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2024年5月30日 (木)

定額減税政策に思う

  今回の減税はあまり嬉しくありませんね。給与所得者の多くは,日頃から税金を源泉徴収されており,納税感が乏しいので,その部分について減税しても,インパクトは小さいでしょう。一人3万円(所得税分)で引ききれなかった場合には,複数月にまたがって引くそうです(このほか住民税1万円の減税もありますが,これは引き方が違っています)。しかも,減税額の明記まで企業に義務づけるとのことです。政府は,減税してあげたから,有り難く思ってねということでしょうが,恩着せがましいです。減税したからといって,すぐに消費にまわるわけでもありません。物価高による家計負担の足しにしてということでしょうが,私たちの多くは賢い消費を心がけて対応しているのではないでしょうか。むしろ,こういう政策をすることで,財政は大丈夫かということが気になるでしょう。
 しかもこれは減税だけではないのです。調整給付と呼ばれるものがあり,税金を支払っていない人や税金額が減税額に足りない人には,お金を配るそうです(1万円未満は切り上げられます)。税金を払っていない人にも金をばらまくのであれば,最初から,減税などという措置をとらなくて,全員にばらまいても同じだろうという気もします。企業に余計な負担をかけているだけです。どうせなら,減税ではなく,全員給付にして,マイナンバーカードと連動させていたら,このカードがもっと普及したかもしれません(昨年6月時点で,だいたい7割程度の普及でした)。もちろん,こんなバラマキをやっていてよいわけはないのですが。
 そういえば,住民税非課税世帯への給付金という問題もあります。日本経済新聞の4月8日電子版における,山本由里記者の「もう一つの「年収の壁」壊せ 住民税非課税が映す不公平」という記事では,富豪の高額のふるさと納税の問題と並び,「豪邸に住み,住民税非課税世帯向け給付金の支給を受ける」という問題を採り上げていました。たとえば不動産や金融資産がたっぷりあっても,就労しなかったり,年金受給だけであったりした場合には,住民税を支払わないことがあるのです。非課税世帯の算定に資産や利子・配当所得を含まないことから,こういうことが起こるのです。住民税非課税世帯イコール貧困世帯ではないということは知っておかなければなりません。ばらまき政策はひどいですが,どうしてもばらまくというのなら,せめてほんとうに必要な人に限定してばらまいてください,と言いたいです。

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