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2024年3月23日 (土)

規制改革推進室のヒアリング

 内閣府の規制改革推進室というところから,解雇の金銭解決制度についてのヒアリングを受けました。彼らが聞きたかったことは,外国法の動向であったようですが,私には,外国法についての最新の動向の情報はなかったので,解雇の金銭解決制度について,現在の政府の取り組みがなぜダメかということを説明させてもらいました。いつも言っていることですが,私たちが提案した完全補償ルールの金銭解決制度が,きちんと理解されずに,あたかも世に存在しないもののように扱われていることに私は不満を感じており,この機会に規制改革推進室の方にも理解してもらいたいと思ったからです。あまり期待はしていませんが,少しは動きがあればと思っています。

 日本の労働市場がこれからも機能していくためには,解雇規制改革が不可欠であり,また不可避であることは,よく考えると当然に到達しうる結論なのに,現状では,それを無視した政策論義がされています。もちろん解雇規制改革は簡単なことではありません。目先の損得勘定で議論をしていては先に進まないテーマなので,政治のリーダーシップが必要です。解雇規制改革の必要性を,これまでも何度か世に問うたことはあり,研究者向けのもの以外にも,いろんな媒体で意見を発表してきました(目立つ媒体としては,Wedge201611月号「『解雇の金銭解決』働き方改革とセットで実現を」など)。その到達点が完全補償ルールでした。そこで主張した解雇の金銭解決は,決して解雇の自由化を意味するものではありません。今後,DXにより業界の再編があるなかで,有効な整理解雇がされたような場合でも,労働者を無補償状況に置かないために(雇用保険の失業給付では不十分です),企業は完全補償(逸失利益の支払い)をしなければ解雇ができないものとし,中小企業の負担については,政府の強制的な解雇保険で対応するという構想は,そのまま受け入れることはできなくても,なぜこういう議論が必要となるかということは理解してもらいたいものです(とくに現行法における解雇要件の不明確性を解消し,労働者に明確かつ十分な補償をすることの必要性について)。

 

 

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