« 女性管理職の妊娠・出産とキャリア | トップページ | 阪神タイガースの序盤総括 »

2024年5月 1日 (水)

映画「Nomadland」

 夫の故郷でともに生活し働いていた女性(Fern)が,夫に先立たれ,また企業が倒産して企業城下町が丸ごと消失するなか,財産を処分してVanに乗って始めたノマド生活を追った映画です(実際のノマドも出演しているそうですが,ノンフィクションではありません)。とくに何かストーリーがあるわけではなく,かといってドキュメンタリーでもないという不思議な作品ですが,いろんな感想がありそうです。
 Fernは,わずかな年金と蓄えだけでは生きていけないので,Amazonの倉庫で働いたり,レストランで働いたりなど,職を転々とし,またVanで住居の拠点も転々とします(彼女は自分はhomeless ではなく,houselessだと言います)。まさにノマドという言葉にふさわしいのです。ノマド生活には,ほんとうはいろいろなサバイバル術があり,それを
知らないまま始めるのは無謀なことなのですが,Fernは,いろんな人に助けられて,少しずつ学んでいきます。

 ある意味では,究極の自由な生活です。Fernには姉がいてほんとうは帰るところがあるのですが,あえて一人の生活を選んでいます。一緒に住もうと言ってくれる男性もいましたが,その申し出も断ります。とはいえ,完全に一人では生きていけないのであり,ノマドのコミュニティなどにも頼りながら生きていくのです。印象的な台詞がありました。ノマドには,「Good-byeは,finalな別れではない」というのです。ノマドだから,またどこかで会うことがあるのです。この感覚がいいなと思いました。

 この映画では,大自然が描かれていて,資本主義から背を向け,人間らしい生活の原点に帰ることが重要だというようなメッセージも感じられるのですが,資本主義の象徴でもある自動車(Van)が不可欠であるところからすると,しょせんは贅沢な自由生活ではないかと思ったりもしました。

 日本でノマドを描くなら,もっと違った映画になるかもしれませんね。私は積極的にノマドになりたいと思うほど,資本主義に傷つけられた意識はありませんが,でもノマドのようになってもやっていけるようなたくましさはもっていなければならないと思っています。といっても,いまさら運転免許は取れないので,アメリカ型ノマドは無理そうです。

 

 

« 女性管理職の妊娠・出産とキャリア | トップページ | 阪神タイガースの序盤総括 »

映画」カテゴリの記事