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2024年2月14日 (水)

LSの授業で学生に何を伝えたいか

 昨日のLSの話の続きですが,昨日で今期のLSの授業はすべて終わりました。私はLSの講義では,司法試験対策ということはあまり意識せず,労働事件を扱う将来の実務家を育成するという意識をもって授業をしています。試験に役立ちそうなことは,私ではなく,実際に試験を突破してきた実務家の先生の授業がありますので,そちらに委ねることにし,私のほうは,判例を素材に,生の事件に向き合い,そこで法的な知識をどう活用して,事件を処理していくかということに重点をおいた授業をしているつもりです。裁判所の判断が必ずしも正しいわけではなく,最高裁判例を絶対視する立場にはありません。
 判決の実質的妥当性となると,これは価値観の問題にもなってくるので,なかなか簡単には結論が出せません。労働法の事件では,労働者保護の結論になれば実質的に妥当であると言いやすい事例が多いとはいえ,そのようなケースばかりではありません。私の立場は,納得規範によるというもので,企業がどこまで労働者に納得を得るように誠実な説明をしているかということをポイントに評価しようと思っています。人事上の諸措置は,基本的には,就業規則に基づいて行わなければなりませんが,形式的な根拠があるだけでは不十分で,いかに具体的な措置をとる段階で労働者に向き合って誠実に説明したかに着目するのです。そして,それをしていた企業には,プラスの評価をするという解釈をとるのです。
 集団的労使関係でも,労働組合への誠実交渉というのが,やはりポイントになります。労働委員会の実務では,企業がしっかり誠実交渉をする態度をとって労働組合と向き合っているかを重視して,紛争解決に取り組んでいます。
 法的な解釈問題はいろいろありますが,結局のところは,個別労働関係にしろ集団的労使関係にしろ,相手と誠実に向き合う姿勢がトラブルの回避や解決に役立つのです。そうしたことを解釈論に取り込もうとしているのが,『人事労働法』(弘文堂)です。

 

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