名人戦第4局
名人戦第4局は,別府で昨日から行われ,挑戦者の豊島将之九段が,3連敗のあと,藤井聡太名人(八冠)に,今シリーズ初勝利をあげました。先手の豊島九段は居玉のまま,積極的に攻める戦法をとり,途中までは評価値も優勢でした。ただ終盤で,素人にはわからないような悪手があったようで,評価値は五分に戻ったのですが,藤井名人に緩手があり,最後はしっかり攻めきりました。豊島九段は,最近,負けが込んでいて不調かと思いましたが,名人戦で調子を取り戻した感じです。これで流れが変わるでしょうか。
藤井聡太王位(八冠)への挑戦権を争う王位戦リーグは,紅組と白組のトップが挑戦者決定戦を戦うという方式ですが,14日,リーグ戦が終わりました。紅組は斎藤慎太郎八段,白組は渡辺明九段が,それぞれ4勝1敗でプレーオフなしで1位となり,両者が戦うことになりました。渡辺九段は,タイトル獲得数は歴代4位ですが,意外なことに王位のタイトルはまだ取ったことがありません。斎藤八段は王座のタイトル1期の実績があるだけです。どちらも王位戦の挑戦自体はじめてです。両者の対決というと,2020年,2021年に2年連続で渡辺名人(当時)に斎藤八段が挑戦するということがあり,いずれも渡辺名人が防衛しています。斎藤八段は,今回の大一番でぜひ雪辱したいでしょう。今期はB級1組に陥落して,出直しの1年ですが,最近は好調で,王位戦リーグでも,最終戦は若手有望の藤本渚五段をやぶりました。一方,渡辺九段は,羽生善治九段に負けて1敗しており,羽生九段の最終局は,ここまでリーグ戦全敗の飯島栄治七段が相手なので,悪くてもプレーオフだと思っていたでしょうが,羽生九段が珍しく最終盤で大逆転をくらうということが起きて2敗目となり,渡辺九段の1位通過が決まりました。羽生九段は,森内俊之九段に負けた1敗が痛かったですが,リーグ戦残留をはたしたのは見事です。