イランと日本
サッカーのアジアカップの日本・イラン(Iran)戦は地上波で放映されていたので,すべて観ました。かつての弱いころの日本のような試合で,後半はイランに一方的に攻められていました。イランのDFは疲れているようでしたが,日本が攻めないので持ちこたえましたね。他方,日本のDFの板倉選手は,前半にイエローカードをもらい,足の調子も悪そうで,その後は思い切ったディフェンスができず,最後はPKを献上してしまいました。後半から交代すると思っていたのですがね。それにしてもイランは強かったです。勝つ意欲が強かったと思います。
ところで,イランといえば,政治のレベルでは,アメリカと交戦状態に入りつつあります。現段階では,イラク(Iraq)とシリア(Syria)でイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊(Quds Force)」や親イラン武装勢力への空爆にとどめているので,直接イランと交戦しているわけではありません。しかし中東情勢はきなくさく,どこで暴発するかわかりません。とても心配です。イスラエル(Israel)とハマス(Hamas)の停戦交渉も難航しているようです。
最近,佐藤優氏の『イスラエルとユダヤ人―考察ノート』(角川新書)を読みましたが,佐藤氏は,イスラエルを支持することは国益にかなうと述べています。ハマス側に同情的な世論が多い中,違った見解を知ることも必要だと思います。その佐藤氏が,先週,クローズアップ現代に登場していました。彼がテレビに登場するのはきわめて珍しいことのようで,私も初めて観たと思います。番組のなかでは,たとえばゴルバチョフ(Gorbachev)の生存情報をいち早く得たというような,たぶんインテリジェンスの世界では重要だけれど,やや自慢話が入っているかなと思って観ていたのですが,教育の話などについては傾聴すべきことがありました。番組は30分でしたが,HPでは彼のインタビューのフルバージョンが出ていて,それを読むと,佐藤氏の言いたいことがよくわかりました。相手の論理を理解すること,そして相手に自分の論理を理解させるためには信頼関係が重要であること,恵まれた人はそれを社会に還元しなければならないこと,自分たちが先人から受け継いだものは,きちんと次世代の引き継がなければならないこと,人間はほおっておくと排除の論理で殺し合いをしてしまうので,それを避けるために知恵があることなど,一つひとつしっかり突き詰めて考えるべきことを提示してくれています。
イランと日本との間には,百田尚樹の『海賊とよばれた男(上)』,『海賊とよばれた男(下)』(講談社文庫)でも描かれていた「日章丸事件」などからくる深い絆があるはずです。イスラエルやアメリカの論理もイランの論理も理解しながら,日本ならではの立場で平和を訴えることができるはずです。岸田首相は,広島に首脳を集めたパフォーマンスで満足するのではなく,もし彼がこれまでの悪評を乗り越えて,政治家として名を残すことがあるとすれば,それは広島出身であることを最大限に活用して,世界平和に貢献する成果をあげたときではないかと思います。サッカーの日本代表は勝利への熱量が足らなかった感じがしますが,首相には情熱をもってこの仕事に取り組んでもらいたいです。
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