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2024年6月 7日 (金)

非正社員労働法

 前にも同じようなことを書いたことがありますが,本日の法科大学院(LS)の授業のテーマが非正社員の処遇であったので,今日も書きます。
 労働法の授業における非正社員の比重が増大して久しくなります。とくに労働契約法の旧20条,短時間有期雇用法8条に関係する判例は,近年急激に増えたので,残念ながら2014年の『ケースブック労働法(第8版)』(弘文堂)では対応できません(丸子警報器事件しか掲載されていませんので)。 
 法科大学院の授業では,足らない部分は拙著『最新重要判例200労働法(第8版)』(弘文堂)(最重判)を指示しながら,判決文は自分でダウンロードするように頼んでいます。同書でも,ハマキョウレックス事件,長澤運輸事件,メトロコマース事件,日本郵便〔東京〕事件の最高裁判決を掲載し,さらに下級審ですが,九州惣菜事件も掲載しています。最低限これらの判決の学習は必要でしょう。今後も,不合理性をめぐって新たな判例が登場する可能性もありますが,さすがにこれ以上は事件の「数」を増やさずに,入れ替えをしていくことになるでしょう(将来的には,名古屋自動車学校事件の昨年の最高裁判決の差戻審が出て,それが上告されて新たな判断が出れば,入れ換えられる可能性は大きいと思っています)。
 拙著『労働法実務講義(第4版)』(日本法令)でも,「不合理な格差の禁止」は,それだけで15頁(936951頁)を割いており,かなりの分量です。多くの教科書でも,この部分の叙述は拡大傾向にあると思います。法科大学院生にとっても,学習の必要は高く,なかでも定年後の有期労働契約での再雇用時の労働条件の設定は重要な論点であり,日本郵便事件の雇止めのほうの最高裁判決(最重判65事件)も含め,しっかり広く勉強しておく必要があるでしょう。
 一方,政策的な観点からも,高年齢者雇用政策は重要です。これからは高年齢者雇用確保措置と高年齢者就業確保措置の対象年齢が5歳ずつ引き上がる可能性もあり,来たるべき75歳現役世代の到来に備えた政策や人事対応を考えていく必要があるでしょう。この点は,昨年,日本法令から出したDVD『企業における高年齢者雇用の論点整理』も参考にしてください。

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