還暦
コロナ禍で中断していた高校時代の旧友との年2回の飲み会(まあ,プチ贅澤グルメの会という感じでしょうか)を,この夏に復活させたのですが,これまで4人で集っていたのが3人に減ってしまいました。友人といっても,年賀状を廃止した私は基本的には連絡をとっておらず,この飲み会のときにだけ会うという薄く長い関係なので,その間に彼(Mと呼びます)が死亡していたことに気づきませんでした。仲間の一人が自宅まで行ったところ,すでにMの自宅は処分されていたとのことでした。昨年のことであったようで,Mは還暦までたどりつけませんでした。
Mは子どものときから秀才のほまれ高く,東大文1⇒法学部というエリートコースを歩んでいたのですが,どういうわけか司法試験には縁がなく,本人の能力をまったく活かせない仕事にずっとついたままでした。昨日,司法試験の合格発表がありましたが,旧試のころは,ほんとうに狭き門で試験地獄に陥る人が少なくありませんでした。貴重な頭脳が無駄になってしまったと思わざるをえません(本人は気にしていなかったような気もしますが)。いまでは試験回数の制限がありますが,もっと早く設けていてほしかったですね。
Mは,最後に会った2020年2月に,その年の3月でリタイアすると言っていました。お金も十分に貯めたということでしょう(いま流行りのFIREですね)。その後は,自家菜園などで悠々自適の生活を送っていると思っていましたが,おそらく病気だったのでしょう。残念なことです。独身で子どももいませんでした(おそらく)。
年に2回という付き合いだったものの,ぽっかり穴があいたような気分です。還暦にもなると,そろそろそういう同世代の人が増えてくるのかもしれません。飲み会の仲間は,私以外には,私よりももっと社会に役に立たなそうことをやっている英文学者と,社会にたぶん貢献しているであろう精神科医だけとなり,企業人などは周りにいないので,話題は仕事の話はほとんどなく,健康のことや子どものことなどです。Mがいなくなると,いっそうそうなるかもしれません。昔はワインのボトルをガンガン空けていましたが,お酒の量も先日は少し減ったような気がします。着実に体力は衰えてきていますが,まだ先は長いです。ここまできたら,無理をせず,マイペースな生活を続けて,Mの分も長生きしたいなと思います。