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2024年1月 4日 (木)

年次有給休暇の取得推奨

 3日前に,地震の際の本の落下の危険について書きましたが,どうも落下防止テープなるものがあるようであり,そのテープは貼っても本の出し入れに困らないようなので,勤務先の大学の事務に在庫があるかたずねてみようと思います。
 ところで,14日は御用始めのところが多いでしょうが,勤務先では年休取得推奨日になっていました。自由年休だけであった時代は,年休をいつ取得するのか(時季指定権の行使時期)の判断は労働者の自由でなければならず,使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」にしか,年休に介入できませんでした。その後,計画年休制度ができて,5日を超える部分は,労働者の時季指定権を取り上げられる可能性が出てきましたし,さらに「働き方改革」で,「年5日の年休の確実な取得」が,使用者の義務になったため,年休の取得について,使用者からの圧力(?)がかかるようになりました。年休の法的性格は変わったのです。
 ただ,私見では,年休は,5日に限定せず,すべての日数を,(労働者の時季指定や計画年休の有無に関係なく)使用者の付与義務とすべきだと考えており,現行法は半端な内容だと思っています。理想は,エグゼンプションを広く認め,休息は個人の裁量でとれるようにし,あえて現行法の年次有給休暇という形での休息をとらなくてもよいような働き方が広がることです。ただ,現状では,そこにまで至っていないので,当面は年休法制を残さざるを得ないでしょうが,現在の労働者の時季指定による取得という方法は,自由な働き方ができる自己管理型従業員にこそ適用すべきものと考えています。それ以外の(伝統的な働き方をする)旧来型従業員には,年休はその名のとおり年ごとにすべて取得できるようにすべきです。具体的には,労働者が1年内にその保有する年休を取得できそうにないなら,使用者のほうから労働者の希望を聞きながら完全取得をさせなければなりません。私は,これは立法論ではなく,解釈論としても成り立つのではないかと考えていますが,学説上は誰からも相手にされていないので「珍説」なのでしょう(こうした扱いは,とくに珍しいことではありませんが)。詳しくは,拙著『人事労働法』(2021年,弘文堂)の189~190頁を読んでみてください。

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