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2024年1月18日 (木)

検察のメッセージ?

 安倍派の事務総長経験者が不起訴となりそうなことに対する不満が国民の中で広がっています。しかし,政治資金規正法は本来,政治家に責任を問うことが難しいようになっています。この法律で起訴までもちこもうとすることにはそもそも無理がありました。この法律が,その意味で欠陥があることはわかっていたことで,問題はそれを追及してこなかったことにあります(この面では,マスメディアの責任も大きいでしょう)。 国会議員は自らを縛る法律を作ろうとしないのは当然なので,彼ら・彼女らを動かすためには,外部からの圧力が必要です。今回の不祥事が明るみに出て,ようやく国会議員の中でも改革派として振る舞う者が出現しています。そのなかの一部は急に改革派になったという印象も否めませんが,それでも,この流れを活かして,望ましい法改正に取り組んでくれることを期待しています。いまいちど,政治資金規正法1条にある,「議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ,政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため,……政治活動の公明と公正を確保し,もつて民主政治の健全な発達に寄与すること」という目的に照らして,政治と金の問題をどうすれば一番よいのかをしっかり議論して,結果を出してほしいです。
 検察官は,意図したかどうかはともかく,今回の不起訴により,法改正の必要性を国民に気づかせて,今回の裏金問題に対する政治家個人の責任は,刑事責任よりも政治責任の問題だというメッセージを発したことになるのかもしれません。政治資金規正法による処罰よりも,選挙での落選こそが政治家に対する適切な責任追及手段であるということでしょう(もとより,検察官は,証拠を捏造するような人は別として,証拠に縛られるので,証拠が不十分であれば刑事責任を追及できないのは当然です)。私たちはこのことを受け止め,次の選挙において適切な判断を下す必要があります。

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