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2023年12月12日 (火)

生成AI元年

 久しぶりにHPのリンクページをアップデートしました。自分でもあまり活用していない厚生労働省のデータは,知らぬ間に古くなっていました。職安指針も昨年改正があった令和4年版ですが,今回,新規にアップしました。
 いろんな情報がネットで入手できるのはありがたいですが,情報の洪水のような感じで,それに溺れないようにする必要があります。最新の情報はビジネスガイド(日本法令)などで次々と紹介されているので,研究者はそれをじっくり分析することが仕事となります。
 もっとも,データの単なる分析であれば,人間の専門家であっても,AIに太刀打ちしづらくなっていくかもしれません。現在は,まだ人間が優位に立っているでしょうが,それがいつまで続くかはなんとも言えません。それのみならず,生成AIの発展は,創造性の領域にまで進出しつつあります。今朝の日本経済新聞のオピニオンで,中山淳史氏が「アイデア生産性」の低下のことを紹介していました。人間のアイデアが枯渇するなか,生成AIが助けとなるということです。
 振り返ると,今年は生成AI元年でした。私も生成AIをテーマとした原稿をいくつか書きました。かねてより,DXの進展は,人間から定型的な労働を奪っていく(観点を変えれば,人間が定型的な単純労働から解放される)ので,これからの職業キャリアでは,知的創造性を発揮していくことを考えていかなければならないという主張をずっとしてきました(たとえば拙著『会社員が消える―働き方の未来図』(文春新書))。しかし,その知的創造性の領域にもデジタル化の波が及んできているのです。これは予想できたことです。DXの行き着く先は,人間が労働そのものから解放されるところになりますが,そこに至るまでのスピードが予想をはるかに上まわっているのです。これは今年,何度も書いたことです。
 拙著『AI時代の働き方と法―2035年の労働法を考える』(2017年,弘文堂)の最後のほうでは,脱労働時代のことに言及し,エピローグでは,要するに人間はどのような生き物であるのか,という問いかけで話は終わっています。これは,2016年くらいから数年間,盛んに書いたり,話したりしていたテーマで,そのときの問題意識は,その後しばらくは脳の奥に格納していましたが,そろそろ引っ張り出して,またしっかり考えなければならないと思っています。
 上記の記事では,中山氏は,「人間がAIに依存し切るのではなく,上手に管理し切る」という方向性に言及しています。人間とAIの共生が今後の重要なテーマで,それについてくらいは,人間自身で考えたいのですが,それもうまくAIを利用して模索するということになるのかもしれません。とにかく頭を柔軟に,そして変化に機敏に対応できるようなマインドセットをしておかなければいけません。これは,日本社会のエスタブリッシュ層に広がる先例踏襲主義とはまったく違うものであることは言うまでもありません。

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