送別会
今日は今年度最後の教授会と,その後の春季懇親会があり,後者は定年や移籍により退職される方の送別会の意味を兼ねています。教員は65歳定年ということで,私も少しずつ定年に近づいてきています(これまでは教員と職員では定年格差がありましたが,職員の定年は来年度から65歳に引き上げられます)。法学部の教員は,定年後は引退する方,私立大学に再就職される方,弁護士になる方(たしか,私たちの世代くらいまでは5年の教育歴があれば,弁護士資格があります)に分かれます。大学の世界にどっぷり染まってしまって年齢を重ねると,他の業界への転職というのは難しいでしょう。個人的には保育士さんなどにチャレンジしてみたい気もありますが,そんな甘いものではないでしょうね。高年齢者就業確保措置の努力義務(高年法10条の2)というのが事業主には課されているのですが,まだ私の大学には,こうした措置は講じられていないと思います(私の定年までにできればよいのですが)。高年齢者就業確保措置のなかには,創業支援等措置もあるので,大学と業務委託契約を結んで特別講義をするというようなことができればよいのですが,これだと非常勤講師と同じなので,労働者扱いとなり,労働法の適用があるので,大学側がいやがるでしょう。こうなると,デロゲーションが認められればよいなということを実感します。労働法の適用されないことを確定した業務委託契約を締結する手続を設けるということです。 それだとフリーランス法の適用にとどまるでしょう。
大学教員の仕事は,そもそもかなり特殊です。「教授研究」の業務は,専門業務型の裁量労働制の適用対象業務であり,労使協定が締結されていれば,みなし労働時間制の適用ができます(この4月から規制が強化されますが……)。ただし,適用されるのは「主として研究に従事するもの」に限定されており,それについての行政解釈は,「業務の中心はあくまで研究の業務であることをいうものであり,具体的には,研究の業務のほかに講義等の授業の業務に従事する場合に,その時間が,多くとも,1週の所定労働時間又は法定労働時間のうち短いものについて,そのおおむね5割に満たない程度であることをいうものであること」とされています。研究と教育は截然と区別できないのが大学教員なので,5割とか言われても算定しようがありません。ということは,この縛りは,実際上は機能しないということです。とはいえ,なかには教員として雇われても,事務作業にばかり従事させられているという人もいるかもしれません。そうしたブラックな大学であれば,もちろん裁量労働制の適用は許されません。しかし,普通の教員は,裁量労働制は適用可能ですし,裁量労働制の適用に同意が必要としても,同意を拒否した場合に使えるポストは,実際上はないでしょう。専門業務型裁量労働制は,その業務の性質からして,本来,労働時間規制になじまない仕事なのであり,本人の同意があるかどうかのチェックは無意味であると思います。むしろ,その大学の業務が,ほんとうに専門業務型裁量労働制に適した業務かどうかの判断こそ重要で,それは過半数代表によりチェックするということですね。その意味で,過半数代表の責任は重要であり,これをもっと労働者は知る必要があるということを,今日,立ち話で過半数代表の候補に選ばれた方と語り合いました。