが率いる欧州議会内の欧州保守改革党(ECR)は,第4勢力に躍進しました(720議席のうち76議席)。このほかは,中道右派の最大グループで,EU委員長のvon der Leyenが率いる欧州人民党(EPP)が190議席のトップで,イタリアの同盟(Lega)やフランスのLe Penが属する国民連合(Rassemblement National)などが参加するID(アイデンティティと民主主義グループ)は58議席を獲得しています。Meloniは,経歴からすると,極右と呼ばれても仕方がないのですが,首相になってからは,欧州と歩調を合わせて,現実的な政策をとり,保守勢力をうまくとりこんでおり,日経の記事に書かれているように,今後,EU内でも影響力を高める可能性(ある立場からは危険性)があります。今回の堂々たる演説からもわかるように,欧州を率いるような大政治家に化けるかもしれません。最近のイタリアの政治情勢をきちんとフォローしていているわけではありませんが,少なくとも今回出席した首脳のなかで,彼女が今後最も長くサミットに参加しそうな人ではないかと思いました。

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