小嶌典明『新・現場からみた労働法』
小嶌典明先生から,『新・現場からみた労働法―法律の前に常識がある―』(ジアース教育新社)をいただきました。どうもありがとうございました。『現場からみた労働法』シリーズの新作です。常識にこだわる小嶌先生の姿勢が,本書のサブタイトルに示されています。小嶌先生は,ある意味では超リアリストであり,現場できちんと法律を適用していくということにこだわっておられます。その経験に基づき,法律や法解釈のおかしさを指摘するという立場を貫徹されていて説得力があります。またデータへのこだわりの強さも,労働法学者のなかでは随一でしょう。本書に収録されている「労働時間の減少に歯止めを」(初出は,「労働判例」の遊筆に執筆されていた「労働時間によせて」)でも,過去15年の労働投入量の日米比較をデータで示しながら,労働時間は短ければよいというものではないと書かれています。同感です(私は,同趣旨のことを,ジュリスト最新号の論稿で「労働の両義性」という観点から書いています)。
小嶌先生の著作からは,結論はともかく,示唆を受けることが多いです。学会のなかには「食わず嫌い」ならぬ「読まず嫌い」の方もいそうですが,読めば勉強になると思います。
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