« 棋戦情報 | トップページ | 一周忌 »

2023年12月17日 (日)

「そがれる研究時間」 

 今日の日経新聞の電子版の「Inside Out」で,「多忙な日本の学者,そがれる研究時間 科学力低迷の必然」という記事が出ていました。このBlogでもよく書いていますが,大学の研究者が研究以外に割かれる時間数はきわめて多いのです。記事のなかにも出てきますが「評価」関係のものがとくに深刻です。研究費の申請書も手間がかかります。ちなみに,研究費の申請をすることについては,大学側から強い圧力がかかります(科研費の間接経費が重要であるため)。いまはそれほど資金をかけずに研究ができるから申請をやめておこうというようなことは基本的に許されない雰囲気があります(私たちの研究は,理系などのように巨額の資金がなければ研究ができないということはありません。もちろん,ある程度の研究費は必要ですが)。そして使途については,国会議員と違って厳しいチェックがあるし(そもそも事務を通しますので,ガラス張りです),この書籍はちょっと研究費の申請テーマから遠いかもしれず,あとからクレームが来ないかというようなことを気にして自腹で買うこともよくありました(いろんな本を読むことが発想の源泉なのですが)。以前に大学の図書館にある書籍の発注をかけたとき,図書館の人からこの書籍は研究テーマにどう関係しているのかと問われて,面倒に思った経験があったことが影響しています(別に高額の図書ではありません。もちろん説明はできますが,7~8年前くらいは法学の研究者がAI関係の書籍を買うことが異様に思えたのかもしれません。しかし,そういう説明を専門家でもない人相手にさせられること自体が煩わしかったのです。もちろん,その図書館の人は,あとの審査にそなえて,私のことを気遣って言ってくれていたのですが)。
 とにかく教育にある程度の時間が取られるのは当然ですが,それ以外の大学の「雑務」(研究と教育以外のことを,あえてこう呼びたいと思います)が多すぎるのです(雑務が入ると,そこで集中がとぎれたり,前後の時間が使えなくなったりするので,短時間の雑務でも影響は大きいです)。そういう私は,いまはそういう雑務的な仕事はほとんど割り当てられず,担当しているのは比較的若い研究者です(こちらはやろうにも,老眼で書類のミスをしたりして,かえって迷惑をかけてしまうのです)。おそらく理系でも同じようなことであると推察され,それが日本の科学研究の将来に深刻な悪影響を及ぼすのではないかと心配になります。
 雑務系の業務は,たとえば大学の運営などに関わり,政府からくるものが多く,どうしても必要であればやらざるをえないのでしょうが,それが研究の邪魔になれば本末転倒なのです。できるだけ研究を阻害しないように,雑務を効率化することを最優先事項にしてほしいです。現在はその真逆で,雑務こそ最優先となっています。税金で研究をしているのだから当然と言われると反論はしにくいですが,国会議員への腰の引けた対応との違いが大きすぎないでしょうか。どういうお金の使い方が望ましいのかということを大局的に考える政治であってほしいですが,無理でしょうね……。

« 棋戦情報 | トップページ | 一周忌 »

つぶやき」カテゴリの記事