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2024年5月 8日 (水)

井上はやはり強かった

 連休最後の日は,Amazon Prime Videoで,スーパーバンタム級(Super Bantamweight)の4団体のチャンピオン井上尚弥と,日本人からすると因縁のあるLuis Neryの戦いを堪能しました。i井上の初回のダウンには驚きましたし,すぐに立たなかったので効いていたのかと思いましたが,試合後に,エイトカウントまで座って休むという準備をしていたと話していました。プロになってダウンをしたことがなかったモンスターでしたが,もしダウンしたらどうするかというイメージトレーニングをしていたというから驚きです。真の強者は,ここまで周到に準備するものなのですね。この危機を乗り切ってからは,Neryのパンチを見切って,あとはいつ仕上げるかという勝負になっていきました。6ラウンドのノックアウトで,Neryを沈めました。

 日本の歴代のチャンピオンのなかでも有数の実績を誇っていた山中慎介がNeryによりタイトルを奪われ,Neryのドーピング疑惑があって再戦となりましたが,体重オーバーになったとき,山中の雪辱を信じていたファンたちは怒り心頭でした。とりあえず試合はしましたが,山中は敗れてしまいました(減量をしていない選手と戦うのは圧倒的に不利です)。これでNeryは永久追放となったはずなのに,また舞い戻ってきたということで,井上には山中の無念を晴らしてほしいというファンのプレッシャーがあったことでしょう。もっとも井上は,純粋にNeryとの戦いに向き合っていたようで,余計な雑念を入れなかったところがまたすごいです。この集中力は見習いたいですね。

 井上・Nery戦のインパクトで印象が弱くなりましたが,その前の試合のWBO世界バンタム級(Bantamweight)のチャンピオンJason Moloneyと挑戦者武居由樹との戦いもすごかったです。無敗だけれどボクシング経験は浅く9戦目の武居と,相手はベテランのチャンピオンのMoloney。井上に挑戦したが敗れていたMoloneyは,井上が階級を上げたために返上したベルトをとり,今回が2度目の防衛戦でした。しかし武居は強かったです。勇敢に攻めていき,ボディも効果的でした。ローブロー(low blow)を最初はレフリーに厳しくとられていましたが,おそれずにボディを打ち続け,途中からはローブローはとられなくなりました。それまでの貯金から,最終の第12ラウンドは,逃げ切れば勝ちというところでしたが,さすが王者のMoloneyは,スタミナ切れの武居を一方的に打ち続け,最後の1分は防戦一方で,観ていた人はみんな武居がんばれと応援したことでしょう。彼はぎりぎりのところで立ち続け,判定勝ちにもちこみました。最終ラウンドを除くと,ほとんど武居が攻勢かイーブンであり,Hometown Decisionではなく,文句なしの武居の勝ちといえるでしょう。

 殴り合いのスポーツはどうかという気持ちはいつも持っているものの,それでも観てしまうのは,男たちの人生をかけた真剣勝負に魅了されるからでしょうね。

 

 

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