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2023年12月19日 (火)

佐藤博樹ほか『新しい人事労務管理』

 佐藤博樹・藤村博之・八代充史『新しい人事労務管理(第7版)』(有斐閣)をいただきました。いつも,どうもありがとうございます。人事労務管理のテキストとして「鉄板」のものです。拙著『人事労働法』(弘文堂)でも,同書の第6版を参照しました(略語一覧に挙げた限定された本のなかの一つです)。労働法の授業でもサブテキストに使用できますし,学部のゼミであれば,こちらのほうをテキストにして,法律の本をサブにしてもよいくらいです。4年ごとの改訂だそうですが,新しい情報もきちんと含まれています(フリーランス新法など)。とくにここで推奨しなくても,間違いなく労働分野に関心をもつ人は,必ず購入するでしょう。
 ところで,筆者の一人の佐藤さんから,前にこのBlogで,無期転換ルールのことについて書いたことに対するコメントを個人的にいただきました。無期転換ルールは,少なくとも派遣労働者の無期化には影響を及ぼしていると教えてもらいました。
 思うに,これは,派遣元において無期雇用である場合(無期雇用派遣)には,派遣可能期間の制限がなくなったことが関係しているのではないでしょうか。派遣先のほうは,有期雇用派遣だと3年の制限がかかってくるので,3年を超えて働いてもらいために無期雇用の派遣労働者を望むので,派遣元もそれに対応しているということはありえます。これとは別に,派遣元では,優秀な派遣労働者は長期的に抱え込みたいので,5年で無期転換があるのなら,労働者の無期転換の申込みがなくても(つまり労働契約法18条の規定によらなくても),自発的に無期に転換するかもしれません。こういう自発的な無期転換が起こることは,本来望ましいので,まったく問題はありません。私がわからないのは,そうした無期転換が起こらず,かえって雇止めが増えたということがあるのではないかという点です。無期転換ルールの導入前から雇止めはあったことはたしかですが,でも無期転換ルールの導入が雇止めを増加させた可能性がないかという疑問はあるのです。

 

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